166-衆-厚生労働委員会-14号 平成19年04月18日

○櫻田委員長 次に、太田和美君。

○太田(和)委員 厚生労働委員会では初めての質問になりますが、本日は、貴重な質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
 私は、ちょうど一年前、補欠選挙で当選をさせていただきました。その選挙で訴えたことはたった一つ、負け組ゼロへというキャッチフレーズに集約される格差社会の是正でありました。本日は、雇用対策法に関連して、格差社会の焦点の一つである若者の就労支援策に絞って質問させていただきますが、本論に入る前に、まず、格差社会についての基本的認識について大臣にお伺いしたいと思います。
 結果の平等と機会の平等という二つの考えがあります。大臣はどちらを重視しておられるのでしょうか。お願いいたします。

○柳澤国務大臣 結果の平等それから機会の平等ということがございますが、いずれかといえば、やはりそれは機会の平等が大事ではないか、こういうように思いますけれども、その機会というものがどういうふうに与えられるのがいいのか、一回みんな平等に与えられればそれでいいのかというと、そうではなくて、やはり何回も何回もその機会を与えられるというようなことが、特に職業との関係なぞでは当然のことながら大事だというふうに考えているということでございます。
    〔委員長退席、石崎委員長代理着席〕

○太田(和)委員 私も、人間の能力には差があり、結果においてある程度の差が発生するのはやむを得ないことだと思います。
 その意味で、まず第一に、機会の平等が実現されるよう政策を実行するのは当然のことだと思います。しかし一方、結果の不平等が余りにも拡大すると、機会の平等さえ実現されなくなる。これは、医者の子供の四割はまた医者になるとか、あるいは難関大学入学者の家庭の平均収入がかつてよりはるかに高くなったとか、いわゆる格差の固定化としてあらわれています。
 若者の就職問題というのは、人生のスタート地点で機会が不平等になってはいけないというお話ですが、日本の社会全体、結果の不平等が広がり過ぎると機会の平等は確保できない、機会の平等を確保するためには結果の不平等が広がり過ぎることにストップをかけなければならない、この認識は、大臣、いかがでしょうか。

○柳澤国務大臣 おっしゃるとおり、機会の平等がまず第一に必要なんですけれども、そうすると格差が生ずるわけですけれども、格差の固定化、特にそれが世代をまたがってまた格差を生んでいくというようなことは、これはよくない、適当でないということがあろうかと思うんです。
 今、我々政府が考えていることは、格差の固定化はよくないということでありまして、固定化をすることをどうやって防ぐかということでいろいろな施策が考えられているということは、委員も御案内のとおりかと思います。

○太田(和)委員 ありがとうございます。
 そこで、大学を卒業した若者が、これから先、一生フリーターでいた場合と、正社員として働いた場合、死ぬまでにどのくらいの収入格差が生じると大臣は思いますか。大体これぐらいという数字で結構ですので、お願いいたします。

○柳澤国務大臣 これは、私も何かの雑誌で読んだ記憶があります。恐らく論者によっていろいろな評価があろうかと思うんですけれども、生涯の所得というようなことで考えますと、ちょっと記憶が鮮明でないので数字は申し上げませんけれども、かなりの実は格差がある、二けたになるかというぐらいの格差があるというふうにたしか読んだ記憶があります。

○太田(和)委員 正確な統計がないので一概には言えないようです。しかし、ある推計では、大卒、正社員の生涯賃金が三億円、退職金が二千七百万円、平均的な年金収入が四千三百万円、これで合計三億七千万円。一方、年収百八十万円程度のフリーターの場合、生涯賃金は七千万円、退職金はないですし、国民年金を平均余命十八年で計算すると一千二百万円、合計八千二百万円です。約二億九千万円の差になります。もし保険料未納で年金がもらえないとすると、差は三億円にもなるそうです。これは極端な推計かもしれませんが、私はちょっと格差があり過ぎだと思うんですね。もちろん、国家の税収にも響きますし、生活保護などの社会的コストも大きくなる。
 厚生労働省の最新の賃金構造基本統計によりますと、非正規社員の賃金は正社員の六割だそうです。その差は、前回調査が十二万七千八百円で今回が十二万七千百円、横ばいというか、むしろ七百円とわずかながら差は広がっております。景気がよくなったにもかかわらずです。
 そこで、フリーターやニート数の推移ですが、総務省の最新の労働力調査では、平成十七年に二百一万人いたフリーターが百八十七万人になった、ニートは六十四万人が六十二万人になった、この推移について、大臣はどのような評価をお持ちでしょうか。

○柳澤国務大臣 私の持っている、これも総務省の労働力調査あるいは就業構造基本調査によりますと、フリーターにつきましては、平成十五年が二百十七万人、最近におきましてはピークを記録した、それに対して平成十八年は百八十七万人ということでございますので、おおむね三十万近くのフリーターの数の減少が見られたということでございます。
 それからニートでございますけれども、ニートにつきましては、このところ六十四万人くらいで、平成十五年を中心としてずっと変化がなかったものが、平成十八年におきましては六十二万人になったということが言われているわけでございます。
 ただ、そうした推移の中で何を見るかということでございますけれども、先ほどのフリーターの方々の数の推移は三十万減ということでございますけれども、それは主として十五歳から二十四歳までの方々がかなり減っておりまして、いわゆる年長フリーター、二十五歳から三十四歳までの方々は、減ってはいるんだけれどもその幅が小さいということでございまして、なお多くの課題があるというように私どもは見ておるわけでございます。

○太田(和)委員 今大臣からもお話がございましたが、統計を詳しく見ますと、十五歳から二十四歳までのフリーターは昨年調査から九万人減る一方、二十五歳から三十四歳までのフリーターは五万人しか減っていない。しかも、三十五歳以上は統計には載ってきません。また、ニートも十五歳から十九歳、二十歳から二十四歳の層では、逆にそれぞれ一万人ずつふえています。
 景気がよくなっているにもかかわらず、若者の中でも十五歳から二十四歳までの層でニートがふえている。あるいは年長フリーターがなかなか減らない。この事実は、若者の雇用問題が景気の循環だけによるものではなく、構造的な問題であることの証拠だと私は思います。だからこそ、川上から川下までの一貫した若年就労支援策が求められているのだと思っております。川上が子供の発達段階に応じたキャリア教育、そして川中が就労支援策、川下が雇用の質の改革、正社員をふやし、非正規社員を減らす政策。これは先日、青少年特別委員会で質問させていただきました。
 この点は後でまた質問させていただきますが、今申し上げましたような統計数字の内訳、これはフリーター、ニートは景気がよくなれば減るのだというような簡単なことではない、政府を挙げて取り組むべき構造的な問題だと私は思っております。
 大臣、そのような認識はお持ちでしょうか。

○柳澤国務大臣 フリーター、ニートの方々の推移については先ほど申し上げたとおりで、認識が共通だと思います。
 フリーター、ニートの方々について、フリーターの方々については顕著に減少したというふうな面もあると思うんですけれども、そういう中でも年長フリーターの減り方が少ないというようなことを考えますと、今委員が御指摘のような、単なる経済あるいは景気の循環というようなことでこの問題が解決されるわけではないという御指摘は当たっているというふうに私は考えるわけでございます。
 したがいまして、フリーターの方々につきましても、私ども、特に、いわゆる今年長フリーターと言われる、年配になった方々については、そのいきさつを考えますときに、やはり非常に個人の責めに帰せられないようなことがあったのではないか、こういう考え方もありまして、これについては、使用者側と申しますか、企業の側によく事情をわかってもらって、理解ある雇用ということをやってもらいたいというふうに考えている次第でございます。
 それから、ニートの方々というのは、これはまた特別な難しさがあるというふうに私ども考えておりまして、これはむしろ経済の状況というよりも、今委員が指摘されるようないろいろな総合的なアプローチをして、この問題の解決が少しでもできるように取り組んでいかなければならない問題である、このように考えております。

○太田(和)委員 ここまでは基本的な認識についてお尋ねをいたしました。しかし、現実はどうか。これほどまでに格差拡大が深刻化してきた。若者の雇用はその端的なあらわれである。この問題に対してどうして政府がもっと大々的に取り組まないのか、私にはそんな疑問がぬぐえません。
 例えば、若者の就労支援に政府が力を入れて事態が大きく改善したイギリスのニューディール政策と比べてみますと、イギリスでは、日本円に換算すると、若年就労支援対策として四百八十六億円、これとは別にニート対策として九百億円、合計一千四百億円近い予算を投入しております。日本の場合、厚生労働省予算で三百五十億円、調査室にお願いいたしまして、他省庁分も含めた政府全体の予算を合計していただきましたら四百五十三億円、これはキャリア教育なども含めての数字です。しかも、日本とイギリスでは倍ぐらいの人口規模の違いがあることを考えに入れれば、日英の取り組みの差は数字以上に開いていると言えるのではないかと思います。
 予算は一つのバロメーターではないかと思います。日本の取り組みは極めて不十分ではないのか、大臣の所感をお伺いします。

○柳澤国務大臣 若者の就労支援に差し向けられる予算の規模をどう考えるかということでございます。
 確かに、予算というのは、施策の規模というか厚みというか、それをあらわす指標ではあろうと思うんですけれども、加えまして、予算には、執行の仕方によってその目的とすることがどういうぐあいに実現できるかということもあるわけでございます。したがって、私どもの予算をもってしても、実はかなりの成果を上げているということをぜひ指摘させていただきたいというように思うわけでございます。
 後でまた委員からもいろいろなお話が出ようかと思うんですけれども、ハローワークにおけるフリーターの常用就職支援事業というような、これはむしろルーチンの予算を使った仕事という面が多いわけですが、それでも現実に就業者を実現した数というのは十八万七千人ということになっておりますし、また、ジョブカフェ等によるものとかあるいはトライアル雇用によるものとかいうようなことで、これも合わせて六万人強の就職支援を実現しているというようなことがございまして、私どもとしては、予算の効率的な運用というものでもって、それなりの成果を上げているというように考えます。
 加えまして、委員がどの範囲の欧米の国の予算をごらんになった上での議論をなさっているかはちょっとわからないんですけれども、私どもとしては、主要先進国の若年の失業率はほとんどの国で我が国を上回っているというような状況も背景としてあるのかなというように考えているところでございます。

○太田(和)委員 それでは、具体的にお伺いをしていきたいと思っております。
 ジョブカフェは、若者の間では認知度も高まってきて、この間の政府の若年就労支援に関する取り組みの象徴と言えるのではないかと思っております。しかし、これは、基本は自治体の取り組みを政府が支援するというスタイルになっております。なぜ政府自身がジョブカフェをやらなかったのでしょうか。

○柳澤国務大臣 ジョブカフェにつきましては、平成十五年度に策定されました若者自立・挑戦プランというプランに基づきまして、若年者の雇用問題について、政府、地方自治体、教育界、産業界等が一体となって根本的な対策を早急に講じよう、そういう認識のもとでスタートしたものでございまして、その場合、地域の主体的な取り組みによる新たな仕組みという位置づけがなされたものでございます。そういうことから、政府としては、都道府県の主体的な取り組みを尊重しまして、地域の若年者雇用の実情を踏まえて設置されましたジョブカフェに対して、厚労省と経産省が連携して支援するという仕組みでこれを運営したものでございます。
 厚労省はその中で何をやったかといいますと、一つには、ジョブカフェにハローワークを併設したということで、これはかなり成果を上げたというふうに考えておりますし、また、各種のセミナーをジョブカフェに委託したというようなことで厚労省としての支援をいたしました。
 そういうようなことで、雇用というものあるいは雇用をめぐる状況というものが地域でもって区々であるというようなことで、国がすぐに前面に出るということではなくて、この場合には地域の自治体が前面に出てそれをいろいろな形で後押しする、こういうスキームのもとで運営がなされたというふうに御理解いただければと思うわけでございます。

○太田(和)委員 そう言うと聞こえはいいんですが、結局自治体任せなんですね。
 国の責任においてハローワークに若年者向けのカウンセラーを配置し、若者向けのワンストップ就職サービスを行えば、その分ゆとりができる都道府県はもっときめ細かく県内の主要都市で就労支援策を打てると思うんですが、どうでしょうか。

○柳澤国務大臣 ちょっと質問の趣旨がとれなかったんですけれども。恐縮でございます、もう一度御質問いただければと思います。

○太田(和)委員 先ほど大臣もお話がありましたが、ジョブカフェにハローワークを併設したということも言っておりましたが、ジョブカフェというのは県に一つあるかないかの箇所になっております。ですから、私が申し上げたいのは、国の責任において、全国何百カ所かあるハローワークに対して、若年者向けのカウンセラーをそこに配置して若者向けのワンストップ就職サービスを行えば、その分ゆとりができる都道府県はもっときめ細かく県内の主要都市で就労支援策を打てると思うんですが、そういった考えはどうでしょうかということです。

○高橋政府参考人 私ども、フリーターを初めといたしました若年者に対する就職支援ということにつきまして、特にフリーターの場合については、不安定な就業を繰り返すといったことで、安定した就業の経験が少ない者が大変多い、そういう意味で、常用雇用での就職の実現を図っていく上では、個々のフリーターの置かれた状況等を的確に把握してきめ細かな支援を行っていく必要がある、このように認識をいたしているわけでございます。
 そうしたもとに、今委員も若干お触れになられましたが、私ども、各ハローワークにおきましてフリーター向けの窓口を設けまして、ここにフリーター常用就職サポーターという専門の相談員を配置いたしまして、こうした相談員による一対一の相談、助言でありますとか、常用就職に向けたセミナーあるいは合同選考会の開催、個別求人開拓、それから職業紹介といったようなことを通じて、フリーターを初めといたしました若年者の常用雇用化のための一貫した支援を実施しておるところでございます。
 こうした支援を行う上で、当然私どもも、一方でジョブカフェとの連携ということも十分図りながら、このハローワークの窓口におきます就職支援ということに努めておるところでございます。

○太田(和)委員 先日、千葉県の船橋にあるジョブカフェに、私、視察に行ってまいりました。千葉のジョブカフェはヤングハローワークと併設されておりまして、お互いの垣根を取り払ってうまく連携しております。平成十六年からことし二月まで来場者が約十万人、三万二千人が登録して、うち一万六千人、つまり登録者の半分が就職したり就職先が決まったりしたそうで、大変実績を上げております。
 すいている午前中に行ったのですが、責任者の方が言うには、午後は病院の待合室みたいに込み合うということでした。宣伝に一銭もかけていないのに込んでいるそうです。もっと広範な若者に宣伝したら、スペースやカウンセラー、スタッフが足りないのは目に見えています。責任者の方は、経済産業省からの補助が打ち切りになり、カウンセラーの数を減らすなど、その穴埋めに四苦八苦しているともおっしゃっておりました。
 千葉のジョブカフェは船橋にありますから、来場者はやはり船橋周辺が中心だということでした。私の選挙区は松戸市、流山市、野田市ですから、ここからはなかなか船橋まで行きにくい。野田市ではジョブカフェの出張サービスを行っているそうですが、やはり継続した相談が必要になるので、出張だと効果が薄いそうです。
 私が言いたいのは、ジョブカフェは県に一つしかない。千葉の場合は、宣伝もしていないそうですからこれだけの実績にとどまっているのであって、実は、潜在的なニーズがもっともっとあるのではないかということです。
 千葉県では、県内に出張所を除いたハローワークは十カ所ありますから、このレベルでカウンセラーをそれぞれ配置して、ジョブカフェのような支援を展開したっていいわけです。そうすればもっと効果が上がったのではないか、ジョブカフェという名前にこだわるわけではないですが、ハローワークでそういう機能を果たせるようにすればいいのではないか、現場の担当者の声を聞いてそのように私は感じたわけですが、大臣、もう一度お願いいたします。

○柳澤国務大臣 太田委員から大変力強い御発言をいただいたように受けとめました。
 私も、しばしばというか、この職にありまして、時間があればそういうところに出かけるようにしておりますけれども、ハローワークは、かなりみんな頑張っていてくれるという印象を持っております。
 ジョブカフェというのは、これはどなたが命名したか知りませんけれども、非常に名称をつけるということについては得手なところが日本の政府組織にもありまして、大変ヒット作ではないかと思うのでございますけれども、さて、機能はどうかということになりますと、これは実はハローワークが縁の下の力持ちをやっているというのが、身びいきではないですけれども、実情ではないか、このように私は思っております。
 そういう意味で、今太田委員が言われるように、ハローワークということが前に出て、特にヤングハローワークなんというのはそういうことを前面に出しているわけですけれども、そういうようなことで特にフリーターを中心とする若者の就労支援を充実していったらいいじゃないかという御意見、これは私どもも同じように考えてこれに取り組ませていただいておるということを申し上げたいと思います。

○太田(和)委員 国の責任で若年雇用対策をもっと大々的に全国展開するということに及び腰になっている理由は、別にあるのではないかと私は思っております。
 国の責任でとなった場合、その拠点はハローワークになるのだろうと思うわけですが、今、ハローワークは民営化、市場化テストの導入が経済財政諮問会議で議論になっており、厚生労働省としては、ハローワークは既に、行政改革を進めた結果、必要最低限のセーフティーネットとなっていて、余りのハローワークはないという主張をしておられます。
 また、日本のハローワークは、欧米主要国の公共職業安定機関と比べて、拠点数、職員定数ともに相当程度規模が小さいという主張をされております。定員は、昭和四十二年以降、二八%削減し、拠点数も一六%以上削減したということであります。そのような中で、ハローワークを拠点に大々的に若年就労支援を展開するとなれば、民営化論者を一層刺激するのではないか、そんな配慮でもあるのかと推測してしまいます。
 私は、ハローワークは必要最低限のセーフティーネット、この必要最低限という意味は、社会経済情勢の変化によって意味が違うとのことでありますから、この構造的な若者の雇用問題というものに対して、もっと胸を張って堂々と提起しても、国民の理解は得られるのではないかと思っております。大臣、いかがでしょうか。

○柳澤国務大臣 ハローワークのこのごろにおける施設数、それからまた定員数の推移についてお触れいただいたわけですが、そうだんだん縮小していく必要はないではないか、胸を張って、もっと、必要であれば拡大の方向に向けた、そういうこともあっていいではないかというまことに力強い御発言でございまして、ありがたく受けとめさせていただきます。
 これについて私の所見はどうかということですが、人数につきましては、これは恐らく定員だろうと思います。いわゆる定員管理がなされている公務員の人数かと思うんですけれども、それ以外に臨時の職員を登用するということも可能でございますので、そうした努力も他面行われているということでございます。
 拠点については、やはりこれは経済社会情勢の変化に応じて機動的に、できるだけそういう需要の大きい、強いところに拠点を設けさせていただくというのは当然だと思いますので、こうした減少傾向については、これは必要なところにしっかり設置をするということであれば、結果としてこうしたことがあったとしても、私はそれほど差し支えはない、このように考えております。
 いずれにせよ、先ほど来、私、ありがたいというふうに申し上げておりますように、ハローワークはセーフティーネットでありまして、自分でもっていろいろな、自分が売り手市場になって就業の機会を得られるような方について、別にハローワークがしゃしゃり出る必要は毛頭ないわけで、ハローワークというのは、むしろ就職弱者と申しますか、そういうような方々のためのセーフティーネットとしてそれをしっかり支えていくということで、これに徹すべきだ、このように考えております。
 そういう意味では、今回いろいろ、民営化とか、あるいは、民営化はそんなにございませんけれども、市場化テストはどうかというような御意見もありますけれども、そのあたりのことを十分踏まえた上での話でなければならない、このように考えまして、そういう対応をとらせていただいているというところでございます。

○太田(和)委員 民主党は、このたび、若年者の職業安定特別措置法案を提出いたしました。これは一言で言うと、若年者雇用については国の施策として位置づけ、全国各地で国の責任として展開する意思を法案としてお示ししたものであります。
 経産省の補助金がなくなったからカウンセラーを減らさざるを得ない、宣伝するとスペースやスタッフも不足してしまう。自治体は自治体として一生懸命に取り組んでおられて頭が下がるのですが、やはりこれは自治体では限界があるのではないか。国が責任を持って行わなければならない根拠はそこにあると思っております。
 そこで、大臣、少し質問をかえますが、政府の再チャレンジ支援総合プラン行動計画を見ますと、フリーター、ニートが対象となっている施策の数は全部で幾つでしょうか。

○柳澤国務大臣 再チャレの計画は、大きく分けますと、就業弱者と申しますか、そういう人たちごとにカテゴリーが分けられておりまして、フリーター、ニートの方々につきましては、長期デフレ等による就職難あるいは経済的困窮等からの再チャレンジ、そういうくくりの中に属しております。
 その中に含まれたプロジェクトにつきまして幾つかということにつきましては、細目が分かれておりまして、いろいろな整理の仕方があろうかと思うんですが、私の手元の概要という資料によりますと、六つに分けられてこれが整理されているということでございます。

○太田(和)委員 全部で五十九項目です。そのうち、厚生労働省が担当しているのが三十一、他省庁と共同でやるもの、全省庁で取り組むものを含めれば三十四です。いろいろあって、正直こんなにあるのかと驚きました。ただ、私は、数が多ければいいというものではないと思います。どういう違いがあるのかわからないような、紛らわしいキーワードが多過ぎると思います。
 目についたところだけ拾ってみても、若年者ジョブサポーターとフリーター常用就職サポーター、再チャレンジプランナーはどう違うのか、あるいはジョブカフェ、ジョブクラブ、ヤングワークプラザ、ヤングジョブスポット、地域若者サポートステーションはどう違うのか、企業実習先行型訓練システムと実践型人材養成システムは何が違うのか。私もかなり頭が混乱しましたが、全部に違いがあることが、厚生労働省の大変丁寧な説明を聞いて納得できました。
 しかし、丁寧な説明を聞く機会もない一般の若者はどうでしょうか。自分はどこに行けばいいのか、何を利用すればいいのか、混乱するのではないでしょうか。大臣はどのように感じられますか。また、御自分の子供がもし年長フリーターだった場合に、どこに行きなさいと言いますか。ジョブカフェがいいのか、それともハローワークなのか、それとも違うところなのか。どうでしょうか。

○柳澤国務大臣 委員が御指摘になられたとおり、私もこの仕事に着任をいたしまして一度レクを受けたわけですけれども、なかなか一遍にはのみ込めないということがございまして、今委員のお話を聞いておりまして、私だけが例外に理解が不足していたわけではないということで、やや安心もしたわけですが。
 しかしながら、これをよく吟味していきますと、やはりかゆいところに手を届かせようという努力の結果こういうことになっているということも、それもまた、委員がよく聞いてみたら何となくわかったようなという、何となくという言葉をお使いになったかどうかはともかくとして、おわかりになられたということでございます。
 いずれにせよ、これはどういうことかというと、フリーターの人たちというのは、就職に、何回も定着できないということで、やや気分的にも強気でないというか、少し弱気になっているというような面もありますので、できる限り来やすいような場所だとか窓口の雰囲気だとかいうものをつくりたい。それからまた、今度は実際の対応の仕方についても、集団的に講義をするというか、そういうようなことのほかに、個別にまずプランをつくってやる、それからプランをつくるだけではなくて、ナビゲーターと称して、本当に最終の就職ができるまで個別のマンツーマンの世話をしてしまうというところまで考えているとか、非常にきめ細かなんですね。
 そういうようなことから、こうしたプロジェクトあるいはプログラムが非常に多岐にわたったということはあろうかと思うんです。私は、それにしてももうちょっと、いろいろ物を考える政策の担当者などについても、わかる整理の仕方というものは考えてもらいたいなという気持ちがいたしております。
 なお、私の子供がもし年長フリーターだったらどうするんだということでございますが、私はやはりハローワークに行かせると思います。やはりハローワークが一番、すべてわかっていただけるんじゃないか、こう思いますから、ハローワークに行かせるだろう、こういうのが私の考え方でございます。

○太田(和)委員 ハローワークということでしたが、では、鳴り物入りでジョブカフェをつくった意義は何だったのかと思うんですが。
 私は、それぞれの施策の方向性自体は悪くないと思っています。しかし、商品ラインナップの展開がお粗末だと思うんです。商品はたくさんあっても、棚の区分けがされていない、お勧め品がわからない、それぞれの商品の違いがわかるようなカタログもない、そこに行けばスタッフがそれぞれの違いをわかりやすく説明して、ユーザーにマッチした商品を案内する販売店、これがジョブカフェの意図したものだと思うんですが、量が少な過ぎる。私は、何を最優先に取り組むのかもっと整理して、そこに予算も人手も集中的につぎ込むことが重要ではないかと思っています。
 順次、具体的にお伺いしていきますが、フリーター常用就職支援事業について、概要と実績、予算を御説明ください。

○高橋政府参考人 フリーター常用就職支援事業でございますが、これは先ほども若干お答えをさせていただいたところでございますが、ハローワークにおきましてフリーター向けの窓口を設けて、そこにフリーター常用就職サポーターという専門の相談員を配置して、その専門の相談員がフリーターの方と一対一の相談を行うあるいは助言を行う、また常用就職に向けたセミナーや合同選考会の開催を行う、個別求人開拓を行う、そして職業紹介を行うといったような、フリーターの常用雇用化のための一貫した支援を実施いたす事業でございまして、本年度におきましては、十九年度でございますが、約六億三千万円の予算を計上しているところでございます。

○太田(和)委員 フリーター常用就職サポーターは何人の配置になるのでしょうか。

○高橋政府参考人 フリーター常用就職サポーターでございますが、全国で約二百名の相談員を配置するということといたしておりますが、特に、やはり若年者なりフリーターの多い地域のハローワークに重点的に配置をしていきたいというふうに考えているところでございます。
    〔石崎委員長代理退席、委員長着席〕

○太田(和)委員 ありがとうございます。
 やはり少ないと思うんですね。全国のハローワークの出張所も入れれば三分の一ぐらいしかカバーできません。この事業は、十七年度の実績で常用雇用に結びついたのが十一・九万人で、二十万人常用雇用化プランの半数を占めているわけです。この事業が有効だとするなら、思い切ってここに重点的に予算もつぎ込むぐらいのことが必要なのではないかと感じました。大臣はどのように思われますか。

○柳澤国務大臣 委員の仰せになることも理解できますけれども、しかしながら、やはり私ども、同時に予算の効率的な運用ということは常に心がけなければならないというふうにも考えるわけでございまして、そのバランスの中で私どもは予算規模あるいはこれに当たる人員規模の適正なレベルというものを決めていかなければならないということでございまして、全体としてまだまだフリーターの方々が多い、特に年長フリーターの方々にはなお工夫を要するということの中で、この充実の方向で今後とも考えて取り組んでいきたい、このように考えております。

○太田(和)委員 では、再チャレンジプランナー事業について、概要と予算を御説明ください。

○高橋政府参考人 再チャレンジプランナー事業でございますが、全体として雇用情勢は改善をしておるわけでございますが、その一方で、例えばフリーターも含めました若者の場合、中には、十分な能力がありながら、効果的な求職活動の進め方がわからないために、結果として求職期間が長期化をする傾向にある若者が一方でおられる。他方、リストラ等によりまして、離職後、計画的かつ効果的な求職活動ができないために、みずからの能力を生かせる仕事を見つけられない中高年齢者といった方々もハローワークの窓口においては少なからず存在をしておるわけでございまして、こうした求職者の方々の早期再就職を支援していくことが大変重要な課題になっておるわけでございます。
 そこで、平成十九年度より、全国の主要なハローワークにこの再チャレンジプランナーを新たに配置いたしまして、一つは、みずから再就職の実現に向けた計画の策定が可能な若者に対しては、その計画策定について少し相談、助言をしてやればみずからつくれる、こういうようなケース。他方、それがなかなか困難な中高年齢者に対しましては、これまでのキャリアというものを点検していただく、その中で足らざる能力の再開発を行っていただく、あるいは具体的に求職活動を行う上でのノウハウといったものを付与していく等々の総合的な支援計画を策定いたしまして、計画的、効果的な求職活動を支援することといたしておるわけでございます。
 本年度におきましては、約三十一億円の予算を計上してこの事業を実施することといたしておるところでございます。

○太田(和)委員 ハローワークにキャリアカウンセリングや臨床心理の知識のあるプランナーを配置して、就職実現に向けた計画策定に対する相談を受け付けるということですが、全国に五百六十人ということで十分なのでしょうか。特に、これは中高年や早期再就職希望者、つまり若者以外も対象ということですから、私には決して十分とは思えません。
 次に、若年労働者キャリア形成支援・相談事業についても、概要と実績、予算、また、相談を受ける週当たりの頻度や相談窓口の数について教えてください。

○奥田政府参考人 お答えいたします。
 若年労働者キャリア形成支援・相談事業の概要でございます。
 これは、現に働いておられる若者、おおむね三十五歳未満の方を対象にしておりますけれども、そういう方が、仕事上の悩みでありますとか、現に今自分がやっている仕事をこれからさらにどういうふうに発展させていったらいいのかというようなこと、これはキャリア形成支援というふうに言っておりますけれども、そういった相談をキャリアコンサルタントの方がお受けするということでございます。
 実施をしております場所は、地方公共団体が設置をしております公共施設、多くは勤労青少年ホームでございますけれども、この勤労青少年ホームで、平日の夜間、現に働いておられる方が対象になりますので、そういった方々が来やすい時間帯ということで、六時から九時ぐらいの時間帯、週に一回ずつということで、現在、全国で四十七カ所でこれを実施しているところでございます。
 十九年度の予算額は二千五百九十五万円ということでございます。

○太田(和)委員 離職を防ぐために仕事の悩み等に関して相談を受けるということで、これはこれで必要なことだと思いますが、予算が二千六百万円しかなくて、週一回三時間、しかも全国で四十七カ所ですから、県庁所在地だけでしょうか。予約で満杯のところもあると聞きましたから、潜在的なニーズはあると思うんです。しかし、このような体制では非常に中途半端と言わざるを得ないと思います。
 次に、年長フリーター自立能力開発システムのうち、企業実習先行型訓練システムについてもお尋ねします。
 これは新規事業ですが、概要と予算について、デュアルシステムとの違いも含めて御説明願います。

○奥田政府参考人 ただいま委員お話ございましたように、十九年度からの新規政策ということで、企業実習先行型訓練システムというものを開始いたしました。
 これは、主に年長フリーターと言われている方々に対する訓練をどういうふうにしたらいいのかということを検討いたしまして、そういった方々の特徴といたしまして、長年いろいろな仕事を経験しておられるわけですけれども、ある特定の分野でいわば深くキャリアを積み上げてこなかったということがある程度共通しているわけでございます。そういった方々に、まずは自分が就職したいと考えている企業に企業実習という形で入っていただきまして、これは訓練でございますけれども、企業実習という形で入っていただきまして実際に仕事をしていただく。
 その仕事の過程で、この人が常用就職するにはこういったところをさらに能力開発をきちっとやったらいいんじゃないかということを企業の方に診断していただきまして、こういった訓練が必要だという診断書をつくっていただきます。これに基づきまして、ある程度能力のある方は、わかりました、このまま雇いましょう、そういったケースも出てくると思いますけれども、この方については例えばパソコンについてはもうちょっとやってもらわなきゃいけないとか、いろいろなことが出てくると思います。そういった方についてはそういった訓練をするにふさわしいコースを紹介いたしまして、そこで訓練をしていただいて、これは三カ月ぐらいを予定しておりますけれども、その訓練を経た後、最初の企業にまた入っていただこう。こういうようなことで、年長フリーターの方の特性を踏まえた新しい訓練システムとして今年度から始めたものでございます。
 今年度は、予算約九億八千万円で、五千人を対象に実施をしたいというふうに思っているわけでございます。
 それから、日本版デュアルシステムとの違いということでございますけれども、日本版デュアルシステムの方はいわば順序が逆転をしているといいますか、座学をやるというのを前段に置きまして、就職に近いところで企業実習に行っていただいて、さらにより現実的な技能を身につけていただいて就職につなげよう、こういう仕組みでございます。特に若い人たちについては、そういった基礎的な能力を座学できちっと身につけていただいて、実践的な能力を企業での実習で身につけていただこう、こういう仕組みで、これは何年間かやってきたわけでございますけれども、年長フリーターの方については、今申し上げたような、いわば順序を逆転させた訓練を開発したということでございます。

○太田(和)委員 これも方向性としてはいいんですが、フリーターは雇用保険に入っていない方が多いですね。企業実習に一カ月から二カ月、これで採用されればいいんですが、フォローアップ訓練が必要な場合、最長は五カ月程度訓練を受けることになります。
 訓練は無料とはいえ、雇用保険がないと、訓練期間中は給料なし、手当なしなわけです。これでは目先の利益を優先せざるを得ないのではないでしょうか。いやでもフリーターを続けないと生活できないという人が多いと思います。イギリスでは訓練期間中も賃金が出るわけで、しかも、失業手当よりも多いからしっかり働くわけです。きちんと機能するかどうか、これは大臣にお伺いします。

○柳澤国務大臣 よく、研修期間中の生活費をどうするかという観点から、生活費支援の手当を出すべきではないか、イギリスではというようなお話をお聞きするわけでございます。
 しかしながら、それはそれでイギリスの政策当局の選択ということでやっておるわけでございますが、そうしたものがすべて、では功を奏しているかというと、なかなかそうではない。先般も、イギリスの当局者の来訪を受けまして、つい、そういったようなことの話になったわけですけれども、なかなか所期の効果は上げていないというようなことも他方で言っていらっしゃったというようなことでございます。私どもといたしましては、現在の私どものスキームのもとでできるだけ成果を上げていく、成果が上がるように努めていきたい、このように考えているということを申し上げたいと思います。

○太田(和)委員 幾つかの施策についてお尋ねしましたが、特徴は小出し、不十分、実態に即しているのかが疑問などなどです。
 繰り返しになりますが、百歩譲って、どうしても予算が限られるというのなら、あれもこれも小出しにやるのではなく、戦略的に重要な政策に絞る、選択と集中でやる方が効果が上がるのではないかと思いますが、指摘するだけにとどめさせていただきます。
 法案についてもお尋ねしなければなりません。
 今回の雇用対策法改正案では、青少年の応募機会の拡大ということで、第一に、事業主の努力義務に、青少年の能力を正当に評価するため、募集方法の改善、雇用管理の改善等が加わりました。そして第二に、国が必要な指針をつくる。これは大臣告示の形で、人物本位による採用、採用基準や職場で求められる能力、資質の明確化、トライアル雇用の活用等有期雇用から正社員への登用制度の導入などが盛り込まれるということであります。
 これはむしろ当たり前過ぎる内容だと思いますが、結局、努力義務であること、大臣告示にすぎないことから、ないよりはましだけれども、若者の就労問題の抜本的な前進には到底つながらない中身ではないかと思っております。実際の就労対策が十分に行われるのであればそれでも問題ないのでしょうが、これまでお尋ねしてきたような実態はそうなっていません。
 この法案の効果、大臣告示の効果について、大臣はどのように認識されているのでしょうか。

○柳澤国務大臣 今委員から御指摘をいただきましたように、今回の雇用対策法では、若者の応募機会の拡大という観点で、募集、採用の方法の改善及び実践的な職業能力の開発、向上ということに必要な措置、これを講ずるよう事業主に努力義務を課している次第でございます。
 この努力義務に対しては、今も委員が御指摘になられたように、大臣告示におきまして指針を示すということがございますし、さらにまた、これに基づきまして、必要な助言、指導を行うということが規定をされているわけでございます。
 同じようなことがかつて行われたことがございます。それは、平成十三年の法改正におきまして、募集、採用時の年齢制限の緩和につきまして、同じような規定、枠組みのもとでその運用を図ったことがございますが、これがかなり効果を上げまして、例えば、年齢不問求人の割合の推移を申し上げますと、改正が行われた十三年九月に一・六%であったものが、平成十九年の二月、最近時で、これが五〇%にまで向上をいたしました。
 というようなことで、私どもとしては、この努力義務と指針の告示、それから具体的な助言、指導という枠組みもそれなりに効果を上げ得る、そういうふうに考えておりまして、今回のこの若者の応募機会の拡大につきましても同様なことを期待いたしまして、大いにこの枠組みのもとで努力をし、成果を上げていきたい、このように考えております。

○太田(和)委員 大臣の認識と大分隔たりがあるのですが、時間もなくなってまいりました。
 最後に、若者の就労支援策でいえば川下に当たる、雇用の質の改革についてお尋ねをいたします。
 今や二十四歳までの若者の二人に一人は非正規雇用という状態です。派遣や請負に従事する者の七割は若者というデータもあります。川上のキャリア教育で働くことの意義や生きがいについて教え、川中である就労支援策に力を入れても、肝心の川下の雇用の質が劣悪で、非正規社員しか働き口がない、難関を突破して正社員になっても、長時間労働で身もくたくたになってしまうのでは、就職してもすぐに離職したり、就職するよりも親のすねをかじって生きる方が楽だと考える若者がふえるのは当然であります。大臣、これは若者だけの責任なのでしょうか。
 また、先日、私、経済産業委員会で政府の経済成長戦略大綱について質問する機会をいただきました。GDPで中国に抜かれても質的に強い経済をつくる、人口が減少しても生産性を上げる、GDPや雇用の七割を占めるサービス業の生産性を上げて、製造業と並ぶ双発エンジンにする、人材立国を掲げて、一人一人の能力を高め、イノベーションを軸に経済の成長を図る、こういった大綱の方向性自体は私も間違っていないと思います。
 しかし、最大の問題は、格差を是正し、国民の消費をふやして持続的な安定成長を図るという視点が欠落していることだと指摘させていただきました。大綱の下敷きになった経済産業省の新成長戦略や各種のレポートを見ますと、政府は、質的に強い経済を実現するため、派遣や請負など非正規労働をもっとふやす必要があると考えているのではないかという危惧を私は感じました。
 現実の経済は、これは日本経団連のアンケート調査ですが、今後も長期雇用労働者を中心とすると答えた方は三〇%の企業で、長期雇用中心だが、パート、派遣等の比率を拡大すると答えたのが五二%、長期雇用は中核業務のみとするが一五%となっており、非正規雇用をふやす方向が七割近くを占めています。
 長期安定雇用はコア業務に集中させ、典型的な業務は非正規労働者に任せる、この新日本型経営というのでしょうか、こういう経営モデル、雇用モデルがさらに広がっていく勢いだと思っております。もちろん、非正規で働きたい、自分の都合に合わせて短時間のみ働きたいという方もいますから、これを全部否定するつもりはありませんが、こういう流れを規制するのかが問われているのだと思います。
 大臣にお尋ねしますが、政府は派遣や請負など非正規社員をふやそうと考えているのか、減らした方がいいと考えているのでしょうか。また、派遣はポジティブリスト方式に戻して、無制限な拡大を規制するとか、特に立場の弱い登録型を禁止するとか、そういった規制をする考えはありませんか。

○柳澤国務大臣 今委員の方から、最初に、キャリア形成というものに対する意識をしっかり持たせる、それから第二は、就業の機会を確保するということの支援、それから最後に、雇用の質の確保が必要だ、時系列的にそういうことではないか、そういう考え方の枠組みの中からいろいろな御質問をいただきました。
 私どもも、雇用の質というものは非常に重要なものだというふうに思っておりますが、いずれにいたしましても、現在の多様化する価値観というものの中でこれに取り組んでいくということが必要であろう、このように考えております。
 そういうことで、何を基本にやっているかといいますと、私どもとしては、選択肢は備えておく、そういう非正規の雇用を選択される方にも、そういうことがしていただけるような枠組みを準備しておかなければならない。しかし、本当は正規雇用を望んでいるんだけれども非正規雇用にやむを得ずついているというような方については、これをできるだけ正規雇用に移行していただくというようなことでなければならない、こういうように考えていることが基本だということはしばしば申し上げているとおりでございます。
 現状はどうかといいますと、日本経済の低迷期にやむを得ず選択した雇用形態というものを、今、経営者の中にはもう一度見直そうというような動きもあるように受けとめております。そういうような方々は、やはり人的な資本がかえって脆弱になるのではないかというようなことを恐れる、あるいは、将来における労働人口の需給というものに対して一つの見方をとりまして、やはり非正規雇用をできるだけ正規雇用に転換していくということが必要だというような動きも見られるようになっているというふうに見ております。
 将来においてこれをどうするつもりであるかということにつきましては、私ども、将来の労働人口の推移を見ますと、日本の労働人口が非常に減っていくということが展望されるわけでございまして、これを相当引き上げていくということを考えなければなりませんが、それは、女性であるとか、あるいは高齢者であるとかという方々の就業率を引き上げていくということが非常に必要になってくる。そういうことを考えますと、これらの方々については、正規雇用ということでそうしたことが実現できれば、それにこしたことはないんですが、やはりそういうような方々の生活の実態に合わせた雇用の形態というものも準備しておかなければならない、こういうようにも考えられるというふうに思っている次第でございます。
 そういうようなことで、私どもとしては、選択肢を用意しておくということ、それからまた、望まなくて非正規になっている方々については、これを正規に移行して安定的な雇用を確保するということが大事だ、そしてまた、非正規の方々についての処遇の均衡を図るということが大事だ、こういうことを考えている次第でございます。

○太田(和)委員 時間が参りました。
 繰り返しになりますが、若者の雇用の問題は、景気の影響は受けるけれども本質は構造的な問題であり、サービス経済化や国際的な生き残りをかけた企業競争の激化という環境の中で、本来、就労支援は国の責任で、もっと質量ともに拡充した施策を打つべきであるということを再度申し上げまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。