170-衆-経済産業委員会-4号 平成20年12月03日
○太田(和)委員 民主党の太田和美でございます。本日、二階大臣になられて初めての質疑になると思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 本来であれば、十一月三十日に選挙が行われて、今ごろ新聞の見出しに民主党政権へという言葉が躍っていたのかなというふうに思うと、甚だ残念でなりません。
 まず大臣にお尋ねをさせていただきたいのが、十月三十日に政府が発表した定額給付金について、まずお尋ねをしたいと思います。
 本来なら総務大臣にお尋ねしなければならないことだとは思いますけれども、生活対策は、景気対策、経済対策として世間の期待を集めているところもありますので、あえて経済大臣にお尋ねをいたしたいと思います。
 まず、二兆円の定額給付金の経済効果、これはどの程度あるとお考えでしょうか。

○二階国務大臣 効果がどの程度あるかということも極めて重要なことでありますが、私どもは、今日のこのような冷え切ったような経済情勢の中で、あらゆる政策を総動員してこの状況を突破していこうという考えであります。
 生活対策で、仰せのとおり、総額二兆円を限度として生活支援定額給付金、仮称が実施されることになったわけでありますが、定額給付金については、現時点では、市町村における制度の具体的な運用をどうするかということを検討されている最中でございますが、雇用の下支えの強化等いろいろな施策とあわせてこれが消費拡大につながることを期待いたしております。
 今議員も御指摘になりましたように、これは総務大臣の担当であっても、私ども生活対策というそのものをお預かりする経済産業省としては、こうした面から政府が生活者の不安を少しでも取り除くということにきめ細かく対応しようとしていることでありますから、当然経済産業省としても歓迎であります。

○太田(和)委員 内閣府では、〇・一%から〇・二%しかGDPを押し上げる効果がないとしております。六割、七割が貯蓄に向かうだろうとも言われております。支給方法は、迷走の末、自治体に丸投げとなりました。所得制限がないことから、福祉対策、生活者対策と考えるのも難しい、しかも年度内の実施すら難しい、そして国民の六割から七割が評価していない。二兆円も使って、こんなに評判の悪い減税というか給付金はかつてなかったのではないかと思います。まさに百年に一度の暴風雨どころか、百年に一度の愚策ではないかというふうな声も上がっておるぐらいです。
 政策はタイミングだと思います。だから、もし仮に百点満点の政策でなかったとしても、四十点の政策でも、とにかくスピーディー、タイムリーにやれば効果を発揮する場合もあります。しかし、十点の政策をだらだらと遂行するなら、何の効果もないどころか、かえってマイナスになる場合もあります。
 この定額給付金の裏づけとなる第二次補正予算案を来年の通常国会に出すということですが、思い切って給付金を補正予算から外す、撤回する、大臣はこのようなお考えはお持ちにならないでしょうか。

○二階国務大臣 定額給付金の問題につきましては、既に政府内でもあるいは与党との交渉においても了承されて成立していることでありますから、今経済産業大臣が撤回するとかしないとかということを言及すべき議題ではないと思います。

○太田(和)委員 国民の大切な税金でございますので、かじを切り直す勇気も大切だと思います。経済を担当する責任ある大臣として、ぜひとも責任のある行動、発言をしていただきたく、お願いを申し上げさせていただきたいと思います。
 次に、先日の党首討論でも、また本委員会でも既にいろいろな議論が行われている問題ではありますが、非常に重要な事柄でありますので、私からも改めて質問をさせていただきたいと思います。つまり、なぜこの臨時国会に第二次補正予算を提出しなかったのかという問題であります。
 麻生総理は、小沢代表に対して、年末の資金繰りは第一次補正で何とかなる、法人税の歳入不足額がわかるのが十二月中旬になるから臨時国会には出さないんだという趣旨の答弁をいたしました。
 大臣も、先月二十六日の本委員会で、北神委員の質問に対し、できるだけ早く提出して成立を願うという気持ちはあると答弁をしながらも、緊急保証とセーフティーネット貸し付けの九兆円の枠に関しては、年内はこれで乗り越えていけるだろうという答弁をされております。
 しかし、中小企業の年末の資金繰り、第一次補正に盛り込まれた緊急保証六兆円とセーフティーネットの貸し付け三兆円の合計九兆円で本当に十分なのかどうか。緊急保証についての中小企業のデータによりますと、十一月二十六日から連日、一日当たり実績が一千億円を超えています。二十八日には一千五百億円近く保証しております。十二月三十日まであと十九営業日ありますので、仮に保証のペースが上がって一日二千億円近く保証するようになれば、それだけで三兆八千億。さらに、十二月一日までの実績、九千二百五十億を加えると、五兆円近くになるわけです。
 たとえ、六兆円の枠内だから大丈夫と言えるのでしょうか。もしもっとペースが上がったり、あるいは二次補正の審議に予想以上に時間がかかったりしたら、これは六兆円の上限が見えてきて、保証に影響が出てくるのではないかというような気がしております。
 なぜ二次補正を臨時国会に出さないのか。これには先ほど来大臣が高く評価している定額給付金も入っているわけです。早く出して成立させれば、年度内に実施できるかもしれません。また、年末にも向けた緊急保証の枠は一次補正の分だけで本当に十分なのか。この二点について、改めてお伺いをします。

○二階国務大臣 大変御心配をいただいてありがたく思いますが、補正予算は、第一次の補正予算で九兆円という保証及び金融の枠をお認め願っておりますから、これを活用することによって、年内はもとより、年を明けても、いつまでもいつまでもというわけにはまいりませんが、ここ当分の間、今議員が御質問になり、御心配をいただいているような期限においては、心配はありません。
 私どもは、毎日毎日、全国の保証枠、金融の状況等を把握いたしておりますが、今日この状況で年末を迎えたとしても、保証枠あるいは緊急融資の点において、足りなくなったというふうな事態はないということを判断いたしております。
 そして、第二次補正予算についてでありますが、生活対策の予算化をする、金融機能強化法が成立した場合の予算化を考える、二十年度税収の大幅減への対応が必要である、これらの三点を特に考え、総理が年明け早々の国会に提出するという御決断でありますから、我々は、この方針に従って予算を提出し、一日も早い成立に向けて努力をしていきたい、このように思っております。

○太田(和)委員 ありがとうございます。
 いまだ私はなぜ二次補正を出さないのか理解に苦しみます。なぜこの臨時国会で審議をさせていただけないのか。本音は、国民から評判の悪い定額給付金が入っている二次補正予算案をこの臨時国会で出せば、野党や国民から集中砲火を浴びてしまって立ち往生してしまうのではないかというのが本音なのではないかなというふうな気がしております。
 私は、選挙は政治空白につながるという麻生政権のとらえ方は、世界的に見ると極めて異質な論理ではないかと思っております。アメリカは選挙を通じてどちらの経済対策の方が危機を克服できるか論争をしてきたわけです。そして、国民の信を得た政権が一気に強力な経済対策を実行する。麻生総理の言い方は、こういうアメリカ民主主義を否定しているようにしか聞こえません。選挙は政治空白ではありません。今からでも遅くないので、改めて、第二次補正予算を今国会に提出すること、そして、一日も早く衆議院の解散・総選挙を行うことを政府に強く求めたいと思います。
 解散の時期についてはこの委員会で聞くのも少し変かと思いますけれども、ただ、解散のことについても二階大臣にもお尋ねしたいことが一点ございます。
 解散の時期については、確かに十月には、経済危機の深刻さから、景気対策を優先するから選挙を先送りにするという声が多かったのが世論だと思います。しかし、選挙を先送りしても有効な経済対策をスピード感を持って実行しないので、世論もそっぽを向きました。十二月一日に出た日経新聞の調査では、解散・総選挙の時期について、できるだけ早くが三六%、年明けの通常国会冒頭が一五%と、年明けまでの解散を求める声が五割を超えました。解散を急ぐ必要はないが前回の三六%から一八%に半減しました。
 解散は総理の大権と言われていますので、ちょっと二階大臣にお尋ねしにくいところもあるんですが、早急に解散し、選挙で経済対策を闘わせる、そして国民の民意を背景にした政党が、信を得た政権が強力な経済対策を実行するべきであるという、私たち民主党の主張に対する大臣の感想をお尋ねしたいと思います。

○二階国務大臣 与野党で議論を闘わせ、そしてより国民の皆様にいい政策を実現していく道筋を決めていく、私は民主主義のルールだと思います。ですから、例えば、党首討論などというものは、特に予算も何も特別たくさん必要だというわけでもないわけですから、しょっちゅうやってもいいわけなんです。一週間に一回やってもいいわけです。そして、テーマのないときはお休みを続けておいてもいいわけでありますが、それこそ政治のそのときそのときの状況によって、開かれたり開かれなかったり。
 私は、あの党首討論という制度を英国から導入していろいろ対応したときに、自民党の国対の責任者の一人が今の国対委員長の大島さんであったと記憶をしております。余り進んでおりませんでした。しかし、また一方は、これを早くやろうということで、席の位置までいろいろ指図をして、こうしようああしようといってようやくあれができ上がったんですが、いざふたをあけてみると、なかなか開かれない。ですから、ああいうことをもっと盛んにやることが合理的ではないかと思っております。
 なお、アメリカの大統領のこと、あるいはアメリカの政策について引用されておりますが、それは我々は一応傾聴すべきことだと思いますし、先ほども申し上げましたが、きのうも民主党の長老で大変有力なダニエル・イノウエ議員あるいはシーファー大使等がお見えになりまして、アメリカの実情についていろいろなお話がありましたが、私は、アメリカはアメリカだと思っています。私たちは私たちとしての政策を自信を持って遂行していくことが重要な時期だと思っております。
 以上です。
○太田(和)委員 御答弁ありがとうございます。
 選挙をすれば毎日のように党首討論ができると思います。これ以上はこの問題については質問をいたしませんけれども。
 次の質問に移りたいと思います。
 一昨日、麻生総理は、経済団体のトップに来春闘での賃上げを要請されたと報道されております。二階大臣も同行されたと伺っております。大臣は、たしか九月にも経団連に賃上げを要請されておりますよね。何度も何度も頭を下げられて、私も本委員会で同じことを何度も申し上げておりますが、お願いはしないよりした方がいいに決まっております。しかし、問題は、効果があるのかという一点であります。
 九月のときは、これはリーマン・ショックの前だと思いますが、経団連の会長も、重く受けとめる、来春闘ではできるだけのことをしたいとやや前向きとも受けとめられる発言をしていたのに、一昨日は、賃金交渉のスタンスは検討の最中で、本日の要請を踏まえさらに検討したいとトーンダウンをしました。明らかに空振り、国民向けのポーズにしかすぎないのではないかというふうに思ってしまいます。お願いの効果があったということでしたらこの場で御披露をしていただきたいんですが、しかし、そうはいっても、経済団体首脳に厳しく要請をしてもらわなければならないこともあります。
 厳しい雇用環境を反映して、企業の就職内定の取り消しが既に三百件以上にも上っているということであります。水面下ではもっともっと多くの学生が泣き寝入りをしているのかとも思います。合理的な理由のない内定取り消しは違法であります。経済界を所管する経済産業大臣として、違法な内定取り消しはやめるように明確なメッセージを出すべきだと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

○二階国務大臣 経済界に対して、賃上げの要求を、経済団体の幹部の皆さんがおそろいの場で私の方から申し上げたことは事実であります。
 過去にそうしたことをそういう場所で明確に発言をするというふうなことは余り例のないことでありますが、私は、この事態におって、この事態といいますか九月のあの状況の中でも、景気対策ということを考えていかなきゃいけないということで、経済界に協力を要請したわけであります。
 本来、これは労働組合とか野党の皆さんがしっかりおやりになる仕事でありますが、これは、私の方は、与党も野党もともに国民や労働者の立場に立たなくてはならないという見解から対応をしておるわけでありますが、これはこれからも粘り強く我々は対応していくつもりであります。(発言する者あり)

○東委員長 御静粛に。

○二階国務大臣 しかし、そのためには、経済界が経済界としてこたえられるようなバックグラウンドをつくっていくことも、これも私ども与党や経済産業省の責任の一端であろうと思っております。  要は、幾らかでもこの世の中が明るくなるように、そして、景気回復されて消費が拡大されていくように配慮することが大事である、こう考えております。

○太田(和)委員 内定取り消しの件について、メッセージをお願いします。

○二階国務大臣 内定取り消しということは、極めて新卒の人たちにとっては残酷なことでありますから、こうしたことをできるだけ少なくするように、いろいろな面から働きかけていきたいと思っておりますが、そうした企業に対しては、私どもは、具体的に取り消しなどの行為に走らないように説得をしていくつもりであります。

○太田(和)委員 ありがとうございます。  内定取り消しの件については、若い人たちのこれからの将来、人生がかかっていることですので、ぜひ経済産業大臣として、これからもしっかりと、違法な内定取り消しはやめるように粘り強く明確なメッセージを出すなどしていただきたいというふうにお願いを申し上げたいと思います。  次に、十月三十日の生活対策に盛り込まれた中小企業の軽減税率の時限的引き下げについてお尋ねをしたいと思います。
 これは、与党の方で検討が始まっているのでしょうか、私どもの耳には入ってきませんが、民主党が軽減税率の半減を以前から主張しております。選挙対策でこれもちょっとぱくってしまえというような政府の考えなのかわかりませんが、生活対策に盛り込まれたという説もあるやに伺っておるんです。私は、生活対策にある高速道路の週末千円の乗り放題も、子育て応援特別手当も同様だと思うのですが、民主党の目玉政策の上澄みだけ取り出して、適当に薄めてメニューに並べるというやり方はいかがなものかなと思います。
 本来なら、みずからの主張を一部でも取り入れてもらえたということで、政策の一部が実現したと喜んでいいのかもしれませんけれども、抜本的な改革を必要としている今の日本の危機的な状況を考えると、こんな中途半端な政策では全く喜べません。中小企業の軽減税率も、どのぐらいの期間そしてどれだけ下げるのか、これからの検討にかかっているでしょうが、私は、思い切って半減する、こういうことを打ち出したら、資金繰りに苦しむ世の中の中小企業の人がどれほど勇気づけられるのかと思います。
 民主党の政策の一部を取り入れて上澄みだけとってというのではなく、危機に当たって政治は中小企業を応援するんだという、半減ならはっきりとしたメッセージになると考えますが、政治家として、大臣は来年度の税制改正に当たってどのような期待と注文をお持ちなのか、ぜひお聞かせいただきたいなと思います。

○二階国務大臣 まず、時間も短いことですから長く議論するつもりはありませんが、よく、政策が盗まれた、こう言われますね。これは、皆さんがそうおっしゃっておるというわけではないんです。かつて、社会党がずっと野党を担当しておった時代も、すぐ、自民党は政策を盗んだ、こう言うわけですね。私は、政策なんというものは、みんなで考えてこれはいいなということがあれば一緒にやっていけばいいものですから、これは、盗んだとか盗まれたとかというそういう次元の話ではないということだけぜひ御了解をいただきたい。
 次に、世界経済の今日の減速に伴う輸出の減少や我が国の景気後退の影響によって、中小・小規模企業の業況、資金繰りが一段と厳しさを増しておることは先ほど来議員御指摘のとおりであります。このような極めて厳しい経済状況に直面する中で何よりも重要なことは、資金繰りのことが大事であると同時に、税制面でも効果的に支援をするということが政府としての大きな役割であろうと思っております。
 そのため、十月三十日に策定しました生活対策に従いまして、中小・小規模企業に対する軽減税率の時限的引き下げや、欠損金の繰り戻し還付の復活等の措置を確実に実現していくことが重要であり、目下与党の方でその審議をいたしております。
 軽減税率の時限的引き下げの具体的な措置については、今まさに与党の税調において真剣な議論が展開されておりますから、私たちとしても、与党と十分相談をし、同時に、今御指摘のあった点についても、議員のそうした真摯な御意見に対して我々は十分耳を傾けていきたいと思っております。  中小企業を担当する立場で、軽減税率の時限的引き下げが中小・小規模企業の資金繰りや事業の継続につながることを私自身も強く期待をしておるものであります。

○太田(和)委員 ありがとうございます。我々の法人税、中小企業に対しての軽減税率半減ということに関して耳を傾けていただけるというようなお答えをいただきましたことに、本当に心から感謝を申し上げたいと思います。  時間がありませんので終わりにしたいと思いますけれども、いずれにしても、私たちは、この直面する危機に対応するために、一日でも早く経済政策を議論していかなければならないと思っています。野党には政府の政策をチェックするという責任があります。一刻も早く二次補正案を提出していただくことを二階大臣にも切にお願い申し上げまして、私からの質疑とさせていただきたいと思います。
 大臣、ありがとうございました。

○東委員長 これにて太田和美さんの質疑は終了いたしました。