171-衆-経済産業委員会-2号 平成21年03月13日
○太田(和)委員 民主党の太田和美でございます。民主党で一番の質問者になります。どうぞよろしくお願いいたします。
 早速質疑に入らせていただきたいと思います。
 昨日、内閣府から、平成二十年度の十月から十二月期のGDPの二次速報が発表されました。それによると、GDPはマイナス三・二%、年率換算でマイナス一二・一%と、一次速報に比べ若干改善されましたが、先進国中最悪の数字には変わりがありません。寄与度で見ると、純輸出が平成十九年にプラス一・三%と成長の大半を支えていましたが、それがマイナス三・〇%になり、いかに外需に依存し過ぎた影響が大きいかがわかります。
 経済産業大臣として、この数字をどのように受けとめているのか、認識をお伺いしたいと思います。

○二階国務大臣 ただいまお話がありましたとおり、昨日発表されました実質GDP成長率、前期に比べマイナス一二・一%、今御発言のとおりであって、大きなマイナス成長となっております。
 これは、世界的な経済が減速する中で、今お述べになりましたとおり、輸出に大きく依存しておったということが言われるわけでありますが、外需寄与度がマイナスになったほか、消費や設備投資も同じく減少したことによるものであります。
 こうした実質GDPの動向からも明らかになりましたように、我が国の景気は急速な悪化が続いており、厳しい状況にあるものと認識せざるを得ません。
 このため、私たち経済産業省としては、まず、当面の雇用対策、そして年度末でありますから、資金繰り対策に万全を期すことが取り急ぎ重要なことであります。また、来年度の当初予算の早期成立、執行を図るとともに、新たな成長シナリオの策定、実行を通じ、経済を回復軌道に乗せるべく全力で取り組んでいく考えであります。
 まずは、先ほど申し述べましたとおり、金融の問題、雇用の問題、こうしたことに我々は重点を置いてまいりましたが、今後、国民の皆さんに明るい未来を指し示し、国民の皆さんと一緒に立ち上がる、そういう経済復興のシナリオを着実に描いて、与野党の皆さんの御理解や御指導を得たい、このように考えておるところであります。

○太田(和)委員 ありがとうございます。
 今回のこの世界不況と言われている危機なんですけれども、総理大臣も、きちんと対応すれば日本は間違いなくこの不況から脱出することができるというふうにおっしゃいました。私もそう思っております。しかし、問題は、きちんとした対応がとられているかどうか、そこに限ると思います。
 二十年度の一次補正、二次補正、そして二十一年度の本予算、三段ロケットと言われましたが、この対策でGDPの押し上げ効果がどのぐらいトータルであるのかどうか、内閣府の方にちょっとお答えをしていただきたいと思います。

○梅溪政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘の累次の対策でございますが、総額七十五兆円の事業規模の対策でございます。これによりまして、二十一年度の実質GDP成長率を試算可能な範囲内で計算いたしますれば、一%ポイントほど押し上げるものと考えております。

○太田(和)委員 民間調査機関の間では、来年度はマイナス三%前後の成長率になるとの予測が大勢です。三%減るものを三段ロケットで一%戻してもマイナス二%です。政府の役割として非常に不十分だと言わざるを得ません。そもそも、二〇〇九年度の実質経済成長率は〇・〇%と政府は見通しを示しておりますが、計三回の経済対策、事業規模は合計七十五兆円、この対策で一・〇%近く成長率を押し上げゼロに持っていくという、まず見通しから考えが甘いのではないかなというふうに思っております。
 総額七十五兆円といっても、三段ロケットと胸を張っておられますが、真水でいえば十二兆円、先進国ではかなり低い方だと思います。財政措置の規模でいえば、対GDP比でアメリカが五・五%なのに対し、日本は二%にすぎません。ベストの予算と言っておられますが、先進国で一番最後に不況から脱出なんということになってしまうんではないかなというふうに私は思っております。
 本当にこれで十分なのかどうか、大臣の御認識をお伺いしたいと思います。
    〔委員長退席、岸田委員長代理着席〕

○二階国務大臣 過去三回にわたる経済対策についての御評価をいただきましたが、私どもも、残念ながら、三回にわたる経済対策、これがすべてであったというふうには思っておりません。
 というのは、日本の置かれている財政状況は世界各国に比べまして最も厳しい財政状況にあるわけでありまして、その中で許される範囲の精いっぱいの対策を講じてきた、それが七十五兆円であったわけでありますが、ようやくこのことに対して御承認をいただいたものですから、我々は、今後においてこの対応を、さらなるものを考えていかなくてはならないと当然思っております。
 内需を主導する、先ほどからお話しのとおりでありまして、そうした経済成長を目指すためには、まずは生活者、中小企業及び地方に力点を置いて、さらにきめ細かい対策を経済産業省としてもとっていかなくてはならない。当面、雇用対策そして資金繰り対策を中心にしてやってまいりましたが、先ほども申し述べましたとおり、これからのいわゆる成長のシナリオというものは、既に新経済成長戦略においても相当の部分は発表しておるわけでありますが、今後、このことを基礎としながら新たな成長シナリオをつくって、必ず国民の皆さんの期待にこたえられるようにやっていきたい。そのためには、あらゆる政策を総動員してやっていく。
 そして、規模が小さいという民主党のトップバッターからの御指摘がございましたが、民主党さんもそういうお考えでおっていただくならば、我々は、与野党十分協議をしてこの危機的状況を乗り越えていくということに対応していきたいと思っておりますので、御協力をお願いしておきたいと思います。

○太田(和)委員 規模だけを言っているわけじゃないんです。その中身が一番重要だと思っております。
 先日、大臣は所信表明の中で、まず資金繰り対策をやる、雇用確保につながる支援をやる、下請法違反に厳正対処するなどと言われた後に、こうした対策によって世界で最初に不況から脱出することを目指すとともに、その先を見据えた新経済成長戦略改訂版に掲げた政策課題を強力に実行しますというふうに述べられておりました。
 私は、ちょっと違和感を覚えました。言葉じりをとるようで大変申しわけないんですが、大臣所信とはこれからの一年をどのようにするのかという大切なメッセージでもありますのでお伺いしたいんですが、もちろん資金繰りなどは大切です、応急の止血措置でありますから。ただ、この中を見ると、その止血措置で不況から脱出するというふうに書いてあるので、どういうことなのかなと思いました。むしろ、成長戦略改訂版、二〇〇八年度改訂版、これを実施していくことによって不況から脱出できるというふうにおっしゃっているのかどうか、ちょっと確認をさせていただきたいと思います。

○二階国務大臣 所信で私が申し上げました趣旨は、現下の経済情勢の悪化、緊急事態に対応するいわば止血でありますが、中長期的な成長をもたらす経済政策を同時に実施すべきである。短期的な対策、そして明るい将来につなげていくという視点で取り組んでいきたいと考えております。
 そのため、中小企業に対するセーフティーネット貸し付けの拡充や、日本政策投資銀行等による低利融資やCP買い取りなどの当面の緊急対策にとどまらず、将来に向けて日本経済を強化するための政策課題にもチャレンジしてまいりたいと考えております。そうした観点から、今お示しの新経済成長戦略改訂版では、我が国の中長期的な経済成長を実現する戦略を示しておりますが、当面の経済対策や雇用創出につながる措置も含まれております。
 例えば、太陽光発電の導入促進政策は、太陽光パネルの製造による需要の拡大と、販売店や工務店あるいはお地元の大工さんに至るまで、各建設業に関係する皆さんを総動員して雇用の創出につなげていきたい。したがって、我々は直ちに、今各県において、太陽光発電導入の技術的な面で訓練を受けていただけるように、現場でそういう研修会等を計画しているところであります。あわせて、パネル設置に必要な、将来を展望したような技能の開発あるいはまたさらなる人材の育成、また、あわせてこのことが雇用の吸収につながるわけでありますし、短絡的な人材のミスマッチを現場でも解消していきたい。中長期的な観点からしますと、エネルギー自給率の向上、環境負荷低減、さらには社会を支える人的資源の強化にも貢献していきたいと思っております。
 また、巨大コンテナ船の利用を可能にするようなスーパー中枢港湾の整備を進めることは、短期的な需要を増大させ景気を刺激すると同時に、将来、我が国の国際的競争力の強化にも大いに役立つ政策だと考えております。
 現下の経済情勢が厳しいものであるがゆえに、明るい将来を展望しながら、先ほども申し上げたとおり、あらゆる政策をあらゆる省庁が連携してこの緊急の事態を乗り越えるということで取り組んでいきたいと思いますから、どうぞ民主党からも、いろいろな御意見があろうと思いますから、具体的な御意見を提示いただいて、御一緒に対策を考えていきたい。
 先ほどの赤羽議員からも、先般も経済産業政策についてたくさんの御要望をいただいておりますが、我々は、取り入れられるものは、できるだけ前向きに、積極的に取り入れていきたいというふうに考えております。

○太田(和)委員 御丁寧に御説明をありがとうございました。
 ただ、私がまだ非常に疑問を持っているのが、この成長戦略の改訂版、昨年の九月十九日に閣議決定がされております。リーマン・ショックが九月十五日ですから、その直後ですね。今回の経済危機の深さや重さ、それが世界経済に突きつけた意味などを受けとめる時間的余裕がなかったというふうに思っております。
 したがって、この改訂版は、そもそも経済危機からの脱出の処方せんとしてつくられたものではないということだと思いますが、大臣、どうでしょうか。

○二階国務大臣 我が国のこれからの中長期的な展望を描いたものでありまして、我々は、これからこの不況を脱出するために今直ちにとらなければならない対策については、各省と今連携して、この政策の立案に努力をしているところであります。
 ただ、今この国会で二十一年度の予算を御審議いただいている最中でございますから、我々はそうしたことも十分念頭に入れて慎重に対応しておりますが、今直ちに対応しなければならないことを十分頭に入れて、新たな成長のシナリオをつくり上げたいというふうに思っております。

○太田(和)委員 これから新たなシナリオをつくる、非常に遅いんではないかなというふうに私は思っております。
 百歩譲って、この改訂版が基本になるということですから中身の方をちょっと見させていただきたいと思いますけれども、基本は〇六年版と同じですから、イノベーションに力を入れる、サービス業を双発エンジンにする、資源生産性の抜本的向上を図るというようなことが書かれております。私もそのとおりだと思います。個々のテーマでそうだというふうに思うところはたくさんあります。
 しかし、決定的に違うな、足りないなというふうに思う点は、外需に依存し過ぎた経済構造を変えて、内需が主導する安定した経済成長を実現するのだという決意が伝わってきません。
 もちろん、イノベーションを成功させ、世界市場で日本が打ちかっていくことは極めて重要です。しかし、これまで先進国の中で際立って外需に依存してきて、円安の中で車や電気製品をたくさん売って、外貨を稼ぐことで成長してまいりました。だから、経済危機で最も打撃を受け、多くの非正規雇用労働者が路頭に迷ってしまった。
 そういうこれまでの日本のビジネスモデルを見直すのだという戦略が、どこにも伝わってこないんです。ところどころに内需の牽引力を強めるということは書いてありますが、それが基本戦略になっていないということです。前任の甘利大臣とこの委員会で質疑をしたときも同様の感じがしました。
 経済産業省は、基本的に、外需が本命という発想なのではないかなというふうに思います。日本はこれからも少子高齢化がどんどん進みますし、内需といってもたかが知れている、こんな認識が実はあるんじゃないかな。
 私は、その外需も大事ですが、これまで依存し過ぎてきた、だから今後、内需と外需のバランスを変えようという立場ですが、大臣の本音を聞かせていただきたいと思います。

○二階国務大臣 内需も外需もバランスよく、あらゆる業界の皆さんに奮起していただくことが大事であります。
 例えば、中小企業の皆さんにもこの前お願いしたことは、中小企業の皆さんが苦しい立場にあることは十分承知をしておりますが、それでも、中小企業の中で元気のある企業は一人でも多く新しい採用をお願いできないかということを御相談申し上げましたところ、千社の皆さんに御参加いただくことを目標にしておりましたが、ふたをあけてみますと、千四百社の皆さんが御参加をいただきました。
 県に伺ってみますと、県の方からは、さらに多くの皆さんが御参加をいただける。きのうも三重県知事が参りましたが、ある程度、国が求めていただいた三重県の中小企業に対して、我々県がもっときめ細かく地域の皆さんに訴えて、雇用をふやしていこうということをやる。
 そうしたわけで、中小企業の分野においても、やってみればやってみるだけのそういう成果があるわけですから、我々は、外需の面も内需の面も十分考えて対応したいと思いますが、内需に今後力を入れていくということは、仰せのとおり当然のことであると思っております。

○太田(和)委員 民主党の経済対策は、政府のものと根本的に発想が違います。基本的に、一年や二年の時限措置ではありませんし、年金、医療など社会保障をしっかり再構築し、まず将来不安を解消する。お金を消費に回せる環境をつくる。そして、子ども手当、農業の所得補償、ガソリン税の暫定税率の廃止、高速道路の無料化、これら家計を豊かにする政策を恒久措置として実施します。民主党の試算では、子ども手当、暫定税率の廃止、高速道路の無料化だけでもGDP押し上げ効果は一・九%と、政府の二倍近くになります。それを行った上で、さらに、今現在取りまとめ中でございますが、環境、安全分野を中心に追加対策をやるべきだと主張しております。
 政府の政策ですと、一次補正、二次補正、本予算、不発したからもう一回補正と、こんなのでは、本当に先進国の中から一番に脱出することができるのでしょうか。一番最後に脱出することになってしまうというふうに思っております。
 先日、日経新聞の論説委員長がおもしろい記事を書いておりました。「どの首相も成長戦略を作りたがる。その首相が頻繁に代わるので、いくつも戦略ができる。その上、どれも網羅的で、経済産業省の新経済成長戦略などはA5判で三百五十ページもある。」「各省の案を集めて成長戦略を作るので「実態は各省の予算獲得のための大義名分集」と、ある官僚は明かす。」というふうに書いてあります。これでは、不況脱出も本当に危ぶまれます。こうなるのは、官庁主導だからです。二階大臣には、政治のリーダーシップを発揮していただくようにお願いを申し上げたいと思います。
 次の選挙で、各党が成長戦略をマニフェストとして掲げて、そして国民に選択をしていただく、その日が一日も早く来ることが不況脱出のかぎを握っていると私は思っております。
 最後になりますが、春闘が山場を迎えております。経済産業省の北畑前次官がある雑誌で、労働組合の賃上げ要求に対して、「正しいことだ」というふうに述べておられました。以下、読み上げさせていただきたいと思いますが、「輸出産業や赤字企業は難しいでしょうが、内需型産業や黒字企業には、よく考えてもらいたい。企業の財務内容は以前と比べて格段に良くなっています。輸出が激減しているわけですから、国内消費を拡大して内需を喚起しないと景気が回復しません。」このように述べられております。
 このことに対する大臣のお考え、そして企業へのメッセージをお伺いしたいと思います。

○二階国務大臣 北畑前次官は大変優秀な官僚でございましたが、雑誌にそういう意見を発表されたことは私どもも承知をいたしております。
 しかし、今の程度の御意見は、私はもう昨年の九月のころに経済界の皆さんにお訴えをして、ぜひこの賃金についてお考え願いたいということを申し上げてまいりましたが、それから以後の経済情勢は、私が今ここで改めて申し述べるまでもなく、とても賃金の問題を御相談するような場面ではなくて、人減らしをしないでください、社員の皆さんの雇用を続けてくれること、こちらがそれを頼まなきゃいけないような情勢になっておったことは事実であります。
 そこで、今後において、私たちが今、中小企業の皆さんに人雇いということをずっとお願いして回っているのは、大企業の皆さんもこのことをやはり感じてくださいよということを我々は訴えておるわけでありますから、そういう面が今は一番大事だというふうに思っております。
 賃上げ問題については、それぞれの企業の現状における経済力、財政力、またその企業の将来性等で経営者が御判断いただくことでありますが、我々としては、できるだけ給料が上がるように、生活が豊かになるように、消費が健全な形で回復するようにということを願っております。その希望をこの場でお伝えして、答弁にかえます。

○太田(和)委員 ありがとうございました。
 黒字企業もあるわけですから、経済産業大臣として、そういった会社には、ぜひとも、賃上げに対して、内需拡大をしていく、頑張っていただきたいということを大臣からもメッセージとして残していただきたいというふうに思っております。
 時間もなくなりましたので、私が申し上げたいことは、いつも言っているとおり、外需と内需のバランス、これをしっかりと示していただくことが必要だというふうに思っておりますので、これからも内需主導型の経済構造に持っていくためにともに歩み寄ってやれるところはやっていきたい、そのように思っております。
 ありがとうございました。