166-衆-経済産業委員会-9号 平成19年04月25日

○上田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。太田和美君。

○太田(和)委員 本日は、株式会社商工中金法、中小企業信用保険法改正案について質問をいたしますが、商工中金の法案については既に先週かなり議論が煮詰まってきているようですので、最初に何点か重要な点だけ確認させていただいた後、残りの時間を中小企業信用保険法について質問させていただきます。
 株式会社商工中金法ですが、政府出資金の国庫への返納についてお尋ねいたします。
 まず、商工中金が株式会社に転換するに際して、現在の政府出資金四千億円のうち一千億を株式として保有し、残り三千億を特別準備金に充てる、これは先週、甘利大臣の答弁としてそういう数字が挙げられました。行革事務局からは、それは甘利大臣の決意として理解するが、デューデリジェンスをしたらそれより多くなるかもしれないし少なくなるかもしれないというような答弁がありました。
 これは評価委員会の意見を聞いて、経済産業大臣と財務大臣が協議して定めることになっていると附則で定めています。評価が済んでいない、財務大臣との協議が済んでいない現在、大臣が言われるこの一千億、三千億という額は、まさしく決意なのかもしれませんが、明確におっしゃっておられますので、相当の根拠があるに違いないと思っております。まず、その根拠あるいは考え方についてお願いをいたします。

○甘利国務大臣 おっしゃるように、有識者から成る評価委員会を設置しまして、そこでいろいろ御議論をいただいて、その議論を、目安といいますか一つのメルクマールとして、最終的には私と財務大臣とで決定するということに手続上なっております。
 でありますから、私が申し上げたのは、確かに決意であります。政府出資を一千億とし、特別準備金を三千億とするという振り分けが私は望ましいと思いますが、それはなぜかといいますと、現状、政府出資四千億を入れても自己資本比率というのは八・〇一ですね。国際業務の最低ラインであります。これを除きますと、たしか三・五%前後になると思います。そうすると国内基準も満たさないわけで、監督官庁からの指導が入るわけであります。
 でありますから、健全に信用力を持って運営していくためには、今の政府出資の金額が何らかの形として資本カウント、つまりティア1にカウントされて残っていかないと、どういう影響が出るかといいますと、例えば、金融債を発行する、いろいろな債券が発行できるということになっておりますが、移行期間中も、金融債を発行する際に調達金利が上がってしまって、それが貸出金利にはね返る。そうしますと、中小企業者にとっては高いお金を借りなきゃならないということになりますから、やはり信用力をしっかり持っていく。
 評価基準、ダブルAプラスという話もありましたけれども、これを下げるような民営化移行というのは決していい形ではないというふうに思っておりましたから、目安として、一千億を政府出資として置いておく、やがてこれは中小企業関係者に時間をかけて売却をしていくのでありますけれども、残りの三千億は特別準備金、つまり、配当に充てることはできない、きちんと残しておくものとして資本勘定に入れることができるということが大事だというふうに答弁させていただいたわけであります。
 おっしゃるように、これで確定しているわけでございませんで、目安としてはそういうところを目指すべきではないかというのが正確な答弁でございます。

○太田(和)委員 ありがとうございます。
 次に、特別準備金の性格についてです。
 第一に、全部株式で保有しないで、一部を特別準備金として置くというのにはどのような理由があるのでしょうか。
 第二に、特別準備金というのはどのような性質のお金なのでしょうか。これは最終的には国庫に返納する義務があるお金なんでしょうか。
 第三に、法案では、株式会社に転換した後の話として、財務内容の健全性が確保されるに至ったと認められる場合には国庫に納付することができるとあるわけですが、これはだれが判断するのでしょうか。商工中金が判断し、株主総会に諮って決めるのか、それともその判断に政府が関与することになるのか。
 第四に、財務の健全性が確保されるに至った状態とは一体どのような状態を指すのでしょうか。具体的な基準なり考えがあるのかどうか。
 以上の点についてお答えをお願いします。

○山本(幸)副大臣 特別準備金は、今大臣が答えられましたように、財務基盤をしっかりとする必要がある。特に、新商工中金が、引き続き中小企業向けに金融機能を維持しなきゃいけませんので、強固な財務基盤を確立する、そのために設けられるものでございます。
 それから、移行期における国庫納付ですけれども、この決定は、これは商工中金が自主的に国庫納付することができるというようにしておりまして、商工中金の判断で、最終的には株主総会で決めるということになります。したがって、国庫納付義務というものがあるものではありません。政府が関与することはありません。
 それから、その判断基準でありますけれども、法案で、新商工中金の財務内容の健全性が向上して、その健全性が確保されるに至ったかどうかということでありまして、これは、その時々の市場状況や中小企業金融の情勢等を踏まえて具体的に決めていくことになりますので、今ここでこれという、はっきりしたことが言えませんけれども、私どものめどとしては、今、地方銀行が大体自己資本比率一一ぐらいですし、メガバンクは一二%ぐらいありますので、その辺をめどに考えていくんじゃないかと思っております。

○太田(和)委員 今度は完全民営化後の話ですが、先日、三谷委員からも、完全民営化時、特別準備金は国庫に返納するかというような御質問があったと思います。これは財務省との間でまだ決まっていない話だろうと思うわけですが、先週、石毛長官からは、本来の商工中金の金融機能をちゃんと果たせるように必要な措置をとると附則に書いている、そして、法律に明示的に書いてあるわけではないけれども、特別準備金を引き続き置くというのはその一つではないかという趣旨の答弁がありました。
 この点について、大臣からも御答弁をお願いいたします。

○甘利国務大臣 二十年十月に株式会社としてスタートしまして、五年から七年かけて完全民営化、つまり、政府出資の一千億分について構成員、構成員といいますか中小企業団体及び構成する中小企業者が引き受けていくということになります。三千億の特別準備金につきましては、移行期間中に返すことができる。つまり、これは商中の方が財務基盤が固まってくるに従って、返すというよりも納付ですね、借りているわけじゃないですから、納付することができる。その納付した分だけ特別準備金の額が減るわけでありますが、それはやはり財務基盤がきちんと充実をしていく、それに見合ってということになると思います。
 でありますから、完全民営化後も財務基盤がしっかり固まっていない、そういう中で納付するということは経営判断としてはあり得ないと思いますし、十分な財務基盤が固まってきたという判断がなされれば納付していくということになろうかと思いますから、そういった意味で、完全民営化後も残るという可能性は当然あると思います。

○太田(和)委員 現在においては政府出資金が、そしてその転換後には特別準備金が商工中金の信用力の源になっているんだろうと思います。商中債が売れるのもそれがあるからだと思います。そこで、株式会社になって、中小企業の金融機能をしっかり果たしつつも経営の自由度を上げて経営の効率化を図る、これまでとは違う信用力をつくっていこうという話だと思います。
 一方、中小企業向けの金融機能をしっかり果たしていくということを強調すればするほど、そして私はそれをしっかり果たしてもらわないと困るという立場ですが、その性質上、株式会社商工中金はただもうかればいいということにはならないですし、経営効率化一辺倒ということにもならない。だとするなら、政府出資にかわる新たな信用力の構築は相当容易ではないと思っております。
 したがって、この特別準備金の扱いについては、転換に際しての評価と主務大臣の指示、また移行期において返納するかどうかは商工中金の自主的判断、そして、完全民営化後については、決まっていないにしても、とり得る必要な措置の中でどう扱うのか、中小企業向けの金融機能をしっかり果たすという大目的のために十分な配慮が行われるべきであることを申し上げます。これは大臣に御要望だけさせていただきます。
 次に、関連しますが、完全民営化の際、この附則に書かれている、中小企業に対する金融機能の根幹が維持されることとなるような「株主資格を制限するための措置その他必要な措置を講ずるものとする。」という場合の「その他必要な措置」という中には、今、特別準備金の問題も入るんだということでしたが、ほかにどのような問題を想定されているのでしょうか。
 そして、いつ、だれが、どこでそれを決めることになるのでしょうか。経産省、財務省、金融庁、あるいはそのときまで行革事務局があるかどうかはわかりませんが、どこかに会議をつくるのか、審議会みたいなものをつくるのかどうか、御答弁をお願いいたします。

○石毛政府参考人 お答えいたします。
 附則の二条で御質問の趣旨が書かれているわけですけれども、株主資格制限のほかにどのような必要な措置があり得るのかということですけれども、先日来の議論に出ておりますように、特別準備金の扱いということも一つの要素だろうし、それから、金融債の発行などというのもあるんだろうと思っております。
 ただ、そういうようなことにつきまして政府が必要な措置をとるということでございますから、政府の中で、今お挙げになった、私どもも含めた関係の機関でそういうものを合意して、法律上の措置が必要であれば、そういう政府の措置としてその法律の案を政府全体で決定をして、また国会の御審議をいただくということになると思っております。

○太田(和)委員 商工中金の関係では最後の質問です。
 先ほども申し上げましたが、株式会社商工中金が、今後、民間企業として経営効率化に努力する、中小企業金融の役目を果たしながら、それでも財務内容が健全化するようぎりぎり努力する。職員一丸となってやるわけですが、財務内容がよくなったときに、そうすると、特別準備金を返さないといけなくなります。これは新たに構築される信用力がどの程度になっているのかにもよりますが、職員にとっては、頑張れば頑張るほどリスクを負うというジレンマを抱えることになります。こういう仕組みの法案だと思いますが、これで職員のモチベーションが上がるのでしょうか。大臣、お願いいたします。

○甘利国務大臣 御指摘のとおり、財務基盤が確立をされてくる、その余力に従って特別準備金に関して国庫納付をしていくという仕組みになっております。
 そうすると、頑張ると財務基盤を減殺することにならないか、それが職員のモチベーションを下げないかという御指摘でありますが、財務基盤の確立に従ってでありますから、財務基盤の強固さを毀損するような形で国庫納付するということはありませんし、私が見ていて商中のすばらしいところは、融資と経営指導が一体となって、再生機構のようなことまでできる、総合的なプランニングができるんですね。七十年の歴史が培ったノウハウだと思うんですけれども、それが商中の職員の誇り、プライドになっていると思うんです。我々は、よその金融機関にできない、中小企業を育てていくノウハウを持っている、事実そうだと思うんですが、それがモチベーションとして商中を支えていると思います。
 でありますから、恐らく、財務基盤が本当に強固になれば、政府からの言ってみれば応援は少しずつお返しをして、まさに自分たちの力でやっていくぞという、むしろモチベーションが高くなるという方向に働くんじゃないかと思っております。

○太田(和)委員 私は、そもそもこのような形の民営化が本当に必要だったのか、基本的なところでまだまだ疑問が解消されていません。また、肝心の完全民営化されたときの話はどうなるのかもはっきりしません。
 今後、関係省庁との協議で決まるということなんでしょうが、そうした点も含めて、さらに同僚委員の質疑に期待することといたしまして、時間もありませんので、中小企業信用保険法改正案についての質問に移りたいと思います。
 平成十三年の法改正により、信用保証協会において売掛金債権担保保険が創設されたところでありますが、今回は、棚卸資産、経済産業省の資料では豚やワインが例示されておりましたが、要は、在庫も担保として追加しようということでありまして、私は、この法案は、中小企業にとっては、商工中金の法案と同様にあるいはそれ以上重要な法案ではないかというふうに思っております。
 従来の不動産や保証に偏った融資では、これからの低成長時代、もうもたないのではないか、また、不動産担保は不動産価値の上昇というマクロ成長に依存した資金調達のやり方ですし、それよりも、不動産を持たない企業、しかしこれから伸びるぞという中小企業が資金が欲しいときに調達できるよう、売掛金や在庫といった事業収益資産を活用して、資金調達できる環境を整備していこうというのがこのABLだと思います。
 経産省が行ったモデル事業のアンケートの中に、従来のように困ってから借りるというような資金繰りではなく、成長していくための攻めの運転資金調達がいつでもできるという安心感が得られたと評価する声があったとされていますが、ABLの意義というのはそういうことなのかなと感じております。
 大臣は、このABLの意義について、どのように認識されておられるでしょうか。所見をお伺いしたいと思います。

○甘利国務大臣 従来、我が国の金融機関の融資について何がまず必要かというと、不動産ありますか、土地ありますか、建物ありますかということだったんですね。これは土地神話、つまり、土地は絶対下がらないという神話に裏打ちされていたと思うんですけれども、ことし一億の価値は来年は一億一千万なり二千万になる、だから、言ってみれば取りっぱぐれはない。
 そうしますと、一番金融機関にとって大事な審査能力というのはほとんど必要ないんですね。その企業がどういう将来性を持っているか、技術力を持っているか、ポテンシャルを持っているか、あるいは経営能力を持っているか、どんな可能性があるか、本当はそこに着目をしてお金を貸すというのが金融機関の姿勢なんですけれども、そんなものは査定するだけ面倒くさい、土地があれば取りっぱぐれることはないんだからということで、言ってみれば審査部門の能力がどんどん落ちていったんですね。
 ところが、バブルが崩壊をして、土地神話が崩壊をした。持っていれば必ず上がるというものじゃなくて、下がることもあるということになったわけであります。そこで、金融機関は本来の姿に戻らざるを得なくなったんですね。目きき能力を発揮しなきゃならない。これは健全な本来の姿だと思うのであります。
 そこで、土地以外の、先ほど申し上げた企業の持っている力、加えて、不動産でない担保のあり方、動産担保について、これは評価能力が問われるわけでありますから、そこについてもしっかりと見きわめる力をつけていくという方向になっていくというのが流れだったというふうに思っております。
 ABLに関しましては、中小企業者にとっては、資金調達の範囲を従来より広げてくれるという要素があります。現時点でいいますと、金融機関は、まだそうしたノウハウ、あるいは、今までやっていないんですから、もちろん実績は不足をしております。御審議をいただいている流動資産担保融資保証制度を創設することによって、金融機関がABLへの積極的な取り組みをしてくれる、これを促す、中小企業の資金調達の多様化を支援することができるというふうに考えております。
 商工中金はノウハウがいろいろありますから野心的に踏み込んでいってくれますけれども、まだ一般の金融機関はそこまではいきませんから、そこで、保証制度をつくってこれをバックアップしていこうということであります。

○太田(和)委員 ありがとうございます。
 一方で、経産省のアンケート調査によりますと、ABLを積極的に利用したい、あるいは利用してもいいと答えた企業は合わせて三三%にとどまっております。利用したくないという企業が六七%に上っているという現実があります。このような背景から、金融機関の担保の内訳として、保証が四〇%、信用が三七%、不動産などが一八%で、流動資産担保を含むその他担保が四%という現状にとどまっているのだろうと思います。
 これは、企業にとっては、あそこは売掛金や在庫まで担保にしてお金を借りているのか、大丈夫なんだろうかというような風評が広がる、この風評被害を懸念して消極的になっている面が大きいと思います。
 業種によっても、担保たり得ないような在庫しかない企業もあるでしょうし、また、金融機関にとってみれば、流動資産を評価するノウハウの蓄積不足や、評価業者の数が少ないこと、担保を処分するマーケットが少ないこと、あるいは法律、制度などで環境整備が不十分であることがまだまだ広がっていない原因じゃないかと感じております。
 これらの点、ABLがまだまだ広がっていない理由について、どのように認識されておるのでしょうか。

○石毛政府参考人 お答え申し上げます。
 今委員の御指摘の点にかなり近いお答えをすることになるわけでございますけれども、御案内のとおり、中小企業の持っている保有資産というものを全部合わせてみますと二百五、六十兆円の資産があるわけですけれども、その中で、売り掛け債権あるいは在庫を合わせたもので百四十兆円近くある。そういうものを考えますと、現在、民間金融機関がそういうものをベースにして融資をしている実績というのは非常に低水準にあるというふうに思っております。
 そういったようなことの原因ですけれども、これは、先ほど大臣も申し上げましたが、金融機関の側でこういう担保の評価あるいは処分ノウハウ、そういうものが不足しているんじゃないかという点。それから、先生も御指摘になりましたけれども、中小企業において売り掛け債権とか在庫とかそういうものを担保にするということになると、そこまで困っているのかというような、いわゆる風評被害といいますか、そういうものを招くんじゃないかという点。それからもう一点は、やはりABLの制度が、こういうものをやり出してまだ時間が余りたっていないものですから、認知度も非常に低いということで、なじみがないという点も非常に大きな理由だろうというふうに思っております。

○太田(和)委員 そこで、今も申しました風評被害なんですが、どのようにすれば誤解を払拭できるのか、今回の在庫を担保とした融資の場合、どのような対策を考えているのでしょうか。

○石毛政府参考人 風評被害ということは、まず第一に、こういったようなものを実行していただいて、その過程で、こういうものは非常に使い方として意味のあるものだということを、金融機関も含めまして、中小企業者の側でもそういう評価が蓄積されるということが重要だと思います。
 加えまして、風評被害対策そのものということで、全国の信用保証協会、五十二あるわけですけれども、そういうところを通じまして、地域の金融機関などに対して、そういう制度の趣旨の周知、それから活用促進のための啓蒙普及、そういうものに努めたいというふうに思っております。それからもう一つ、政府広報の活用ということで幅広い啓蒙普及を検討しております。
 加えまして、金融庁に設置されました金融審議会の金融分科会第二部会というのがあるわけですけれども、先日そこで、地域密着型金融に関する報告書というものを出しておりますけれども、その中でも、ABLについて推奨するということが記載をされております。
 いずれにしましても、私ども、今回創設する保証制度についての運用の段階で、中小企業者が使いやすい制度になるように、中小企業者の意見もよく聞きながら、ABLの普及に努めていきたいというふうに思っております。

○太田(和)委員 流動資産を担保とした融資を、例えば何年後に何件の融資を目指すだとか、実行額幾らを目指すとか、流動資産担保保険を広げていく際の一つとしてそういった目標を設定するという考え方があります。どのようにお考えでしょうか。

○石毛政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど来議論されていますように、今現在、ABLについての成熟度といいますか進捗が比較的未成熟の段階でございますので、今から、これぐらいの数値になるんだというような目標を掲げることはなかなか難しいというふうに思っております。
 そういう数値を掲げることよりも、先ほど申し上げましたように、まず、この制度が着実に広がっていく、そういう努力をすることが非常に重要だと思っております。中小企業者それから金融機関にとって使いやすいような制度とするように、ABLの普及に努めていきたいというふうに思っております。
 ちなみに、米国では、このABLの制度を民間の金融として活用しているわけですけれども、全体の融資の中で二割近いウエートになっていると聞いております。これも約三十年近い年月をかけてそこまで到達したという実態でございますので、私ども、余り難しい数値を立てて無理やりやるというよりも、着実にその制度が広まっていくように努力するということが重要ではないかというふうに思っております。

○太田(和)委員 今回、在庫担保融資を信用保証協会で保証するということは、普及という意味では、金融機関に対して現実的なバックアップになると考えられます。国の制度で行うことの安心感もあるでしょう。その意味では、この改正案は一歩前進ではないかと思うんですが、しかし同時に、まだまだ課題は多いんだろうと思っております。
 先ほども申し上げましたが、在庫担保をどう評価するのか、普及ということを考えると、このノウハウの確立が極めて重要であることは言うまでもありません。これは新聞記事ですが、日経新聞で、経産省が動産鑑定士制度を創設するという記事が掲載されています。去年五月の記事なんですが、動産鑑定士制度の創設は、今どのような状況になっているのでしょうか。

○立岡政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘いただきましたとおり、動産担保融資を普及させていくというためには、担保の対象になります多種多様な動産の担保価値というものを評価できるということは非常に肝要なわけでございます。
 今委員御指摘になりました昨年の新聞は、昨年三月に、私ども内部で検討をしてまいりました研究会報告で、まさにその動産評価、鑑定に関する環境整備の必要性というものを指摘したものを受けてのことかと思います。
 私どもの方で金融機関あるいは評価、処分会社との間で意見交換を重ねてまいりましたが、動産の評価、鑑定につきましては、何といいましても動産の種類が多岐多様にわたるものでございますから、士制度のような公的資格制度ありきということではなくて、まずは民間レベルにおきまして、評価手法の統一でございますとかあるいは評価専門家の育成といった課題につきまして幅広く検討するということが重要ではないかというふうに考えてございます。
 今後、こうした課題につきましては、現在設立に向けて準備を進めておりますABL協会という民間中心の機関におきまして議論していくということを予定しているところでございます。

○太田(和)委員 私もかつてから地域の青年会議所に参加しておりまして、そこでは最近、コミュニティービジネスを振興させていくためのネットワークづくりに取り組み始めたところです。コミュニティービジネスは、地域を元気にするために地域のニーズにマッチした事業をローリスク・ローリターンで行う事業ですが、高齢者や女性の就労参加、地域の活性化など、我が国にとって、これからの課題を乗り越えていく意味でも、大変意義のある大きな事業ではないかと思っております。
 経産省もコミュニティビジネス支援事業というのをやっておりまして、これはいいことなんですが、十九年度で一・六億円と非常に少ないです。
 この話はまた別の機会に質問させていただきたいと思いますが、きょうはそのコミュニティービジネスの資金の話です。立ち上げ期においては、リーダーなどの私的財産に負う面が強いと言われております。しかし、事業の継続には、費用も多額になり、資金調達がやはり重要な課題になっております。担保になる不動産も少ないのが大半だと思いますし、私は、このABLが将来もっと普及してくれば、中堅中小企業だけではなく、こうしたコミュニティービジネスあるいはNPOなど、地域経済の新たな担い手が大いに活用できるのではないかと期待をしているところであります。
 そのような意味も含めまして、ABLの将来像について大臣はどのようなデザインをお持ちになっておられるのでしょうか、御見解をお願いいたします。

○甘利国務大臣 現状では、ABLは商工中金が先行的に実施をしている、そして、商中以外の民間金融機関もこれに倣って対応してもらえるように、保証協会が保証をつけて民間金融機関のリスクの軽減をするという仕組みになっているわけであります。
 ただし、現状の保証協会の保証については、中小企業者がその対象でありますから、中小企業者である限りはコミュニティービジネスを構成するメンバーが対象になるわけであります。
 要は、NPO等についてABLがどう使えるかということなんですが、民間金融機関が保証協会の保証をバックにABLを取り扱っていく。そうすると、次第にノウハウがふえていきますから、単独で民間金融機関がABLに乗り出していくという道も開けてくると思います。そうしますと、中小企業者に該当しないコミュニティービジネスを構成するNPO等についても、金融機関の対象に入ってくる時代が来るのではないかというふうに思っております。

○太田(和)委員 ありがとうございます。
 最後に、事業再生保証の関係について一点だけお尋ねをいたします。
 信用保証協会が保証する割合なんですが、これは関係者の意見を踏まえて今後決定される予定になっています。これは、事業再生段階にある企業への融資ですから、貸す方にとっては大変リスクが高い。金融機関とすれば、できれば信用保証協会が一〇〇%保証してほしい。しかし、一〇〇%保証ならだれでも貸せるわけですし、利子まで取るわけですから、金融機関にモラルハザードが生じる危険性がある。一方、これを仮に八割保証にすれば、今だってリスクの高い企業には貸したがらない実態なわけですから、せっかくこの制度をつくっても、金融機関が乗ってこない、利用されない可能性も出てくるわけです。
 この点について御認識を最後にお尋ねし、私の質問を終わりたいと思います。

○山本(幸)副大臣 御指摘の問題、理念的にはそういうことが心配されますが、ただ、今回のこの保証の対象となるのは、法的手続を申し立てた以降に発生する債権に限られておりますので、金融機関が既存の債権を回収するために悪用するというようなことはできない枠組みにそもそもなっております。
 法的整理中の企業に対する融資というのは、いわゆる不良債権とみなされますので、金融機関も極めて慎重に対応せざるを得ません。つまり、具体的には、貸倒引当金の積み増しが必要となりますし、それから不良債権としての開示が求められる、債権管理コストが発生するという問題があるわけであります。
 この場合、たとえ一〇〇%保証ということになっても、引当金の積み増しは必要がなくなりますけれども、不良債権として開示しなければいけないとか、債権管理コストというのは依然として残るわけでありますので、そういう意味では、金融機関は十分慎重にやるという意味で、たとえ一〇〇%保証したとしてもモラルハザードということはないと考えております。
 いずれにしても、そういうことを踏まえて、関係者の意見等を踏まえて適切に決定していきたいと考えております。

○太田(和)委員 ありがとうございました。