166-衆-青少年問題に関する特別…-4号 平成19年04月12日

○小宮山委員長 次に、太田和美さん。

○太田(和)委員 民主党の太田和美でございます。
 先日、私、若者の就労支援の現状がどうなっているのかということで、現場を見てみたいと思い、千葉県の船橋市にあるジョブカフェに視察に行ってまいりました。千葉のジョブカフェは、ヤングハローワークと併設されておりまして、お互いの垣根を取り払ってうまく連携をしております。平成十六年度からことし二月まで、来場者が約十万人、三万二千人が登録をして、うち一万六千人、登録者の半分が、就職したり就職先が決まったりしたそうで、大変実績を上げております。
 すいている午前中に行ったのですが、責任者の方が言うには、午後は病院の待合室みたいに込み合うということでした。宣伝に一銭もかけていないのに込んでいるそうです。もっと広範な若者に宣伝をしたら、スペースやスタッフが足りないのは目に見えています。責任者の方は、経済産業省からの補助が打ち切りになり、その穴埋めに四苦八苦しているともおっしゃっていました。
 私は、政府の若年就労支援策の問題点は、結局自治体任せであり、約二百万人のニート、フリーターに十分届くものになっていないことだと痛感した次第であります。この点は、後日、厚生労働委員会の方でも質問させていただきたいと思います。
 ジョブカフェの責任者の方は、そのとき、川下の就労支援だけではなく、川上のキャリア教育、これを一体としてもっともっと充実させるのが行政の責任だということもおっしゃっていたのですが、まさにそのとおりだなと感じました。
 きょうは、大臣が所信表明の中でも触れておられた若者のキャリア教育についてお尋ねをしたいと思います。
 まず、フリーターの若者、これは三十五歳未満に限ってですが、総務省が三月に発表した〇六年労働力調査で、二百万人を下回ったという結果が出ております。〇三年の二百十七万人がピークだったのが、百八十七万人になったということです。ニートも、六十四万人いたのが二万人減ったということです。
 この数字、景気がよくなったからなのか、それとも政府や自治体の対策がきいてきたのかどうなのか、まず大臣の感想からお尋ねをしていきたいと思います。

○平沢副大臣 御指摘のように、平成十八年は、前年に比べまして、ニートそしてフリーターも、今御指摘の数字のとおり減少しているわけでございます。
 その理由でございますけれども、今委員が御指摘のとおりでございまして、景気が回復基調にある、これも一つの原因だと思っておりますし、もう一つは、政府や各自治体の積極的な取り組み、常用雇用化に向けましてハローワーク等が積極的に働きかけをしている、こういったこともあって数が減ったのではないかなと思っております。

○太田(和)委員 副大臣、ありがとうございました。
 統計を詳しく見てみますと、十五歳から二十四歳までのフリーターは昨年調査から九万人減る一方、二十五歳から三十四歳までのフリーターは五万人しか減っておりません。しかも、三十五歳以上は統計に載ってこないんですね。また、ニートも、十五歳から十九歳、二十歳から二十四歳の層では、逆にそれぞれ一万人ずつふえております。
 景気がよくなっているにもかかわらず、若者の中でも十五歳から二十四歳までの層でニートがふえている、あるいは年長フリーターがなかなか減らない。この事実は、私は、若者の雇用問題が、景気の循環によるものではなく構造的な問題であることの証拠だと思います。だからこそ、川上から川下までの一貫した若年就労支援策、小中高、そして大学も含めたそれぞれの発達段階に応じたキャリア教育の充実が必要だと思っております。
 従来は、学校における狭い意味での進路指導しかありませんでした。そこで、社会に出て初めて職業の現実に触れるという若者がふえております。学校教育の中で多種多様な職業について理解を深めるということは、将来の職業のミスマッチを防ぐという意味で重要だと思います。ただ、それが、単に職業体験をすればというような一過性のものであってはなりません。
 そこで、大臣は、キャリア教育推進会議を立ち上げたわけですが、キャリア教育の現状をどのようにとらえておられるのか、まず現状認識についてお尋ねをいたします。

○高市国務大臣 恐らく、私がキャリア教育等推進会議を立ち上げようと思い立って総理の御許可をいただきに行ったときの問題意識は、太田委員と同じだろうと思います。
 これまでも、文部科学省で、教育という観点からキャリア教育も支援しておられましたし、厚生労働省では、失業率を下げる、就労支援という形でやっておられた。そしてまた、経済産業省では、産業界が求めるニーズと人材能力が食い違っているといった問題意識でキャリア教育を支援されてきた。ところが、すべての省庁の政策が必ずしも効果的に一体感を持ってかみ合っていたどうか、これは疑問だと考えたこと。
 それからもう一つは、小学校から大学まで、一体化してキャリアを積んでいける、キャリア教育の機会を得ていける、こういう形にはなっていなかった。
 そしてまた、それぞれの学校現場でどうなっているのかなと考えてみたときに、まず学習指導要領にきちっと位置づけられていて、何か教材があってきっちりと授業時間が確保されているというならまだしも、そうじゃなければ、同僚教員の理解も得られないとか、それから保護者の理解も得られない、こういった状況がある。それから、教員の方々が教え方がわからない、教材が不足している。そして、何か社会体験をさせようと思っても、地域社会ですとか企業の御協力が得られない、どうアプローチしていいかわからない。つまり、一部の熱心な教員の方々の御努力に頼った形でしか進んでこなかったんじゃないか。
 こういった問題意識から、厚生労働大臣、そして文部科学大臣、経済産業大臣にも入っていただいて推進会議を立ち上げました。うまく進んでこなかった原因はというお尋ねでしたので、今私が申し上げたような問題意識でございます。
 そしてまた、先ほど、すぐに仕事をやめてしまうというお話もありましたが、これも、職業観、勤労観、こういうものをしっかりと身につける機会に恵まれなかった、そして職業に対して必要な技能がまだ十分備わっていないといった原因もあるんじゃないかなと考えます。

○太田(和)委員 ありがとうございます。
 キャリア教育推進会議では、キャリア教育の推進方策についてまとめるとしておりますが、推進方策とは一体どのようなことを考えておられるのか。まだまだ議論の途中ということだと思うんですけれども、五月に取りまとめると伺っておりまして、もうそろそろ方向性が見えてきているのではないかなと思っております。
 この数年、ようやく、今大臣の方からもお話がありましたが、文部科学省、経済産業省、厚生労働省でキャリア教育に取り組み始めたわけですが、やはりやっていることとか目的はばらばらではないかなと思っております。
 経済産業省は、社会人の基礎力をつけるとして、国際競争力を支える人材育成をするという、能力開発という立場に立ったキャリア教育をうたっております。また、厚生労働省は、就労対策として、就職するための基礎能力、つまり、企業が求める人材を育成しようという立場です。一方、文部科学省は、キャリア教育の定義では、勤労観とか職業観の育成だと言っています。このように、三省の目的は異なっているわけです。どうも、これらを一つのキャリア教育という言葉でくくるのは乱暴かなと思っております。
 まず、この違いについて大臣は御認識されているようでしたので、そこで大臣にお伺いしたいのが、これを統一的に整理し直すのか、または新たな枠組みを考えているのか、どういったイメージになるのか、教えていただければと思います。

○高市国務大臣 五月末を目標に今取りまとめていますので、今具体的に結論を申し上げられる状況にはないんですが、ただ、私が考えておりますのは、また委員の皆様にもお願いしておりますのは、今までの各省がやっていた施策の単なる組み合わせではないということです。
 つまり、イメージとしては、やはり学校、企業、保護者等が共通の認識のもとで連携協力する、これが一つ大事なポイント。そしてもう一つは、小学校から大学まで、各学校段階を通じてキャリア教育を体系的に行うといったこと。それから、先ほど申し上げましたような地域社会や企業側の協力体制、これも構築していくし、最初の段階ではやはり行政のサポートといったことも重要になってくるんだろうと思っております。
 ですから、かなり新しい考え方で、今までとは違った取り組み、当然いいものは残していきますけれども、それも政府一体となって進んでいく形をつくりたいと強く希望して、今一生懸命議論を続けているところです。

○太田(和)委員 私は、今の若い世代にとって最も欠けているのは、働くことの意義、目標を見失っていることだと思っております。早期離職にしても、フリーターや無業者の増加にしても、根底にあるものは、この目標を失っているという点だと思っております。
 働くことの目的は、収入であったり、生きがいであったり、その先には人生設計であったり、家庭の問題であったりいたします。本来、こういうことは教えることではなく、個々人が気づいていくこと、また家庭の中で考えられてきたことだったかもしれません。しかし、今の時代では、学校の中で考える時間を与え、働くことの意義に気づかせてあげることが必要になってきたのかもしれません。こうした機会をつくっていくことがキャリア教育の中に必要ではないかと私は思っております。
 さて、これは現状認識の話になりますが、文部科学省、厚生労働省、経済産業省からそれぞれ今取り組んでいるキャリア教育について説明をしていただきました。それぞれもっともな事業をされておりますが、ただ、予算も小さいんですね。
 十九年度は、文部科学省においては、中学校を中心に五日間以上の職場体験やインターンシップを行うキャリア教育実践プロジェクトに二億三千万、これは二百九地域で実施し、一校当たり五万円から七万円です。高等学校におけるキャリア教育の在り方に関する調査研究費二億一千万、目指せスペシャリスト一・八億円、ものづくり人材育成のための専門高校・地域産業連携事業三・八億円、その他まだまだありますが、省略をいたします。
 厚生労働省においては、インターンシップ受け入れ企業開拓事業四・七億円、キャリア探索プログラム、ジュニアインターンシップに二億円、高校生に対する就職ガイダンスに四・九億円。
 経済産業省は、地域自律・民間活用型キャリア教育プロジェクトが四億円、十九年度は二十九件の指定を予定しております。
 これらの大半はモデル事業のようなものであり、キャリア教育を受けた生徒と受けていない生徒が出てしまうという問題点があります。この辺も踏まえて、質と量ともに充実したキャリア教育をできるだけ網羅的に進めていく必要があると思いますが、大臣、いかがでしょうか。

○高市国務大臣 御指摘のとおりだと思います。
 今は、やはり地域によっても取り組みに差がありますし、学校によっても差があります。同じ学校の中でも、担当される先生によって差がある。ですから、もう実際にはごくごく一部の児童、学生しかこのキャリア教育を受ける機会に恵まれていない。
 そうすると、やはりモデル事業的なイメージということで、予算額も小さくなっている。これはもう国全体、すべての子供たちがキャリア教育を受ける機会に恵まれる体系をつくらなければならないと考えております。

○太田(和)委員 今までの質問は、キャリア教育を推進することの重要性についてお尋ねをしてきました。キャリア教育を通じて若者が成長することはもちろん必要ですが、私は、一方で、企業の側ももっと成長してほしいと願っております。
 それは、インターンシップを受け入れるとかキャリア教育に協力するかという話とは別に、雇用の質を改善するという話であります。
 文科省のキャリア教育の推進に関する総合的調査研究協力者会議の報告書を見ますと、働くことの意義についての総合的理解を推進することで、働くことは、報酬を得て生計を維持するだけではなく、体を動かして汗する苦労や厳しさを通してしか味わうことのできない成就感や自己実現の喜びがあると述べております。全くそのとおりだと思うわけですが、一方で、現実の働き方はそのようになっているのか。
 今、派遣、請負、パート、アルバイト、非正規雇用がふえております。若者は半分近くがそうした形で働いております。そして、国際競争力の維持という御旗のもとに、企業は、コア業務は長期安定雇用の正社員に任せて、定型的な業務は派遣や請負、アルバイトなど、外部に仕事を出す。その外部への出し方がこれからどんどんふえていく。これは経済団体が提唱している新たな雇用モデルであり、経産省や政府の新成長戦略、経済成長戦略大綱もそうした考えを下敷きにしているのではないかと私は思っております。立派なキャリア教育を受け、勤労観を身につけても、条件の悪い非正規雇用が現実の大半であれば、若者はどこに行けばいいのか。
 ですから、キャリア教育が川上だとしたら、就労支援は川下ではなく川中、そして川下は雇用の質の改善だと私は思っております。正規社員をふやす、非正規社員は待遇改善した上で限定する、そのような経済成長のあり方が求められていると思っております。そうでないと、構造的になっている若者の雇用問題は解決しません。この点について大臣の所感をお伺いしまして、私の質問を終わりたいと思います。

○高市国務大臣 就職氷河期と言われる時期に就職された方、この方々は、特に今フリーター、ニートといった形になっているケースが多く認められますけれども、まずはこれを解消しようということで、政府の再チャレンジ支援総合プランでこれは第一番目の重点課題として位置づけられています。ですから、平成十九年度予算におきましては、フリーター二十五万人常用雇用化プランの推進、それから非正規労働者の正社員化の機会確保の促進、そして国家公務員の中途採用の拡大といった施策を盛り込んでおります。
 それから、法律案なんですけれども、雇用対策法の改正法案、これが閣議決定されまして今国会に提出されております。内容的には、青少年の応募機会の拡大ですとか、募集、採用に係る年齢制限の禁止の義務化、こういったところでございますけれども、とにかく能力に応じて平等な、均等な評価を受ける、報酬を受ける、これは大事だと思います。
 一方で、派遣社員がふえているということに関しましては、正社員になりたいんだけれども派遣でしか対応できないというケースと、そして、御本人が、自分の時間の使い方ですとか、いろいろな職業を経験したいということで派遣社員という道を選ばれている、二通りあるんだろうと思うんですけれども、やはり御本人の希望と能力に応じて正社員への道が開かれていくように、これは努力をしてまいりたいと思っております。

○太田(和)委員 ありがとうございました。