176-衆-環境委員会-2号 平成22年10月26日

○小沢委員長 次に、太田和美君。

○太田委員 民主党の太田和美でございます。
 大臣が就任されて初めての衆議院での環境委員会になります。与党ではトップバッターとなりますが、今さまざまな議論がされてきたところでございますが、質問が少し重なってしまうところはお許しをいただきまして、そして、まずもって、今回このような質問の機会をいただきましたこと、心から感謝を申し上げまして、私の質問に入らせていただきたいと思います。
 まず、大臣が就任されて三日目に、ニューヨークでの国連のハイレベル会合に参加され、環境大臣としてのステートメントを発表されましたが、就任直後ということで、日夜いろいろと御心労されて大変だったと思います。
 そこで、まずはCOP10関連の質問をさせていただきたいというふうに思います。
 生物多様性は人類を含むすべての生命の生存基盤であり、その保全は極めて重要であります。西洋の思想では自然と人間を分けて考えるところを、東洋思想では自然と人間を一体と考えており、最も偉大で貴重な自然が人間であるという考え方を持っております。これを天人一体観というふうに呼んでおりますが、日本では遠い昔から、草や木、そして山や川、あらゆる自然に神が宿るというふうに考えてこられました。日本人にとって、自然との共生というのは大変なじみの深い、当たり前の思想だったわけでございますが、今回のこのCOP10で日本が提案した自然との共生、こういうキーワードが世界の人々に認識されたということは非常に喜ばしいことでございます。今回、この言葉の採択の有無にかかわらず、私たちはこのことをいつも念頭に、忘れずに環境の議論をしていかなければならない、そのように思っているところでございます。
 大臣は今、COP10の議長としてポスト二〇一〇年の目標の合意に向けて御努力をされているわけですが、先進国と途上国の意見の溝を埋めていく作業、容易ではなかろうと思います。これまでの交渉についての総括をしていただきたいと思います。
 また、あしたからはいよいよハイレベル会合が開始され、交渉も大詰めとなりますが、議長たる大臣の取りまとめに向けた決意をもう一度聞かせていただきたいと思います。
○松本国務大臣 ありがとうございます。COP10成功に向けてしっかり取り組んでまいります。
 先ほど、東洋と西洋の思想の違いを言われました。ことしの初めに私は、「逝きし世の面影」という渡辺京二さんの本、こんなに厚いんですけれども文庫本で半分ぐらい読んだんですけれども、まさに、江戸時代の末期から明治にかけて日本にやってきた宣教師さんとか科学者とか航海で船乗りさんとか、そういう人たちが日本に来て、日本人というのはすごいということを残した書物です。つまり、何といいますか、自然と共生をしている、ある宣教師さんが来て、人間が一番とうといんだと言ったら、そこの子供が家に帰って、母ちゃん、人間が一番偉いのかねというふうに言って、やはり動物と共生をしている日本人の姿がそこにあらわれていたというふうに私は思うんです。
 それはさておき、人間はやはり自然によって生きていますし、生かされているということを根本に、COP10、考えていきたいと思います。
 ハイレベル協議というのがあしたからありますけれども、それをどう枠組みをつくっていこうか、きょうもこれから帰って、バイ会談という二国間協議をさまざまやりながら、そしてその中でもいろいろ提案をしていきながら、二十七日以降、あした以降の枠組みを、きょうまた夜遅くなりますけれども、七、八、九は恐らくほとんど寝られないで頑張らないかぬというふうに思っておりますけれども、やはり人類というもの、そして生物多様性の危機ということを考えればポスト二〇一〇年目標は非常に大きいですし、さまざま対立はありますけれども、何でみんな名古屋に集まっているんでしょう、何でみんな名古屋に集まって、これからあと三日間をどうやるんでしょうということのモチベーションをしっかりみんなで確認し合いながら、ハイレベル協議に臨んでいきたいと思います。そのことをしっかり覚悟してやっていきますから、よろしくお願いをしたいと思います。

○太田委員 ありがとうございます。
 大変な役割だというふうに思います。世界のすべての国の皆さんが受け入れられるような結果に向けて、最後まであきらめず御努力を続けていただきたいというふうに思います。
 ABSの問題でございますが、今大臣がおっしゃいました、まさに私たちは自然に生かされているということでございますが、人類は自然から多くの恩恵を得て、日常生活に活用し、さまざまな産業に利用してきました。遺伝資源というものが生物の多様性によって維持されているということを考えると、遺伝情報の経済的価値を認め、その利用を促進し、利益の一部を多様性の保全コストとして提供国に還元するという考えは、私は納得するところでございます。
 国際的に合意される段階に来ているというふうに思われますが、今回のCOP10においては、ABSについて、一般的に資源供給国、途上国と資源利用国となる先進国での主張が平行線をたどっております。多様性条約締結以来の課題になっていますが、この途上国との交渉において、ポスト二〇一〇年目標の決定やABS等の課題について、途上国サイドが妥結に向けたパッケージとしての追加的な資金を求めているというふうにお伺いをしておりますが、この問題についてどのような対応をされておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。

○松本国務大臣 ポスト二〇一〇年目標とABSの問題と資金の問題、パッケージというふうに言われますけれども、パッケージでということは一部にはありますけれども、私は、やはりそれぞれ切り離して、それぞれの問題で、ワーキンググループもそういうふうに分かれておりますので、それぞれ個々に、難しい問題ではありますけれども、やっていかなければならないというふうに思っております。
 ABSの問題も、九月の二十一日に、小沢前大臣、田島副大臣、大谷政務官がしっかり道筋をつくってくれた、ティモシー・ホッジスやフェルナンド・カサスとか事務局長のジョグラフという人たちと会って、これからの戦略をどうつくっていこうかと、もう毎日のように会って、十八日から始まったときも、毎日毎日彼らは昼夜を分かたず議論をして、とりあえず、二十二日まで結論が出なかったので二十三、二十四と時間をくれと言ったので、議長として時間を与えました。
 それで、きょうから二十七日以降のことを考えていかなければなりませんけれども、議長の立場として、先進国に物申すのか途上国に物申すのか、なかなか複雑な立場でありますのでこの場では言えませんけれども、少なくとも、共通の利益、人類の福利とそして生態系の保存というこの両輪をしっかり組み合わせていけば、どこかに人間の英知が生み出せるものと思っていますので、努力をしたいと思います。

○太田委員 ありがとうございます。
 今回、COP10の開催国になったときの話でありますが、NGOから、日本はホストにふさわしくないというような批判もあったということを聞いております。
 しかし、今、大臣の取り組みの経緯などもお話を聞きまして、また、手のうちをすべて明かすことはできませんが、日本としての資金提供などもいろいろ考えているということで、こういった取り組みについて、私は必ず評価されてくるものだというふうに思っております。
 先ほどの質問者の中でも、日本のやっていることがなかなか評価されていないんじゃないかということもありましたが、これはちょっと朝日新聞のものを引用させていただきます。
 今お話ししたように、当時は日本はホストにふさわしくないという批判が起きたんですが、この交渉に長く参加してきた欧州のNGOのエコロパ代表のクリスティーネ・フォン・ワイツゼッカーさんという方なんですけれども、この方が、しかし日本は、議長国を意識し始めてから、交渉で積極的に妥協案を提示するなど柔軟さが見えてきた、交渉を進めるために約一億円を投じて二度の準備会合を開催、国内では〇八年、地域に生態系保全の戦略づくりを促す生物多様性基本法を制定、国家戦略も改定したと。ワイツゼッカーさんは、準備では十分に貢献したというふうに評価をしていただいております。今、選択のとき、途上国と協力していくか、条約に加わってすらいない米国のようになるか、次の一歩が重要だというふうにお話がされたわけでございます。
 私たちのやっていること、どう評価するかというのはまだ早いかと思います。しっかりとこのCOP10、成功に向けて、大臣の誠意が必ず実を結ぶものだというふうに思っておりますので、どうか引き続き頑張っていただくようにお願いを申し上げたいと思います。
 そして、このCOP10では多くのNGO、NPOが参加して会議を盛り上げておりますが、環境問題の解決は社会全体で取り組まなければなりません。市民が主体的に環境保全に取り組んでいくためには、その重要性を大人から子供まで理解することが重要です。政府としても、環境に関する教育、学習機会を広く提供することが重要と考えます。
 というのも、内閣府の世論調査でございますが、生物多様性の言葉の認知度を調査したところ、「聞いたこともない」という人が六一・五%、「意味は知らないが、言葉は聞いたことがある」が二三・六%、そして「言葉の意味を知っている」は何と一二・八%しかなかったということです。その取り組みの重要性にもかかわらず、生物多様性の保全に向けた国民の関心は依然として高まっていないと言えます。今回、名古屋でのCOP10が開かれたことで、以前に比べると若干改善されたかもしれませんが、私はまだまだだというふうに思っております。
 そこで、国民多数に生物多様性を保全していくということの重要性を理解していただくために、取り組みが極めて大切になると思いますが、そこで大事なのが、やはり環境教育の充実であります。生態系の複雑さや絶妙のバランスを目の当たりに子供たちが教育の場で実感していくということがやはり必要であると思います。生物多様性という難しい単語の解説を新聞や本を通じて知るのではなく、実際の体験の中から、エコツーリズムなども利用しながら生き物同士のつながりの大切さを学ぶことが必要だというふうに思います。
 そこで、松本大臣は、〇三年でしょうか、衆議院の環境委員会の委員長をされていた際、環境保全活動・環境教育推進法案を委員長として提案されました。提案して実現させたと伺っております。
 この法律も成立以来七年が経過し、五年後の見直しの期間も既に過ぎており、昨年、改正の動きがありましたが、衆議院解散により立ち消えとなり、政権交代後も改正の機運がありましたが、温暖化対策基本法など重要法案がメジロ押しで、後回しにされてきました。
 この臨時国会でも、前国会の積み残しが山積しており、大変厳しい状況でありますが、議員立法のことで大臣としての答弁は大変難しいかと思いますが、そもそもの提案者として、法施行以来の日本の環境教育の総括、さらにそれを乗り越えていくべき課題等について、大臣の思い、お持ちだと推察いたしますので、可能な範囲でその思いの一端を聞かせていただければと思います。

○松本国務大臣 七年前に私が委員長のときに通した法案ということでお尋ねがありました。
 先ほど来、COP10の話がありますけれども、温暖化の話もありますけれども、危機にあるとかという言葉は私は余り好きじゃないですけれども、本当にやはり大人の課題として、しっかりこれを喫緊の課題として、自然の問題に対する教育、教育というよりも、なじむというか、本当にちょっとしたしぐさ、朝起きて何か電気をつけたりトイレに行ったり、おふろに入るときとか食事をするときとか、そういうところどころのしぐさの喚起といいますか、そういうのが私は教育とともに必要だろうというふうに思っています。
 名古屋に行ってまいりまして最初にびっくりしたのは、子供たちがいろいろなサイドイベントをやっておりました。そういうことがあって、幾つも、二十も三十も四十もあるブースの中で若い人たちが、これを守りましょう、あれを守りましょう、サンゴを守りましょう、吉野の何を守りましょうとか、いろいろな方々がいる。あの名古屋の雰囲気をやはり日本国じゅうの人たちに少しでも知らせていく。
 生物多様性というのはなかなか言葉が知られていないというふうに言われましたけれども、やはり自分の生活の中にしみ込ませていく、その手伝いをするのが環境教育だと思いますので、そういう民生の部分も、七年たちますから、いろいろな意味で皆さんが膨らませていってこれからの課題にしていただきたいと思います。

○太田委員 ありがとうございます。
 時間も時間になってしまいました。ただ、最後に一問だけちょっとさせていただきたいと思います。
 地元の話で大変恐縮なんですが、リサイクルや廃棄物処理に関して、我が国は世界最高のレベルの技術を有していると思います。
 例えば私の地元の福島の郡山の例ですが、日大工学部と地元企業のLLPそれから福島県の三者が共同で、生ごみから電気をつくるという開発に今取り組んでおります。食品廃棄物、いわゆる生ごみを発酵させて、まずそこからメタンガスをつくるんですね。そのメタンガスを分解して水素と炭素をつくるわけですが、触媒とマイクロ波で反応させてそのように分解していくんですが、そしてその水素を燃料電池の燃料として活用する。そして炭素も、高価な炭素はカーボンとして工業材料にも使えます。研究は三年計画の予定で、成功すれば世界初の事業だそうです。初年度事業として、先日、目標値以上のメタンガス生成に成功したということですが、福島県の次世代エネルギーネットワーク推進事業の認定を受けて、バイオガスステーションというものですが、非常にコンパクトな装置で、私も見せていただきましたけれども、移動させて使うこともできるという装置です。
 これはまだ開発中の例ですけれども、このような技術を有する企業の海外進出を支援するということは、海外の環境保全を進め、国際貢献につながると思うのですが、また、国内産業の競争力強化を通じ、国内の成長、雇用にもつながります。まさに一石二鳥の政策だというふうに思いますが、こうした企業の海外進出を力強く進めるべきではないかと思いますが、環境省、お伺いをしたいと思います。

○伊藤政府参考人 先生御指摘のとおり、日本の廃棄物技術あるいはリサイクル技術というのは既に世界最先端で、世界に誇るべき環境技術の一つだというふうに考えております。
 こういった技術を持っている企業が、日本の中でどんどん成長するとともに、海外に行って大きく役割を果たすことによりまして、特にアジアの廃棄物問題、ひいては環境保全に大きく貢献するということ、そしてそういうこと自身がまさに日本の経済を引っ張っていく、こういうことにもつながるというふうに考えております。
 こういったことから、環境省としまして、アジア地域を中心として日系静脈産業の海外展開を積極的に支援していきたい、こういうふうに考えている次第でございます。

○太田委員 ありがとうございます。
 たくさん、いろいろと議論したいことがありましたけれども、大臣もこれからCOP10に行かなければならないということでございますので、私の持ち時間を短縮させていただきたいと思います。
 これから臨時国会そして通常国会と、温暖化対策の基本法の問題などさまざまな議論を私たちは深めていかなければいけないことがありますが、先ほど大臣もシューマッハーの話をされました。やはり地球の有限性というものをしっかりと考えていかなければなりません。生態系の維持といったことも考えると、人間が好き勝手に経済活動を続けて自然を壊していってしまっていいのか、自然あっての人間ではないかという哲学的な問いかけに最終的にはやはり当たると思います。地球が無限であるという従来の経済のあり方というものを考え直して、成長の限界ということも視野に入れて、これからは、成長ではなく発展というような発想、このように思想を変えることがやはり唯一のかぎになるのではないかなというふうに私は思っております。こうした思想から、やはり問題解決に広くかかわってくるはずだというふうに思っておりますので、これが温暖化対策の答えになろうかと思いますので、これはまた後日、大臣と政務官、そして皆さんといろいろと議論をさせていただきたいというふうに思っております。
 大臣の一層の御奮闘をお願い申し上げまして、私の質問を終了させていただきたいと思います。ありがとうございました。

○小沢委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時三十三分散会