171-衆-経済産業委員会-10号 平成21年04月24日

○東委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。太田和美さん。

○太田(和)委員 民主党の太田和美でございます。
 一昨日に続き、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案について質疑をさせていただきたいと思います。
 一昨日の委員会でも同僚委員から御指摘がありましたが、今回の改正案は、審判制度の見直しについてまた一年間結論を先送りにしているなどの問題を抱えていますが、この間、我が党が一貫して主張してきました優越的地位の濫用など不公正な取引方法に対して課徴金を適用するなど一定の前進が図られており、それは率直に評価をしたいと思います。  そこで、確認の意味でもう一度お伺いをさせていただきたいんですが、今回の改正において、なぜ優越的地位の濫用などに課徴金の範囲を拡大したのか、四年前の改正時には慎重というか煮え切らなかった、それなのになぜ今回転換に至ったのか、官房長官に理由をお尋ねしたいと思います。

○河村国務大臣 お答えいたします。
 優越的地位の濫用を含む不公正な取引方法につきましては、カルテル、入札談合といった不当な取引制限等と比べて競争侵害の程度が低い、あるいは予防的な規制とこれまでされてきております。また一方、違法行為であることが明らかなカルテルとか入札談合、こういうものに比べますと、通常の事業活動かあるいは独禁法違反行為か、この判断がなかなか容易でないというふうなこともありました。課徴金の対象にしてしまうと事業活動を萎縮させるのではないか、こういう懸念があったわけであります。
 そういうことから、これまで、御指摘のように、この優越的地位の濫用の不公正な取引方法のあり方については慎重であったことは事実であります。
 しかし、平成十七年に成立をいたしました独占禁止法改正法における附則で、課徴金制度の見直し等が検討課題になっておりました。その際に、衆参両院での附帯決議におきましても、優越的地位の濫用等の不公正な取引方法に対する課徴金の導入は検討課題だということが明記をされてまいりました。
 そこで、独占禁止法基本問題懇談会の報告書、また関係各方面からの意見を踏まえて検討した結果、今般の改正法案では、不公正な取引方法を課徴金の対象とすることについて、先ほど申し上げたような懸念があった、懸念はやはり配慮をしながらも、優越的地位の濫用についても課徴金の対象にすべきであろう、こういう判断に立って提案をさせていただいた、こういう経緯でございます。

○太田(和)委員 当時の竹島委員長の本委員会の御答弁からなんですが、多少長くなりますが、引用させていただきたいと思います。
 まず一つ目に、「カルテル、談合は即違法と簡単に申し上げればなるわけでございますが、優越的地位の乱用とか不当廉売というものは、これは一概に言い切れない面がございます。」そしてもう一つ、「法律にかくかくしかじかのものは罰するというふうに単純に書くのが難しい。」それから、「不当利得というものを優越的地位の乱用とか不当廉売の場合にどう観念したらいいのかという問題がございまして、これは割り切りだという考え方もあるかもしれませんが、そういう考え方ではとても法制度としてはなじまないという問題もございまして、どのぐらいの経済的な不利益を与えるべきかという合理的な算定方法というのがなかなか難しいという問題がございます。」そしてもう一つ、「私も、率直に申し上げまして、課徴金の対象にできれば公取としてはその方がいいと実は思っております。しかしながら、法律制度としてそういうものが、さっきるる申し上げましたようないろいろな問題点がございまして、それに対して解決策が今回の改正では見出せなかった」、このように御答弁をされております。
 昨今の経済状況や国会での附帯決議を理由にするのはよしとします。しかしながら、十七年改正当時は、定義が難しい、構成要件を法律に書くのが難しい、課徴金の合理的算定方法が難しい、そして法律制度として問題がある、要はこのようにおっしゃっておりました、そしてその解決策が見出せなかったと。
 今回は、当たり前のように構成要件を法律に書き込んで、課徴金の額も、それが高いとか低いとかは別にして、取引額の一%とされました。法律に構成要件を書くのが難しいとか、課徴金の算定方法とか、根本的な難題をクリアされました。法律に単純に書くのが難しいとおっしゃっていたのを、今回は書き込みました。そこには大きな飛躍があります。
 法案をつくる際にどういう解決策を見出したのか。法文上こういう工夫をしたから困難を乗り越えたとか、考え方をこういうふうに変えたから解決策が見つかったとか、あるいはもう割り切ってしまったのか、そういった点をちょっとお尋ねしたいと思います。

○竹島政府特別補佐人 従来から、優越的地位の濫用とか不当廉売を含む不公正な取引方法については、課徴金を入れるのは、今御紹介いただきましたようなもろもろの論点がございまして、これはカルテル、談合と同じようなわけにはいかないぞという議論がずっとあったわけでございます。
 ところが、当委員会でもたびたび御質問がありますように、優越的地位の濫用をもっと取り締まれとか、不当廉売とか差別対価について積極的にやりなさい、それも、ただやめなさいだけじゃだめです、課徴金をかけなさい、罰金をかけなさいという御議論があったわけでございます。
 平成十七年の改正時点では、結論的に申し上げますと、今回のように踏み込むことはできませんでした。やはり慎重だ、問題点はいろいろあるじゃないか、それを踏み越えてまでやることについては、正直、政府内部における法律のチェックを受ける立場に我々はあるわけですが、なかなかそういうテストに合格できなかったわけでございます。
 ところが、現に平成十七年の法律改正で附帯決議もつけていただくようなことで、その必要性についてはますます強くなってまいりました。そこで、私どもは、今回、優越的地位の濫用と不当廉売、これは二つ、代表的なものとして宿題になっておりますので、これにこたえるべく検討いたしました。
 一つは、従来は、一般指定ということで、公正取引委員会がどういう行為が違法であるかということを定めるということになっていまして、そのような定め方のものに金銭的制裁を加えられるのかというそもそも論が法律の形式としてありました。したがって、法律で書かなきゃいけない。法律で書くからにはそれなりに、構成要件の明確化ということをよく言われるんですが、どういうことをすればそれに該当するかはっきりしなければ、事業者にとってはたまったものじゃないということになります。
 そこで、継続してというような要件、それから、今までの一般指定で定められている、例えば不当廉売を例にとりますと、二種類書いてありますけれども、その前段だけに絞る、かつ、継続してということをちゃんと入れてあるということ。恐れ入ります、不当廉売の場合は、継続してはもともと入っているんですが、十年以内に二度目の場合に初めて課徴金をかけられる、そういうことにしてございますし、優越的地位の濫用の場合にも、継続してという要件を入れる。こういうことで、法律にその根拠を置くように、公正取引委の告示から法律に格上げしている。それから、法律に書けるように、構成要件の明確化として条件を付加するなり絞っている。
 こういうことで、政府部内の法制的なチェックも受けて、それでお示しをさせていただいているということでございます。

○太田(和)委員 ありがとうございます。
 依然ちょっとよくわからないんですが、当時は、難しい難しい、問題があるというように連呼されていたわけでございますが、とにかく方針が変わったのでしょう。悪くなったならともかく、いい方に変わるのだからまあいいかなと、こちらも割り切るしかないと思いますが、十七年改正の際の答弁との落差を埋めるロジックについてはもう少し丁寧に御説明をしていただきたいと、要望だけさせていただきたいと思います。
 さて、竹島委員長は昨年、日経ビジネスオンラインのインタビューに答えております。インタビューには「優越的地位の乱用、絶対に許さない!」というすごいタイトルがついているわけでございますが、大変歯切れよくしゃべっておられて、頼もしいと思いました。
 その中で、大事なことを言われております。つまり、優越的地位の濫用、下請いじめの問題は、これは日本独特の風土の中で、仕事がなくなることを恐れる下請からはなかなか訴えにくい現状になっている。だから、一昨日の質問の中でも北神議員から質問があったと思いますが、公取や中小企業庁の書面調査は、むしろ下請業者に義務化した方がいいんじゃないかというような提案もあったと思います。
 下請法についても、親事業者などという法律用語が出てきます。耳で聞くと、オヤジ業者、オヤジ業者と、どこのおやじかなと思ったりもしたんですけれども、こういった法律用語で、親と子だから逆らえないというのがあると思います。まず、この家父長制的な法律用語から変えていった方がいいんじゃないかなという気もいたします。
 いずれにしろ、そういう実態の中で、公取として下請の保護のため強力に介入することは、私は絶対に必要なことだと思っております。しかし、中小零細企業の自立ということを展望した場合に、いつまでもそれでいいのかという思いもあります。
 竹島委員長もこのインタビューの中で、そうした段階から卒業して、成熟して、しっかりした契約社会が実現しないと長期的には困ります、このように述べられております。私も全く同感です。
 そのためと言ったらなんですが、そのために政府としてどういう戦略的な取り組みが必要なのか、お考えがあれば、官房長官と委員長の方にお聞きしたいと思います。

○竹島政府特別補佐人 インタビュー、結構長いのでございますが、結局は、やはり欧米と比べて日本独特の商取引をめぐる環境なり物の考え方があると言わざるを得ない。それはいい面もあるわけですけれども、競争当局の立場からすると困るという面も率直に言ってあります。
 典型的には、日本の場合は、口約束で取引がされるということが結構多い。下請法も、数年前に改正しましたのは、それまで製造業と修理業だけが対象だったわけでございますけれども、非製造業、例えば番組制作会社であるとかコンピューターのプログラムをやるとかその他運送とかいろいろあるわけでございますが、そういうサービス業も新たに対象に加えたわけです。その理由は、実態的には下請関係にありながら、口約束の話が非常に多くて、条件が後から決まるみたいなことが日常茶飯事である、それで弱い立場の者がいつも割を食う、こういうことが見られるわけです。
 こういうことというのは、欧米の場合は、ないことはないにしても、日本ほど社会的な問題にはなっていない。要するに、泣き寝入りとか理不尽なことに対して何も言わずに、長い取引だからしようがないというふうなことが、多くの人たちがそういうふうに思っているということはないわけなんですね。そこにまず基本的な違いが残念ながらある。
 これは昔から、日本の場合にはそういう関係、要するに強い者と弱い者の関係があって来ているわけですが、これが戦後六十年以上たっても基本的に変わらないというのは、これは私もよくわかりませんが、少なくとも、中小企業といえども、中小企業基本法がかつて改正されて、それまで保護される一辺倒だった立場が、やはり自立である、対等な立場で大企業との関係は持つべきである、そういう精神のもとに中小企業基本法はたしか改正されているはずなんでございます。まさにそういうことなので、一朝一夕にならないまでも、もう十年、二十年たてば、やはりそういうふうになっていただきたい。
 そのためには、下請だとか中小事業者とかいって、自分たちは弱いんだ弱いんだとばかり言って役所に駆け込むみたいなことをいつまでもやっていられるというのは、これは物事の根本的解決にならない、私は個人的にそう思っております。
 さはさりながら、現実はそういうことがあって、特に景気が悪くなりますと、どんどんどんどん、バイイングパワーの話も先日来出ておりますが、弱い立場の者が一種収奪的な目に遭っているということがありますので、下請法を厳正に執行するなり、それから、大規模小売業者の納入業者いじめに見られるように、そういう不当なことについてはきちっと優越的地位の濫用の規定を働かせる。こういうことを今力を入れてやっておるんですが、先々は、やはりきちっとした条件を契約で決めていただいて、それで、わからないものはわかる段階で補充するという当たり前のことをきちんとやっていただきたい。
 そうすると、中小事業者の場合も、それに反した場合にはおかしいということを言えるわけなんです。急ぐからもうこれでやってねなんてことがテレビや何かの番組制作の関係ではよくあるそうでございますが、つくり直しの経費が後で負担されるわけでもなく、もうただただこき使われて、それで正当な報酬がもらえない、こういうことがよく言われているんです。
 そういうことは、まず当事者同士が自覚を持っていただくということもあわせてありませんと、法律を適用するということはやっておりますけれども、それだけでは根本的に世の中はよくならない、そういう気持ちで、先ほど引用していただいたところは申し上げたわけでございます。

○河村国務大臣 ただいま竹島委員長からも御答弁があったところでございますから、重複は避けたいと思いますけれども、委員長も述べられたように、どちらかというと欧米は、非常に契約社会、きちっとしている。それに比べて日本の場合には、いわゆる長年の商慣習であるとか、あるいは裁量もある。そのようなものがやはり中小企業と大企業の間にあって、適正な取引の場合においてそういう問題が起きる。そのよりどころとして独占禁止法、下請法というのが重要な役割を果たしておる。
 しかし、それだけでは十分でないということもあって、今回、優越的地位の濫用ということになれば、これは課徴金まで含めてしっかり中小企業を守る。もちろん、中小企業にも、しっかりした技術を持って大企業と対等にやれるところもありますけれども、大部分がそういう状況にある。そういう意味で、今回の改正の意味も含めて、政府全体として、中小企業が泣き寝入りをしない社会的な構造をつくっていく、このことが非常に大事でありますから、そういう意識を持ってこれからも政府としても取り組んでいかなきゃならぬ、今回のこの改正をもとにしてそういう意識をしっかり持つということが大事だ、このように考えております。

○太田(和)委員 ありがとうございました。
 下請保護というのは絶対に必要なことだと思いますが、やはり長期的にも契約社会がこの日本にもしっかり定着するように、戦略的な取り組みをぜひとも、要望だけさせていただきたいと思います。
 厳しい状況の中で、下請いじめが急増しているというような現状でございますが、物が売れない、値上げできないという中で、下請から搾り取ろうという発想の企業がふえているのではないかなというふうに思っております。
 下請代金の減額事件における減額分の返還状況を見ても、平成二十年度は、四月から十二月までの統計ですが、返還額は二十六億円、十九年度の約十一億円から比べると倍以上になっております。三月末までカウントすると、ひょっとすると三倍ぐらいになってしまうのではないかなという感じもしているんです。
 そうした中で、今回の改正により課徴金の適用範囲が拡大されるわけでございますが、独禁法を補完する特別法である下請法の運用にどのような影響があるのかどうか、お答えをいただきたいと思います。

○竹島政府特別補佐人 下請法の適用の場合は、まさに下請法を厳正に執行するということでございますが、例えば、下請法に基づいて、これは違反だということで公正取引委員会が当該事業者に、親に対して勧告を出しても応諾しないということが理論的にはあり得るわけで、そういった事業者に対しては、親法に戻って、独占禁止法の優越的地位の濫用の規定を適用して、それで要件にはまれば、今度は課徴金を払いなさい、こういうことになります。
 ただし、その場合は、下請法と違って、下請法は減額分を戻しなさい、返しなさいという勧告はできますが、優越的地位の濫用の場合は、これは課徴金で国がその一%相当を納めさせるということでございまして、被害を受けた下請業者には原状回復がなされない、そういう違いがございますけれども、今度、優越的地位の濫用に課徴金が新たに導入されるとなれば、回り回って下請いじめ的なことも親事業者はさらに注意をしてくれるんではないか、そういうふうに思っております。

○太田(和)委員 独禁法は調査に時間がかかる、認定の手続も慎重に行う、不服があれば審判になり、これも時間がかかる。一方、下請法は、資本金という外形基準を定め、禁止行為を行った場合に機械的に処理していく、迅速に下請の保護を図ることができる、減額分の返還など下請の原状回復もできる。公取の説明だとそういうことなんですが、独禁法が一歩前に進むわけでございますから、下請法もこれまでの運用を総括して見直ししていく必要があるのではないかなというふうに私は思っております。
 平成十五年に下請法が改正され、法の対象となる取引に、ソフトウエア、映像コンテンツ、各種デザインなどの情報成果物作成委託、さらに運送やビルメンテナンス、各種サービスなど役務提供委託が追加されたわけでございますが、平成十五年改正以降の下請法の総括というのをしていただきたいと思います。お願いいたします。

○竹島政府特別補佐人 御指摘のとおり、平成十五年の改正によりまして、役務提供委託及び情報成果物作成委託が新たに追加されました。あわせて、親事業者に対して勧告を行う際に企業名を公表するように、従来は勧告に従わなかったときに初めて公表ということだったんですが、そうではなくて、勧告に従った場合でも公表するというようなことに法律改正をさせていただいたわけでございます。
 その結果、何が起きているかと申しますと、一つは、特に非製造業、新たに対象になった分野におきましては、発注書面の交付率が大幅に改善しております。先ほど申し上げた口約束、口頭での発注ということが多かったものが、非常に減っています。
 例えば、平成十六年度では、書面を交付しないという口頭のものが約一五%ございましたが、平成十九年度の私どもの調査では、それが一%まで下がっていまして、大多数のものは発注書面を出すようになっているということが見えます。
 それから、下請法につきましては、国会の御示唆もいただきまして、一生懸命普及しなさい、下請法の存在自体知らない下請業者がたくさんいるんだ、こういうことでございますので、一生懸命、特に毎年十一月は決まった普及月間といたしまして力を入れているんですが、そういうときの講習会の参加希望者というのは、珍しいことに、こちらのキャパシティーを上回る応募があるというようなことが見られておりまして、事業者の関心が非常に高くなっている、そういうことが言えると思います。
 それから、御指摘いただきましたように、これはそういうことをねらってやっているわけじゃございませんが、結果として、減額分に対して、それをちゃんと戻しなさいという額が約三十億円になっているというようなことで、この金額もここのところふえてきております。そういうことで、下請法の改正を含めた、この数年の執行というのは、かなりの成果を上げているのかなと。
 ただ、まだまだ、知っていても使いたがらない人がたくさんいるということも事実でございますので、私どもは、中小企業庁とか商工会議所の御協力もいただきながら、匿名で全部処理しておりますから、遠慮せずに、ぜひ勇気を持って、情報があれば、いじめられたとか被害に遭ったということがあれば公正取引委員会に申告をなさるようにお願いをしているところでございます。

○太田(和)委員 ありがとうございました。
 下請法附則第七条には、「この法律の施行後五年を経過した場合において、新法の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、新法の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」と定めております。法律の施行日は平成十六年四月一日ですから、既に五年が過ぎております。
 また、本委員会では、十五年改正の際、「下請取引の公正及び下請事業者の利益の保護を一層促進する観点から、附則に定める五年後の見直し規定にかかわらず、情報成果物作成委託及び役務提供委託に係る本法の施行状況を踏まえ、検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずること。」という附帯決議を付しています。
 要するに、五年を待たずに検討を加えて、所要の措置をせよという決議だと思います。
 そこで、公取においてはどのような論点について今後、検討している論点があれば教えていただきたいんですが、お願いいたします。

○竹島政府特別補佐人 法律には、最近というか大分前からかもしれませんが、必ず見直し規定というのが入ることになっておりまして、下請法についても見直し規定が入っているということでございまして、これは一般論ですが、必ずしも具体的な問題点があって見直し規定があるわけじゃないと思っております。
 下請法に関しては、率直に申し上げまして、今現在、下請法を改正しなければならぬという検討課題を私ども持っておりません。  論点としては、今の資本金区分、例えば製造業の場合、三億円とかで資本金区分を切っている。まあ、一億円を超えるものと一億円未満のものだってやはり優越的地位の濫用が行われ得るじゃないか、そういうところは全部落ちちゃうじゃないかというようなことで、資本金区分をもっと細かくせよというような御議論もあることはあるんです。
 私どもはそれも検討しましたが、細かくすることのメリット、デメリット、これは、中小企業基本法の中小企業の分類をそのまま私ども使わせていただいているわけなんですけれども、それと違う下請法独自の資本金区分を設けるというのは、これはまた事業者に非常に混乱を及ぼすのじゃないか。
 あるところでは問題にならないけれども、下請法になったら、あなたは親ですよということになったのでは、親が中小企業金融に借りに行くというようなことになったのでは、何か非常にわかりにくいでしょう。今だって、自分が親かどうか、自分が下請かどうかわからないのに、下請法独自の資本金区分というのを設けることについて、私は、その結果、仮に、五%か六%、下請関係にあると思われるものが新たに網にかかるとしても、そのためのコストが非常に大きいし、煩雑性を考えても問題があるのではないかと思っています。そういう資本金区分の見直しを別にしますと、私は、法律を改正しなきゃならぬ具体的な問題点は今指摘されていないというふうに思っておりまして、私ども自身もそう思っています。
 ただ、やらなきゃならないのは、運用面をしっかりしなきゃいけない。今回の法案審議でも御指摘ありましたけれども、サボってこちらの照会に答えない。書面調査しているわけですが、答えてこない。これは善意の場合もあるかもしれないけれども、悪意で、もう公取には報告しないというものもあるかもしれない。そういうものがたび重なると、やはりそれを問題視して、どうしてあなたは回答しないんですかということもわざわざ今新たに特別調査ということでやったり、それから、フォローアップの方もやっています。
 確かに累犯もありますので、累犯の場合には、単なる従業員ではなくてトップを呼んできて、あなた、何回も何ですかということで、しっかり下請法を守るようにしなさいというようなこともやっておりまして、そういうことで工夫はしておりますけれども、下請法自体の改正は、先ほど申し上げましたように、今、具体的な改正のテーマを持っていないということでございます。

○太田(和)委員 ありがとうございます。
 今委員長がおっしゃったとおり、下請法は、物品の製造委託などの場合には、資本金三億円超の事業者と資本金三億円以下の事業者の取引、そして資本金一千万円を超えて三億円以下の事業者と資本金一千万円以下の事業者の取引に適用される。したがって、資本金一億円の事業者と五千万円の事業者の取引や資本金一千万円以下の事業者同士の取引、つまり、資本金が同一区分にある事業者同士の取引には適用されないということがあると思います。
 自動車部品業界などでいうと、二次、三次、四次の部品メーカーが同じ中小企業のくくりになっていて、例えば、割引困難な手形を交付されても、下請代金を減額されても、下請法では救われないということになります。この経済状況の中で、そうした事例が今多発しているというお声も聞いております。中には、下請法はざる法ではないかと言うような方もいるぐらいです。
 そうした場合は、資本金の大小に関係のない優越的地位の濫用条項で救えるのかどうか。仮に公取から注意を受けても、注意は注意だし、下請法のような原状の回復はできない。だとするなら、下請法の適用基準について、もう少し現実に即した見直しというものも必要ではないかなというふうに私は思っております。例えば親事業者と下請事業者を定義する外形的要件について、資本金にとらわれない要件といったものをつけ加えるとかということです。
 韓国の下請法は日本の下請法を参考につくられたとも聞いておりますが、韓国では、中小事業者同士の取引を見る場合、年間売上高または従業員数で、元請事業者が下請の二倍以上ある場合の取引を規制の対象としているそうです。これはこれで、日本の基準と比べ、救われるケースもあれば、逆に救われなくなるケースもあると思います。一長一短かもしれませんが、しかし、現行の資本金の大小だけで要件を定めるのではなく、もう少し工夫したやり方で多くの取引をカバーできないのかなということの、きょうは問題提起だけさせていただきたいと思います。
 最後に、時間もなくなりましたので、下請法の施行状況についてお聞きします。
 下請法被疑事件のうち、どういう処理をされたのかというふうに見ますと、この三年間、勧告は十一件、十三件、十五件、警告が二千九百二十七、二千七百四十、二千九百二十九と、けた違いに多いです。
 法律に基づいて勧告を行うには、ある程度慎重に時間をかけて調査をする必要があるので、機動的に警告を打って対処しているという説明だったと思いますが、やはり、筋論で言えば、警告の割合を下げて、名前が公表される勧告がもう少しふえるようなやり方の方が、法運用の透明性が上がるのではないかなというふうに思います。
 この点について公取のお考えと、そして最後に、私は、この警告中心になっている背景には、検査体制が不十分だからではないかなという感じがしております。
 一昨日も議論になりましたが、公取の調査スタッフは、本局三十七名も含めて全国で六十四人。地方だけだと二十七人しかおりません。私の地元のある東北地方では、たった三名でカバーしております。もちろん中小企業庁、地方経済局の下請代金検査官もおりますが、本庁の二十六名を含めて計六十六人です。したがって、東北地方では、公取三人、中小企業庁三人、計六名でチェックをしています。きっちり調査して勧告に持っていく体制がこの人数では不十分ではないかなという気がします。  二十一年度予算で十八名増員されたばかりですが、今後の検査体制の充実へ向けた官房長官の答弁もあわせてお聞きしまして、私の質問を終わりにさせていただきたいと思います。

○竹島政府特別補佐人 私から前半の方の御質問にお答えさせていただきます。
 勧告件数が少ないではないか、むしろ警告件数のシェアを減らして勧告件数を多くすべきではないかという御指摘でございます。
 私ども、まさに法律を厳正中立に適用しているつもりでございまして、特に減額なんというのは非常に被害が大きいわけで、これも一定額以上のものはちゃんと挙げて、大体のものは勧告をしているわけでございます。それに至らないようなものは警告で、その場合でも減額される場合も当然あるわけでございます。やはり、ハードルを下げるというよりも厳正にやるということの方が、私どもの公正取引委員会という立場からも、正しいやり方かなと思っております。
 いずれにしましても、実効性のある下請法の執行ということについては、これからも、御指摘を踏まえて努力してまいりたいと思っております。

○河村国務大臣 御指摘の執行体制の強化の問題でございます。
 公務員定数抑制の方向ではございますけれども、独占禁止法あるいは下請法の厳正な運用が求められている、こういう必要なものについてはやはりきちっと対応しなきゃなりませんので、この執行体制の強化に努めたい、そのような認識でおるところでございます。

○太田(和)委員 ありがとうございました。

○東委員長 これにて太田和美さんの質疑は終了いたしました。