166-衆-経済産業委員会-10号 平成19年05月09日

○太田(和)委員 民主党の太田和美でございます。
 映画盗撮防止法案が作成され、本日にも委員長から提案されると伺っております。ただ、まだ提案されておりませんので、私は、政府に対して、まず、昨今の映画の盗撮をめぐる状況について、またその防止策について何点か質問をさせていただきます。先ほどの川内委員の質問とかなり重複すると思いますが、重要な点ですので、確認の意味も含めまして、改めてお尋ねをさせていただきます。
 まず、立法事実に関してでありますが、盗撮された影像をもとに年間にどのくらいの海賊版映画DVDが生産、販売されているのか、また、これによって我が国の映画産業はどれぐらいの被害を受けているのか、お願いをいたします。

○肥塚政府参考人 年間の海賊版DVDの生産ですとか販売枚数については、海賊版という違法行為の性格上、正確に把握できておりませんけれども、海賊版が日本の映画産業に与えた損失につきましては、全米映画協会の調査がございまして、二〇〇五年で年間約八百二十億円というふうに推定されております。ちなみに、全世界では、たしか十八ビリオンぐらいという計算をしていたと記憶しております。
 このうち、盗撮が原因と思われるものの損失は約二百億というふうに推定されております。これは、映画劇場主の損害にDVDその他のものが、百八十億に乗りまして二百億というふうに推定されております。昨年は、「ダ・ヴィンチ・コード」あるいは「硫黄島からの手紙」、「ゲド戦記」、「武士の一分」といった主要な作品について日本の映画館で盗撮が行われた、それで映画業界に大きな被害をもたらしているというふうに聞いております。

○太田(和)委員 私の個人的な感じですが、海賊版DVDの中には本物と見まがうような鮮明な画像のものも最近はあるようです。しかし一方で、盗み撮りするわけですから、ピントが合っていなかったり、画面サイズがスクリーンと合っていなかったりするものもあるそうです。また、人のシルエットが映り込んでいたりするものもあるそうです。つまり、ちゃんとした鑑賞にたえられる影像かどうかでまだまだ購入の際にリスクがあるのが海賊版ではないでしょうか。これを、映画館に足を運ぶ映画が好きな人がどの程度買うのでしょうか。さらに、海賊版を見たからもう映画館には足を運ばないという人がどの程度いるのか。一方、映画が好きで、映画は大画面で見るのに限る、家で幾ら四十インチの画面で見てもつまらないという人は、そもそも海賊版には目を向けないでしょう。
 ですから、映画産業の被害というのは、海賊版を買うことによって本来映画館に足を運ぶはずの人が足を運ばなくなる数、そして、海賊版を買うことによって本来正規のDVDを買うはずだったのが買わなくなった数、この合計だと思います。これはなかなか把握できないと思います。しかし、それにしても、先ほど示された被害額には一体どのような算出根拠があるのか、お願いをいたします。

○肥塚政府参考人 先ほど申し上げましたように、全米映画協会の調査というもの、そういう数字として私ども承知しておりますけれども、日本の劇場興行主の海賊版による損失額が二〇〇五年で約百八十億円というふうに推定されている、これはほぼ盗撮による被害というふうに考えられております。それからまた、ビデオ、DVDの販売あるいはレンタル等でも大きな被害が出ているということで、約六百四十億というふうに推定されておりまして、この中にも盗撮に由来するものがあるということで、これらを合わせて二百億円以上の損失というふうに推定しています。
 調査内容は、詳細は公表されていないようでありますけれども、アメリカ、イギリス、スペイン、ドイツ、フランスといった二十二カ国で同じような調査が行われているというふうに承知しております。

○太田(和)委員 大きな被害が出ているだろうということは想像できるんです。ただ、これは後ほど質問いたしますが、盗撮防止法案は、十年以下の懲役もしくは一千万円以下の罰金またはこれらの併科と、大変重い罰則を科しております。これからは、映画館に入るのに持ち物チェックを受け、暗視カメラをつけた監視員に見張られながら映画を見るということになるかもしれません。映画の愛好者に納得して受け入れていただくためにも、私は、映画産業が受ける被害、法律の立法事実、これはもう少し正確に示す努力が必要だったのではないか、これは指摘だけさせていただきます。
 次に、今申し上げました罰則についてお尋ねをいたします。
 十年以下の懲役もしくは一千万円以下の罰金というのは、一般の国民にとっては大変重いという受けとめ方ではないだろうかと思います。著作権侵害罪を私的複製の適用除外をしないでそのまま適用するからこうなるのだとは思うんですが、国民にとっては余りそういう理屈は関係ないと思います。例えば、殺人罪でも死刑または無期もしくは五年以上の懲役ということですから、場合によっては映画を盗撮する方が殺人より量刑が重いということが出てきます。ほかにも、申し上げませんが、こんな悪事よりも映画盗撮の方が重い罰則なのというような事例は多々あります。
 もちろん、厳罰化することで暴力団やマフィアの資金源を断つという意図に反対するわけではありませんが、しかし、国民だれでも親しんできた映画館で影像を録画するということがそれほど重い罪なのかという素朴な疑問があると思いますので、そこは丁寧な説明が必要なのではないかと思っております。文化庁、政府の御見解をお願いいたします。

○吉田政府参考人 映画館での映画の盗撮行為は、海賊版の作成につながる蓋然性の高い行為でございまして、著作権侵害と同等の行為と考えることができるわけでございます。そういった意味で、著作権侵害罪と同等の処罰ということを、今予定されております法案では定められるというふうに聞いております。
 なお、著作権侵害罪につきましては、昨年の臨時国会におきまして、昨今の権利侵害の機会とその規模が増大していること、また、著作権は特許権などと同様に知的財産権のグループを構成いたします一つの要素でございますけれども、特許権や商標権侵害における罰則の水準とのバランスを考慮するというところから、十年以下の懲役または一千万円以下の罰金という形で引き上げをされまして、この七月一日から施行予定という形になっております。
 この罰則の適用につきましては、その行為の違法性あるいは悪質性、そういったものにかんがみまして適切に判断されるものというふうに考えております。

○太田(和)委員 先ほども少し触れましたが、映画盗撮防止法案は、著作権法上の私的複製を認める規定を映画の盗撮に限って適用しないこととしております。言うまでもありませんが、私的複製はユーザーの大事な権利であり、国民の文化活動を下支えするものです。それを制限するわけですから、映画の盗撮を防止するためにほかに手段がなかったかどうかが明らかにされなければならないと思います。
 現在でも、海賊版の頒布行為あるいは頒布目的の所持行為は著作権法で取り締まることが可能ですし、映画館側が施設の管理権限に基づいて盗撮をやめさせることは理論的には可能なはずです。その際、盗撮をしている人物がこれは私的目的に使用するための撮影だと開き直った際、反論できないからこういう法案が必要になったのだろうと思いますが、それでも映画館側の施設の管理権限としてやめさせることはできるわけです。あるいは、別の形で盗撮行為を禁止する新規の立法も可能ではないかと思いますが、これらの点について、著作権法上の私的複製を認める規定を適用しないという方法以外に盗撮を防ぐ立法などはなかったのか、政府の御見解をお尋ねいたします。

○吉田政府参考人 先生御指摘のように、著作権法では、頒布の目的をもちまして著作権者の許諾なく複製を行うことについては著作権侵害という形になされております。
 しかしながら、映画館での盗撮につきましては、映画館におきまして撮影をされている方が、著作権法第三十条一項の私的使用目的の複製である、こういう主張をされ、そのような主張があった場合にその者を追及することが困難であった、そういった取り締まり上の問題がございました。そういった、ある意味では一つの抜け穴といったものがあったということでございまして、今回の法案は、その抜け穴を防いで取り締まりの実効性を上げるものである、そういった趣旨の法案であるというふうに考えております。
 ほかの手段などもいろいろと検討されたかと思いますけれども、私どもとしては、最も問題になっておりました私的複製という主張の穴を防ぐというのは妥当な方法ではなかったかというふうに思います。

○太田(和)委員 また文化庁にちょっとお尋ねをしたいんですが、映画の盗撮という諸外国の立法の状況とその内容はどうなっているのでしょうか。全部著作権法で規制しているのでしょうか。

○吉田政府参考人 映画の盗撮防止につきましては、諸外国においても幾つかの法制的な対応がございます。例えばアメリカでは、二〇〇五年にファミリーエンターテインメントと著作権に関する法律というのが成立をしております。その法律では、著作権者の許諾なく映画などを映画館から送信しまたはコピーを作成するために録画機器を故意に使用しもしくは使用を試みることを禁止しております。また、イタリアでは、二〇〇六年に公共安全法が改正されまして、公共娯楽の場での映画の盗撮が禁止をされております。さらに、香港におきましては、二〇〇〇年に知的所有権条例によりまして著作権海賊規制防止法が改正をされまして、映画館など公共娯楽の場での管理人による明示的な同意なしにビデオ録画機器を持ち込むことを禁止しております。
 各国の法制、必ずしも著作権法というふうには限っておりませんけれども、今申し上げましたような前例がございます。

○太田(和)委員 今回は映画の盗撮ということですが、今後、音楽のライブコンサートあるいは演劇や落語といったほかのジャンルに規制が広がっていくのではないかという懸念についてはどのような見解でしょうか。

○吉田政府参考人 現在準備されております法案は、映画という分野におきます被害の実態ですとかあるいは映画の特質、そういったところにかんがみまして特別な法律をつくるものだというふうに考えております。
 映画と異なりまして、ライブコンサートなどの他の分野におきましては、現在のところ、映画と同様の深刻な被害があるですとかあるいは関係業界からの要望も、私どもは聞いていないところでございます。
 今後、他の分野でも映画と同様の措置が必要になるかどうかということにつきましては、その被害の実態など、いわゆる立法事実の有無があるかどうかといった点を踏まえまして、その状況に応じまして適切な対応を検討していくことになろうかと思います。

○太田(和)委員 では、この法案ができたなら海賊版の撲滅に向けて本当に効果が上がるのかどうかをお尋ねします。
 第一に、映画の盗撮が厳罰に処されるということで、本当に私的に使用するつもりだった、恐らくは、本当に家で待っている家族のために撮るつもりだったとか、帰ってもう一度見るつもりだったとかいう人は、絶対に映画館で撮影しなくなるとは思います。しかし、真に取り締まりたいのは、海賊版を製作、頒布する目的で盗撮する人物だろうと思います。これは確信犯ですし、隠し撮りの技術も進歩していますから、恐らく形を変えて巧妙に隠し撮りを続けてくるおそれがあると思います。この点について法案がどのような効果を持つのか、御見解をお伺いします。
 また第二に、映画の盗撮が日本で厳しく規制されても、規制の緩い国がまだまだ多いわけですから、そこで盗撮されて海賊版が日本に流れ込むという事態は容易に想像できます。これらの点にどう対処していくのか、御見解をお尋ねいたします。経済産業省、お願いいたします。

○肥塚政府参考人 今までも、海賊版対策については流通、販売の取り締まりということが行われてきたわけでありますけれども、本法案が成立して適切な運用を通じて、海賊版の供給源になるような盗撮行為自体についても取り締まりを適正に進めるということで、この法案が成立して悪質な盗撮に対して抑止効果が期待されるということで、米国でも法案整備の後に大きく盗撮件数が減少したというような報告もございますので、我が国においても有効に機能するのではないかというふうに考えております。
 それからもう一点、規制の緩い国で盗撮された映画が日本に流入するリスクというお話でございます。先ほども文化庁から答弁がございましたように、アメリカ、イタリア、香港では法律が整備されつつありますけれども、それ以外の国を含めまして、水際対策とともに規制の緩い国に対して今後とも、私どもそれ以外の分野でも海賊版対策の徹底ということを求めてきておりますけれども、海外に対してこういう働きかけを強めていくためにも、こういう法案によって日本発の海賊版をなくしていくことが有効だというふうに考えております。

○太田(和)委員 最後の質問ですが、映画の盗撮については、甘利大臣は自民党のコンテンツ産業振興議員連盟の会長もされており、法案作成にも関与されているのではないかと思いますが、この法案で、映画の盗撮をもとにつくられた海賊版がなくなるのか、なくしていけるのか、そして映画の観客、ユーザーの側の権利が侵害されることにつながらないのか、また量刑の問題も含めまして、御見解をお願いいたします。

○甘利国務大臣 私は自民党のコンテンツ議連の会長をしております。少なからずこの法案に関心を持っておりました。実際の策定作業は、その議連の中心メンバーや各党間でおやりになったものと承知をいたしておりますが、少なからず強い関心を持っておりました。
 確かに、法律がないにしても、海賊版の取り締まりが完璧に行われるのであるならば、それをとめることができると思います。しかし、それが事実上不可能でありまして、その被害は、先ほど初めて数字を、十八ビリオンダラーということですか、ということは二兆円ぐらいにも及ぶ、しかも、日本は先進国では知財立国を宣言しています。そこから発のまがいものが供給されるということは極めて不名誉なことだと思いますし、もとから断つという意味での効果はあるんだと思います。作成をするもとを断つ。
 しかも、これはなぜ映画館かといいますと、一番最初に上映されるのが映画館等でありまして、テレビで放映されたのをみんなが私的録画する、これはある一定期間を過ぎた後、テレビで放映をされるわけであります。つまり、そのときまでに製作費を回収するということが大事なことなのでありまして、映画収入、それから一定期間を過ぎるとDVDを発売してそれで製作費を回収する、そしてそれをもとに次の作品が生まれるということですから。これを放置しますと、善良な愛好家が新しい作品を見るという権利を剥奪される。つまり、赤字で回収できないんですから、次の製作はできません。そうしますと、いい作品を次々見たい、おもしろい作品、楽しい作品を次々見たいと思っている人たちに作品が供給されなくなってしまうわけでありますから、そういう映画愛好家の新しい作品を見る権利を剥奪させるということを防止するという意味でも意義があるのではないかというふうに思っております。

○太田(和)委員 ありがとうございます。
 私もこの法案には賛成でありますが、重要な点ですので、確認の意味も含めまして改めて質問させていただきました。映画の盗撮の問題についての質問は以上でございます。
 きょうは、もう少し時間がありますので、この四月から改正容器包装リサイクル法が施行されておりますが、経済産業委員会ですので、経済産業省が担当する分野について何点かお尋ねしたいと思っております。
 御案内のように、容器包装リサイクル法は、容器包装廃棄物の排出抑制に向けた取り組みを促進するため、昨年、法改正が行われました。これにより、小売業など指定容器包装利用事業者は、容器包装の使用量低減に関する目標を定めた上で、レジ袋の有料化やマイバッグ利用の促進、声かけなど、これを達成するための取り組みを計画的に行うことが義務づけられました。法改正では、憲法で保障された営業の自由の観点からレジ袋の有料化が義務づけられず、使用合理化の一つの例として例示されたにとどまり、この点が一つの論点だったわけですが、家庭ごみのうち、容積で六四%、重量で二四%を占める容器包装をいかに効果的に減らしていけるかが問われているのだと思います。
 そこで、既に一部の先行的な自治体やスーパーなどの取り組みも行われておりましたが、四月から全面的に施行となったわけで、レジ袋の有料化を含む使用合理化の取り組み状況について、経産省ではどのように把握をしているのでしょうか。先進的な事例を含めて、つかんでいる概要をお答えください。

○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
 小売業者は、本年四月一日から施行されました改正容器包装リサイクル法に基づきまして、レジ袋の有料化、ポイント制の導入等によるマイバッグの持参の促進や容器包装の軽量化ということを通じまして、容器包装の使用の合理化の取り組みを行って、廃棄物の排出の抑制を促進しているというふうに承知しております。
 先進的な事例という御質問でございますが、例えばの事例でございますが、イオン株式会社あるいはサミット株式会社等は、それぞれ京都市や杉並区といった地方自治体や地域の市民団体と協定を結んで、地域におけるレジ袋削減運動と連携をしながら、レジ袋の有料化ですとかマイバッグの持参促進ということを効果的に進めてきているというふうに承知をしております。

○太田(和)委員 私は、コンビニの声かけ、いわゆるレジ袋が必要ですかという声かけですが、これは四月以降もほとんどやられていないのではないかというのが実感です。
 もともとコンビニについては、マイバッグを持って何々のお買い物に行くといった行動様式で行くパターンは少ない、ついでにぶらっと寄ってみる、マイバッグを持っていかないというパターンが多いですから、コンビニのレジ袋使用の合理化はスーパーなどとは違う難しさがあると思います。しかし、減らすために取り組みはしなければならない。このコンビニ業界の取り組み状況についてお答えください。

○伊藤政府参考人 先生御指摘のとおり、スーパーとコンビニエンスの業態の違いということにつきましては、十分認識をしながら対応していきたいと思いますけれども、コンビニエンスストアの業界団体の取り組みといたしましては、日本フランチャイズチェーン協会におきまして、レジ袋削減の目標として、二〇一〇年度までに二〇〇〇年度比で一店舗当たり使用総重量ベースで三五%の削減目標を設定し、五カ年計画で段階的に取り組んでいるというふうに承知しております。
 具体的には、声かけの徹底、適正サイズのレジ袋利用の徹底、協会統一ポスターの掲示、消費者に対する啓蒙活動の強化などを通じて、レジ袋削減に取り組んでいるというふうに承知をしております。実態については、引き続きよく承知をしていきたいと思っております。
 さらに、個別の企業の動きでございますけれども、株式会社ローソンにおきましては、目標を前倒しして、二〇〇八年度までに二〇〇五年度比でレジ袋を使用重量ベースで二〇%削減するという目標を掲げて、コンビニでも使いやすく携帯しやすいマイバッグを配布するなどして、レジ袋の使用量の削減に努めていらっしゃるというふうに承知をしております。

○太田(和)委員 一定量以上の容器包装を使用する事業者、いわゆる容器包装多量利用事業者ですが、これは政令で年間五十トン以上と定められました。そして、この多量利用事業者は、毎年度、使用量、使用の合理化の取り組み状況について主務大臣への定期報告が義務づけられました。そうした取り組みが著しく不十分な場合、主務大臣が勧告を行う、勧告に従わなければ公表する、公表後も勧告に従わなければ命令する、命令に従わなければ五十万円以下の罰金という形で、容器包装使用の削減が担保された形になっております。
 一つは、年間五十トン以上使用する事業者という基準ですが、この基準に入る事業者は報道では七百数十社と言われておりますが、経産省として、どの事業者が該当するのか、既に把握しているのでしょうか。それとも、事業者の自主的な報告を待ち、事後的に漏れがないか検証するという形になるのでしょうか。
 もう一点は、定期報告、勧告からの命令、罰金までのスキームに乗ってこない中小零細の事業者、これも一応使用合理化の義務はあるわけですが、担保するものがない、レジ袋は有料ですとか袋は要りませんねと言いにくい中小小売店の取り組み状況をどう把握し、そして使用の合理化に向けどのように助言していくのか。この二点についてお答えください。

○伊藤政府参考人 改正容器包装リサイクル法に基づきます新たな定期報告が義務づけられています容器包装多量利用事業者につきましては、同法施行令におきまして、前年度の容器包装の利用量が五十トン以上と定めております。したがいまして、実際に定期報告の義務の対象者がどうなるかということにつきましては、改正容器リサイクル法が施行後初めての年度でございます今年度、十九年度の利用量の実績に基づいて判断することになりますので、個別具体的な対象者ということは来年度に入って判明をしてくるということになっております。
 なお、法律に基づく指定法人であります日本容器包装リサイクル協会は、既に、改正前の法律での再商品化義務量というものが費用負担の前提になっておるわけでございますが、その算定の数字というのを一応持っておりまして、十六年度の実績に基づきまして試算をしてみますと、約七百五十社程度が容器包装多量利用事業者に該当するというふうに判断しております。ちなみに、これらの事業者の利用量で容器包装全体の九〇%以上を占めているというふうに承知しております。
 それから、二点目でございますけれども、容器包装多量利用事業者に該当しない中小事業者に対しましても、パンフレットの配布ですとか各地の商工会議所を通じた広報等によりまして、排出抑制を促進するよう周知をし指導してまいりたいというふうに考えております。

○太田(和)委員 リユースやリサイクルも大事ですが、やはり大切なのはリデュース、ごみを出さない、ごみを減らすということだと思っております。
 その意味で、私は、日本の飲料品は、ペットボトルや缶の使用が多過ぎると常々感じております。ヨーロッパなどでは、リターナブル瓶が大半ですし、ペットボトルにしても、三十回も洗って使い回しをする国もあるやに聞いております。ペットボトル三十回というのはさすがに無理としても、日本ではかつてのようにリターナブル瓶の使用を促進するのが現実的だと思いますが、改正容器リサイクル法ではこの点が触れられていないわけです。
 ガラス瓶全体に占めるビール瓶や一升瓶、牛乳瓶などのリターナブル瓶の割合は年々減少し、今は五割を切っているとも言われております。日本でも、かつては町の酒屋さんに瓶を持っていけば有料で引き取ってくれましたが、今では瓶の利用自体が減ってしまいました。
 リターナブル瓶が広がるための課題は、消費者の意識改革、回収システム、洗浄コストの問題などいろいろありますが、制度、政策の面から後押しできる面はあるのではないでしょうか。ヨーロッパでは、ペットボトルや瓶などに対して、デポジット制度に基づくリターナブル制度が広く導入されていると聞いております。
 やはり経産省として、リターナブルな瓶や容器の使用を促進する手だてを考えるべきではないかと思うのですが、経済産業省、いかがでしょうか。

○伊藤政府参考人 先生御指摘のとおり、現在、リターナブル瓶につきましては、飲食店での利用が中心となっておりまして、一般家庭向けにリターナブル瓶を利用した製品の数は減少しているという状況でございます。
 その背景といたしましては、リターナブル瓶が他の容器包装と比較いたしまして重くて割れやすいということなどがございまして、輸送効率の向上や消費者の利便性などの事情を考慮しまして、事業者が他の容器包装を選択していることが背景にあるというふうに思います。
 ただ、当然のことながら、先生御指摘のとおり、リターナブル瓶の活用というのはリユースの観点からも望ましいことでございます。そのため、経済産業省におきましては、平成十八年度より、リターナブル容器の導入に関するモデル事業、例えば、エコマネーを活用できないかとか、瓶の規格の統一により、より回収が容易にならないかとかいったことを含めまして、新たな利用形態の検証を行っております。今後、こうした検証結果を踏まえまして、事業者にリターナブル瓶の使用を促していきたいというふうに考えております。

○太田(和)委員 少し戻りますが、容器包装の多量利用事業者から来年の六月に定期報告書が上がってくるわけです。そして、取り組みが著しく不十分な場合、勧告、公表、命令、罰金となるわけですが、この著しく不十分な場合とは具体的にどのようなケースなのでしょうか。昨年暮れに制定された省令では、目標の設定、容器包装の使用の合理化、情報の提供、体制の整備等々判断基準が示されておりますが、これも、では実際にこういうケースではどうなるのだろうかという点がかなりあります。まず目標の設定や情報の提供、形だけ整えれば、著しく不十分とは判断されないのでしょうか。
 しかし、それだと法案はしり抜けになります。省令を見ますと、「次に掲げる取組」「を行うことにより、容器包装廃棄物の排出の抑制を相当程度促進するものとする。」と書いてあります。ということは、実際の結果も問われるのでしょうか。しかし、それにしても、「排出の抑制を相当程度促進するものとする。」という場合の相当程度とは、どの程度の水準で線を引くのでしょうか。

○伊藤政府参考人 改正法におきます判断の問題でございますけれども、まず最初に触れられておりました著しく不十分というところにつきましては、取り組みをほとんど実施しておらず、同業他社に比べて、売上高等と比較した容器包装の使用量が著しく増加している場合等が当たるというふうに考えております。
 それから、相当程度ということについての御質問でございますが、事業者の判断の基準となるべき事項を規定する主務省令におきましては、レジ袋等の容器包装の有償提供や容器包装の軽量化といいました容器包装の使用の合理化のための取り組みを行うことにより、容器包装廃棄物の排出の抑制を相当程度促進するものと規定しております。
 こうした取り組みによる容器包装の削減効果についてでございますけれども、取扱商品の種類ですとか業態によりまして異なるために、一律の評価ということはなかなか難しいわけでございますけれども、例えば、過去のレジ袋対策における実績を見ますと、おおむね一〇%程度ということでございまして、これらの値が一つの目安になるのではないかというふうに考えております。

○太田(和)委員 著しく不十分や相当程度というのは、かなり行政の裁量権が大きく、これでは取り組む事業者も混乱するのではないかと思います。
 事業者に対して、適正かつ厳正に勧告、公表、命令がなされるかどうか、決意もあわせて大臣にお尋ねをいたします。

○甘利国務大臣 改正容器包装リサイクル法におきましては、新たに、小売事業者に対しまして、容器包装の使用の合理化等を求める措置を講じまして、容器包装廃棄物の排出抑制を一層促進することといたしておるわけであります。
 現在、小売事業者におきましては、主務大臣が定める判断基準を勘案しつつ、取扱商品の種類や業態といった個別の事情に応じた取り組みが進められているところでありますけれども、取り組みが着実に行われるように、実態を十分に把握して適切に指導していくことが必要であります。
 このため、定期報告の内容等を通じまして事業者ごとの取り組み状況を十分に把握しまして、個別に容器包装の削減効果を評価した上で、必要に応じまして、指導、勧告、公表、命令の措置を的確かつ厳正に実施してまいります。

○太田(和)委員 ありがとうございました。
 少し早いですが、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございます。