166-衆-経済産業委員会-15号 平成19年06月06日

○上田委員長 次に、太田和美君。

○太田(和)委員 民主党の太田和美でございます。
 本日は、外国人労働者問題、とりわけ、今政府内であり方をめぐって議論になっております外国人研修・技能実習制度についてお尋ねをいたします。
 研修・技能実習制度で日本に来る外国人は、直近で約十三万人ということであります。日本は高度人材については積極的に受け入れるけれども、それ以外については慎重に対応する、単純労働者については受け入れないというのがこれまでの政府の対応だったわけですが、現実には、日系人は特定の資格で入国するのではなく、血筋で入ってきて、就労制限もありませんから、二十七万人が自動車等大企業で派遣や請負の形で働いております。また、留学生、就学生が十六万人いて、そのうち十万人が、就学許可を得て、飲食店やコンビニ店で働いています。
 ですから、研修・技能実習生も、建前は国際貢献、つまり途上国への技術移転が制度の趣旨となっていますが、実態は、繊維、機械、金属などの中小企業、あるいは農業や食品などの分野で単純労働に従事している方が大半でございます。
 そこで、第一に、制度の建前と現実の乖離、そして第二に、これは不適正な受け入れ事例やトラブルが後を絶たないということがあります。ついせんだっても、これは五月十三日の毎日新聞ですが、青森の縫製会社の話で「中国人実習生逃走 朝八時から深夜十一時まで労働 残業手当わずか時給三百五十円」という大きな記事が掲載されておりました。
 こんな例はそれこそ枚挙にいとまがないわけでして、研修・技能実習生のうち期間途中で失踪した人は、平成十四年から十八年までの五年間で九千六百七人ということになっております。約一万人弱が失踪したということです。昨年は、私の住んでいます千葉県でも、トラブルから研修生が受け入れ団体の幹部を殺傷するという事件が起こりました。
 法務省入国管理局のまとめでは、不正行為認定機関数は、平成十八年、過去最高の二百二十九機関となりました。こうした建前と現実の乖離、そして後を絶たないトラブルと違法行為、このあたりが今般の制度見直し作業の背景にあると認識をしております。
 そこで、まず大臣にお尋ねしたいのは、五月十四日に経産省として研究会の取りまとめも出されたようですので、これまでの研修・技能実習制度をどのように評価し、そして今後どのように改革をしていくべきだとお考えなのか、お答えをください。

○甘利国務大臣 外国人研修・技能実習制度は、研修・技能実習生の企業現場でのOJT、オン・ザ・ジョブ・トレーニングを通じた技術移転による国際貢献の制度、これが制度の根幹であります。その過程で受け入れ機関は彼らの技能を活用することができる仕組みとなっているわけでありまして、多くの受け入れ機関はその趣旨を踏まえて運用しておりまして、研修・技能実習生の多くは、帰国後、その経験を生かして母国のために活躍をしているというふうに聞いております。
 産業界からもこの制度は評価されておりまして、より高度な技術の習得機会の付与など、研修・技能実習生及び受け入れ企業双方にとってさらに望ましい制度に拡充をしてほしいという要望も寄せられているところであります。
 他方、御指摘のように、昨今、案件数はかなり多いという御指摘がありましたが、一部の受け入れ機関において、制度の趣旨に反して、割り増し賃金の不払いなど不適正な管理の例なども指摘をされておるわけでありまして、制度運用の適正化を図る必要があるということを認識しております。
 これらを踏まえまして、経済産業省といたしましては、先般、この制度の適正化と、それを前提とした制度の高度化を図る見直し案を提案させていただいたところでありまして、今後、よりよい制度を構築すべく、関係省庁と議論をさらに深めていきたいというふうに考えております。

○太田(和)委員 ありがとうございます。
 今回、経済産業省案の最大の特徴というか、厚労省案そして法務大臣私案との大きな違いは、現行制度をほぼ維持しているところでございます。もちろん、改善策も盛り込まれていますが、現在は、不適正な受け入れ等があって、事業者の責任によって受け入れが取り消された場合、今は研修・実習生は帰国するしかありません。そうなると、本国の送り出し機関に多額の違約金を払わなければいけません。それが嫌なので、人権侵害や法令違反があっても訴え出にくい。それを訴えやすくするために、受け入れ取り消しになってもほかの企業で研修・技能実習を継続できる仕組みをつくるとか、あるいは不適正な受け入れ機関への罰則を受け入れ停止三年から五年に厳しくするとか、さらに受け入れ機関や受け入れ企業についての外部評価、審査を行う機関をつくるとか、幾つかの提案をされております。
 それにしても、厚労省は研修制度を廃止するのだと言っております。三年間、技能実習生として受け入れ、労働法規を適用するのだというのに対し、経産省は、研修一年は残す、この間は労働者ではないですから、給料ではなく月に六万から七万の手当を渡せば済みます、そして、それが終わったら二年間の技能実習というスキームは現在と変わりません。
 経産省にお聞きしたいのは、なぜ研修制度を残すのかという点です。経産省案を読みますと、技能移転による国際貢献という趣旨を取り去ってしまえば、受け入れ企業等による技能教育や生活支援は担保されない、あるいは、労働者受け入れと受け入れ側が割り切ってしまえば、低賃金労働者として酷使されるおそれがある、むしろ現実の悪用事例の制度を追認することになりかねない等々の記述があるわけですが、この点についてわかりやすく御説明をください。

○立岡政府参考人 お答え申し上げます。
 私どもでまとめました研究会の報告と、それから厚生労働省でおまとめになった研究会の報告の差についてのお尋ねでございますけれども、私どもの認識といたしましては、厚労省でまとめられた研究会の報告におきましても、外国人技能実習制度というのが技能移転による国際協力の制度として位置づけられておりますし、その性格を今後とも維持した上で、適正化と高度化を提案しているということだと理解いたしておりまして、そういった意味では、大きな方向性においてはさほどの差はないというふうに理解をいたしてございます。
 その上で、私どもの研究会では、今委員が御指摘になられましたように、そういう提案をしているわけでございますけれども、その考え方は、基本的に技能移転による国際貢献という、目的といいますか、理念といいますか、志といいますか、そういったものを基本に据えるならば、やはり今の研修という枠組みを維持した上で、研修期間中の日本語教育をきっちりやるように政省令で担保したり、あるいは罰則で担保したり、さらには、研修生が不都合な事態に直面した場合には、それを申告できることを簡単にできるような、そういうような取り組みを進めるなり、つまり、研修の充実ということと不適正事例の排除ということを組み合わせた形でやっていくということでどうかという提言をいただいたところでございます。
 もちろん、その研究会の議論の過程におきましては、当初から労働者としていろいろな労働規制を適用してはどうかという議論もございましたけれども、やはりこの制度の本旨に立ち返って考えますならば、そういう内容の充実と適正化ということを組み合わせてはどうかということでこういう結論に立ち至った次第でございます。
 いずれにいたしましても、私どもとしては、大きな方向下においては差はないと思っています。それを実現する手段としてはいろいろあると思いますけれども、その点につきましては、今後、関係省庁間でよく議論をして、すり合わせてまいりたいというふうに考えてございます。

○太田(和)委員 それでは、厚労省にお尋ねをしたいと思います。
 今、経産省から御説明のあった点について、厚労省としてはどのようにお考えでしょうか。

○奥田政府参考人 お答えいたします。
 私どもの報告書は、五月十一日に中間報告という形でまとめられまして、発表いたしました。
 その中で、基本的な考え方につきましては、今、経産省の方からお話がございましたように、技能移転を通じた国際協力という目的は今後も維持した上で、一部に見られる劣悪な労働環境、実習環境の改善を図る、こういう意味では基本的な考え方は一致をしているというふうに認識をしているところでございます。
 そもそも、私どもの研究会が始まりましたのは、規制改革・民間開放推進会議の中で、実務研修中の研修生の法的保護を図るために必要な措置を講ずるべきである、こういう命題が与えられましたので、それに対してどういうふうにこたえていったらいいのかということで、いろいろな現状もヒアリングをしたりしながら調査をいたしました。
 そういう中で、委員御指摘がございましたように、実際には、残業ということは研修生ですのでできませんけれども、そういった実態もあるというようなこと。それから、研修手当といいますのが、生活する上で必要と認められる実費の支給というふうにしか法務省令では定められておりませんので、幾らが適当なのかといった判断が非常に難しいというようなこと等、今の状況でなかなか、研修生の保護を図るということは、いろいろな意味で制約があるということから、私どもといたしましては、現在、研修生として一年間認められているわけですけれども、この研修期間中は大きく二つに分かれるわけです。
 一つは、いわゆる座学といいますか、の部分でございます。この部分は、外から見ましても、これは明らかに座学で、労働はしていないなということがだれの目からもわかるわけですけれども、実務研修と呼ばれている部分が、実際には生産現場で製品をつくったりということをやっておりますので、その過程を見る限りはなかなか、これが在留資格である研修なのか、資格外の労働に当たるものなのかということを判断することが、特に中小零細企業の現場を見ますと非常に困難だということがございました。
 そういう中で、研修生の法的保護の実効性を確保するという観点から、私どもの考え方といたしましては、実務研修におきましては、これをやはり実習生と同様の法制のもとに置く必要があるのだろうということで、そういうふうにいたしますと、労働法制、労働基準法とか最低賃金法とか安全衛生法とか、労災保険法もですけれども、いろいろな法律の適用ができますし、それから、監督官による監督指導、申告を受け付けて監督指導をする、こういったことが可能になってまいりますので、そういう意味で、研修生の保護を図るという観点からは、研修というものを実習という形に切りかえることが、保護の観点からは最も効果的ではないかということでこういった考え方を示したわけでございます。

○太田(和)委員 ありがとうございます。
 経産省にもう一点お尋ねをしたいんですけれども、厚労省の説明資料を読むと、研修・実習生の数が日本人従業員を大きく上回り、実習生を適正に指導できる体制が確保されていない例が見られるとあります。つまり、今、本来は五%、従業員が二十人なら一人までしか受け入れられないのを、団体監理型を優遇して、従業員三人から五十人までの企業には、毎年研修生三人まで新規受け入れが可能とされております。
 そのため、例えば、一年目に三人の日本人従業員がいれば研修生を三人受け入れる、次の年、三人の研修生は技能実習生になっていますので、これが従業員にカウントされるので、最初の年にいた三人の日本人はいなくても、新たに三人の研修生が受け入れられる。そうすると、三年目には日本人なしでも六人の技能実習生と三人の研修生という職場ができます。
 こういう極端なケースも想定されるので、厚労省は受け入れ人数については今後検討するという方針です。この受け入れ人数については、経産省の案では、ペーパーに特に記述がないんですが、経産省の考え方があればお聞かせください。

○立岡政府参考人 お答えいたします。
 研修生の受け入れ人数の枠につきましては、出入国管理及び難民認定法、いわゆる入管法に基づきます法務省令及び告示で決められておりまして、その骨格は今委員が御指摘になられたとおりでございまして、原則五%なわけでございますけれども、さらに、その下の告示で、中小零細の事業者につきましては、これは規模ごとに差があるんですけれども、五十人以下の企業については三名の受け入れが、五%にかかわらず可能だ、ただし常勤職員の数を超えちゃいけない、こういうことになっているわけでございます。
 したがいまして、この制度のもとでは、今委員が御指摘になられましたように、最初は三人の常勤職員がいて、三人の研修生を受け入れて、それが実習、実習ということで、三年目には最大九人になるというのは事実でございます。
 それからまた、仮に日本人の従業員がどこかの段階、最後の段階で離職をいたしますと、御指摘のとおりの事態が生ずることになるというのは、もちろんこれは最終的には入管御当局がどういう判断、運用、解釈をされるかによりますけれども、制度上、そういうことは起こり得るというふうに認識しておる次第です。
 それで、こういう事態がどのぐらい頻発しているかについて、私ども、蔓延しているというふうには聞いてはおりませんけれども、御指摘のとおり、厚労省さんの報告で、そういう事態があるというふうな御指摘がされていることは承知をいたしております。
 確かに、こういうケースにつきましては、実習生への技能移転がしっかり行われるかという観点から見ますと大いに疑問なしとしないわけでございまして、そういう意味では、入管当局あるいは労働基準当局で把握されている実態、あるいは入管法に基づく省令、告示の解釈、運用についてもお伺いした上で、私どもといたしましては、技能移転という本旨に立ち返って、今後、全体を見直す中で、この問題についてもよく相談をしてまいりたいというふうに思ってございます。

○太田(和)委員 経産省としてもこの案をぜひ盛り込んでいただきたいなというふうに思っております。
 先ほどの、研修をやめるのか残すのかという議論のポイントは、厚労省は、組織的な労務管理体制が不十分な中小企業では、労働とならないよう研修の性格を担保することは困難だという判断をして、だから研修制度をやめてしまおう、一年目から労基法を適用させよう、こういうふうに提案をしているんだと思います。
 一方、経産省は、研修をなくし、労働者として受け入れると、逆に酷使されると。不正行為の多くは、中小企業組合などが受け入れを行います団体監理型の受け入れで発生をしています。そして、研修・実習生の九五%はこうした団体監理型です。その受け入れ企業の半数以上が従業員十九人以下の零細企業であります。中小企業の労務管理能力をどう評価するのだということだと思います。
 経産省も厚労省も、我が方の案の方が研修・実習生を保護できるのだという主張であります。大変美しいんですが、私は、技能移転、国際貢献というのは、それは一部で優良なケースもあるのでしょうが、現実には、研修生、実習生を受け入れている企業の主目的は、格安の労働力ということでしかないと思っております。現場では、国際貢献というのは、そのための方便というか、イチジクの葉っぱでしかありません。
 先ほど引用しました新聞記事、実習生に逃げられた青森の縫製会社の社長さんは、「切羽詰まって研修生を受け入れた。最低賃金以上を払うのなら、彼女たちを雇わなかった」と語っております。実態はそういうことなんだと思います。
 この関連の記事によりますと、全国四十七都道府県の労働局が、研修・技能実習生を受け入れている八百六十六事業所を監督指導したところ、八割の事業所で長時間労働や基準外賃金の未払いなどの違反があったそうです。
 格安の労働力、のどから手が出るほど欲しい。だけれども、単純労働者は受け入れられないので、技能移転、国際貢献というのを表看板にする。大臣、これは裏口入学と言われても仕方がないのではないでしょうか。むしろ、中小零細企業は人手不足ですし、格安の労働力でないと国際競争に勝てない。だから、そういう外国人の労働力が必要だというのが本音だと思うのですが、大臣、いかがでしょうか。

○甘利国務大臣 あくまでも、この制度は、相手国の発展に資するような技能移転を図っていくということが建前なんですね。本当の建前化してしまっているのではないか、だったら本音でやればいいじゃないかという御指摘かもしれません。
 しかし、中小企業といえども、やはり歯を食いしばって頑張るところは頑張っていただかなければならないのでありまして、低賃金で、三K職場のことは外国人にやらせようという精神は、やはり、国際社会の中で尊敬される地位を築かなければならない日本としては、歯を食いしばってもそういう策はとるべきではないというふうに私は思っているのであります。
 建前化しつつあるという御指摘はそうなのかもしれませんが、それであっても、それを外しちゃうと、では、大っぴらに、最低賃金でどんどん外国人に嫌な仕事をやってもらおうということになってしまいますから、そこは頑張って食いとめなくちゃいけないですし、やはりきちんと日本語を学んでいただいて、技能を身につけていただいて、そして、帰って国の発展に資する人材になってもらいたい、この建前は、苦しくともやはり守っていかなきゃならないというふうに私は思っております。

○太田(和)委員 ありがとうございます。
 そこでなんですが、法務省の長勢大臣が五月に私案を発表されました。私案なので法務省の事務方の皆さんは説明する立場にないということでしたので、きょうはお呼びしていないんですが、要は、受け入れの目的を国際技能移転に限定せず、国内で必要な労働力確保に資するものに転換する、受け入れ団体の許可制度を設ける、外国人就労期間は三年とし、再就労は認めない、技能実習制度は廃止し、研修制度は存置し、見直しを行うといった内容で、これから法務省に具体的に指示をして、検討を開始されるということであります。
 大臣は、この長勢私案をどのように評価されておりますか。

○甘利国務大臣 先ほど来申し上げております私の危惧をまさに顕在化させてしまうのではないかと思っております。
 日本は、大企業は当然でありますけれども、中小企業といえども、やはり高付加価値化をねらっていかなきゃいけないんですね。中小企業の中でも優秀な技術を持っているところはたくさんありますから、それを製品、商品、サービスにしていく努力を怠ってはいけない。安い労働力に頼って生き残ろうとするという方向性は、私は、短期的にはそれで切り抜けられるかもしれませんけれども、中長期には無理だと思うんです。
 それに、日本人が働きたくない嫌な部分を取ってかわってやってくれというのは、国際社会のリーダーを務めなければならない日本としては、余り褒められた姿じゃないなというのが私の思いであります。

○太田(和)委員 ありがとうございます。
 この長勢私案なんですが、裏口入学をやめようという点で、建前と現実の乖離をなくそうという点は評価できるのですが、三年で帰ってもらう短期就労制度はうまく機能するのか、また、そのことが日本の労働市場に悪影響を与えないのか等々、十分な検討がなされなければなりません。
 景気がよくなって、若者の雇用の状況もだんだんよくなっておりますが、私は、若者のニートがかえってふえていること、年長フリーターがなかなか減らないことなどを含めまして、若者の雇用問題は構造的な問題だと思っておりますので、だから、人手不足といって安易に研修・実習生を含めた外国人労働力に頼るのではなく、まず、日本人の雇用に最優先で取り組むべきだと思っております。
 しかし、現実にはこれが一番難しい点でありまして、研修生、実習生を受け入れるような職種は大体地味で、余り現実的なイメージがありません。若者が近寄りにくい仕事が多い。三Kの仕事が多い。日本人に求人広告を打っても、だれも集まらないから、研修生、実習生ということになる。しかも、その職種の賃金水準自体が低い。JITCOの自主点検結果を見ますと、研修生、実習生の受け入れが伸びている繊維や食品、農業が、とりわけ賃金水準が低いです。
 私は、これは中小零細企業だからしようがないのだろうということではなく、とりわけ国際競争力のない分野をどのようにするのか、撤退するのか、国外に移すのか、それとも改革して高度化させていくのか、そういった形での経済産業省のちゃんとした経済政策がなかったからではないでしょうか、あるいは、中小零細企業に対し、最低賃金以上をしっかり支払えるようになるような支援策を打って来なかった結果ではないかと思っております。
 そこで、質問をいたしますが、昨年六月、政府の関係副大臣でつくる外国人労働者問題に関するプロジェクトチームにおいて取りまとめを行った際、低賃金構造の業種に対する産業政策を明確化すべきであると盛り込まれておりますが、この点について、どのような検討が行われているのでしょうか。大臣、お願いします。

○甘利国務大臣 まず、産業として競争力のなくなったものがどうあるべきか。これは、いろいろな施策を講じて競争力を回復できるという余地があるものは、産業政策としてしっかり取り組んでいく必要があると思います。どうやっても勝てないというものについては、それは市場から撤退せざるを得ないことになるというのはやむを得ないことかとも思います。
 引用されました繊維の関係でありますが、確かに、繊維産業の常用労働者の一人当たり年収は、他の製造業平均に比して三割下回っております。これをもってもう繊維産業はだめだとは我々思っておりませんで、国内の生産と流通における効率性をどう上げていくか、あるいは、魅力をどう付加していくかということに取り組んでおります。
 いわゆる繊維ビジョンというのを取りまとめたところでありまして、ITによる構造改革の推進とか取引慣行の改善、技術力の強化とか素材の開発力の強化、あるいは情報発信力の強化、日本ファッション・ウィークを通じて、日本がファッションという感性に関しても魅力的な地であるということをアピールする、こういうことを通じて競争力を回復する産業であるというふうに思っております。
 今後とも、競争力を失った産業が再び主役になれるような強化策について、あらゆる面から検討していきたいというふうに思っております。

○太田(和)委員 例えば、鋳物、日本人の若者が来ません。私もこの間、埼玉の鋳物の現場を見させていただきましたが、だから安易に研修生、実習生に頼ってしまう、こんなことでいいのか。若者の雇用対策の観点からだけ申し上げるのではなく、日本の産業基盤、ものづくりのコアの部分で、技術、技能が継承されない、空洞化が起こる、これでいいのか。ものづくり基盤の部分で日本の若者をどのように取り込んでいくのかということも、これからの課題は残されているかと思います。
 時間が参りましたので、最後に大臣にお尋ねをしたいのですが、私は、率直に言って、外国人労働者というと、現実には、先ほども申しました、格安の労働力というイメージがあり、安易に頼ることは国内の労働市場に悪い影響を与えたり、格差がますます拡大しかねないという思いを持っております。
 しかし一方で、少子化時代、国際化、労働力不足の時代の中で、特に日系外国人や研修・実習生の実態が先行してしまっていますが、どういう形なら外国人労働力を入れてもいいのか、どういう形なら外国人労働者の権利も保護できるのか等々、慎重に検討していかなければならない時期なのかと思っております。
 外国人労働者政策を今後どのようにデザインしていくのか、大臣のイメージみたいなものがありましたら、最後にお示しをしていただきたいと思います。

○甘利国務大臣 政府の方針は、専門的、技術的分野の労働者の受け入れは積極的に対応する、一方、単純労働者については、慎重に対応するというのが基本であります。
 この専門的、技術的分野の労働者につきましても、日本に留学をして、そのままその知識を生かして就職をしていく、あるいは、国に戻って、その国の復興のために技術力を発揮する、能力を発揮する、そういうシームレスな系統ができ上がっていないと思います。そこで、私は、留学から国に帰っての就業、それらが一連として結びついていくように、アジア人財資金構想というのを文科省とともに今年度から実施をするつもりであります。
 そして、研修・技能実習制度については、国際的な技能移転という制度の根幹をしっかりと守りつつ、労働法制に反するようなことがないように、きちんと体制をとっていくということであります。

○太田(和)委員 ありがとうございました。