166-衆-経済産業委員会-4号 平成19年03月28日

○上田委員長 次に、太田和美君。

○太田(和)委員 民主党の太田和美です。
 私は、本日、経済成長戦略大綱関連三法案の中でも、産業活力再生特別措置法の改正案に焦点を絞ってお尋ねをいたします。
 経済産業省においては、昨年の六月、新成長戦略を策定し、それをベースに他省庁の成長政策も盛り込んで、政府・与党として七月に経済成長戦略大綱という形でまとめられました。法案の審議に入る前に、まず、前提になっているこの大綱や新成長戦略についてお尋ねいたします。
 一言で言うのも難しいでしょうけれども、大臣は、この大綱や戦略の核心部分について、端的に言うとどのようにとらえているのでしょうか。そのためにこの三法案が必要なんだという形で、つながるような形でお答えいただければと思います。

○甘利国務大臣 経済成長というのは、毎年毎年の経済規模の拡大のパーセンテージを言うわけですね。日本経済が、一口に五百兆と言われますけれども、その経済を構成していく要素というのは、労働投入量、資本投入量あるいは回転率、そして生産性、その三つで構成されているわけです。
 日本は、この三つを見ていますと、例えば労働投入量の点でいえば、人口減少社会で、ほっておけば労働力も減っていっちゃう。だから、その労働投入量をどうやって確保していくか、それから労働力の質をどうやって上げていくか、これは労働生産性にかかわることであります。それから、資本の投入量とその回転率といいますか、効率をどう上げていくか。そして、生産性をどう向上していくか。三つの要素それぞれ、ほっておけば制約要因を抱えているわけでありますが、それを乗り越えてブラッシュアップをしていくということが大事であります。
 人口が減っていって労働力人口も減っていく。リタイアする世代が、団塊の世代が一挙にリタイアしていく。だったら、その人たちの力を労働市場にどうやって再度活用していくか。あるいは、労働市場に参画をしていない女性が参画しやすいような環境をどうつくっていくか。それから、もちろんスキルアップをどうしていくかということが大事。そして、生産性を、製造業はいいけれども、それ以外の部分は、日本は生産性がOECDの中では劣後しているという指摘がある、それをどう引き上げていくか。それらに資する三法案だと思っております。
 産活法は、いわゆる事業再編で活用されてきましたけれども、イノベーションという切り口から新たな施策を追加していく。それから、産業再生も、中央の再生機構は一定の役割を果たし終えて解散をしましたけれども、地方の産業再生はまだ道半ばである。大型倒産は減りましたけれども、小規模倒産はふえているという状況。都市銀行は不良債権比率は減りましたけれども、地域金融機関はまだまだ。この地域金融機関と地域の中小企業とを連携させて再生していくという手法は、地域の産業再生協議会に託していかなければならない。
 もろもろの課題に向けて、産活法や地域資源法、そして企業立地法を通じて課題を克服して、日本全体の底上げと、なかんずく地域の格差是正に資するようにこの法案を提案したところでございます。

○太田(和)委員 ありがとうございます。
 私も事務次官らがお書きになった関連の本を読ませていただきました。共鳴する部分も多々ありました。GDPで中国に抜かれても、今大臣にもお話ししたように、質的に強い経済をつくる、人口が減少しても生産性を上げる、GDPや雇用の七割を占めるサービス業の生産性を上げて、製造業と並ぶ双発エンジンにする、人財立国を掲げて、一人一人の能力を高め、イノベーションを軸に経済の成長を図る。米国再生の処方せんとなったパルミザーノ・レポートを意識しながら策定されたのだと思うんですけれども、こういった基本的な方向性は私も間違っていないと思っております。
 しかし、今後十年間で年率二・二%以上の実質経済成長を実現するのだという目標は、夢はありますが、果たして、絵にかいたもちにすぎないのではないでしょうか。現実に政府が行っている諸政策を観察すると、そのように感じられて仕方がありません。民間調査機関の中長期のGDP成長率の見通しが発表されておりますが、どの予測を見てもこれより低く見積もっています。目標なんだから実現しなくてもいいんだというのかもしれませんが、大臣はこの目標達成について自信がおありなのでしょうか。

○甘利国務大臣 十年間を見通して、平均成長率、実質二・二%以上を達成する、もろもろの施策を講じていけば、これが視野に入るということであります。十分に私は達成可能だというふうに思っております。
 それはどうやってやっていくかというと、強みはもっと伸ばしていく、弱いところはどうやって克服していくかという検証が必要であります。強みというのは、製造業の生産性が日々向上していっている、これは世界に冠たる競争力を持っているわけであります。一方で、それ以外の分野の生産性が低い、これをどうやって引き上げていくか。低いということは、低い部分を抱えながら今日まで来たということは、強い部分を伸ばすよりも弱いところを強化する方が実は政策的には楽なんだと思います。そして、弱い部分のシェアが大きいですから、つまり、今までは七割以外のところで勝負をしていた、今度は七割の底上げをするわけですから、成長力に寄与する部分は非常に高いんだというふうに思っております。イノベーションとオープンという二つのキーワードを駆使して、具体的な政策を推進していきたいというふうに思っております。
 サービス産業の生産性向上につきましては、有識者の会議を立ち上げて、一概に、処方せんは一つじゃないですね。サービス産業といったって幅がたくさんありますし、じゃ、サービス産業にそのまま生産性の向上を当てはめる、エステ産業が一時間でやっていたサービスをうちは十五分でやってあげますよと言ったって客は来ませんからね。顧客満足度という視点ではからなきゃならない部分もある。だから、一概に生産性といっても、サービス産業の場合には処方せんはいろいろと違うわけでありまして、そういう事業分野別に処方せんをしっかり書いて、具体的な施策を駆使していきたいというふうに思っております。
 もちろん、一般的には、ITを導入して生産性を引き上げていく、あるいは数理的、工学的な手法をサービスの分野にどう織り込んでいくか、これらを考えながら生産性の底上げを図っていきたいと思います。そして、お家芸たるものづくりの分野については、産学官連携、これと、新しく、市場との対話をさせる、双方向、イノベーション・スーパーハイウェイ構想というのを出しているわけであります。イノベーションというのは既存の技術の延長線上にはありませんよというのは識者からの指摘でありますから、基礎研究、原理原則、科学にさかのぼって新しい道筋を導いていかなければならない。このための施策も提案をしているところでございます。

○太田(和)委員 ありがとうございます。
 私は、大綱や戦略の中で一番足りないのは、欠けている発想は、格差の是正という点ではないかと思っております。この点は、もう本委員会でも、あるいはほかの委員会でも繰り返し議論になっている点でありまして、繰り返しになって恐縮でございますが、重要なことなので、あえて質問させていただきたいと思います。
 私が申し上げたいのは、格差是正のためには経済が成長することは絶対に必要である、しかし同時に、経済を持続的に、そして安定的に成長させるためには、現在の設備投資主導、輸出主導の成長ではなく、格差を是正し、何よりも国民の所得を増大させて消費をふやしていくことが欠かせないということであります。イノベーションを起こすことは必要ですが、幾らお金をかけても、画期的な技術革新は、できるときもあればできないときもあり得る。さらに、その技術革新が商品化され、成長に貢献するかどうかもわからないですし、商品化されるにしても時間がかかります。
 繰り返しますが、イノベーションは必要なことなんですけれども、イノベーション頼みの成長というリスクは大きいのではないですか。戦後日本の所得倍増のような高度経済成長、あるいは開発途上国の倍々ゲームの成長なら、成長の果実が国民に行き渡り、格差が自然に是正されるということも不可能ではないと思うんですけれども、現在のような一%、せいぜい二%といった成長では、幾ら上げ潮戦略と言ってみたところで、自然に格差が縮小することはあり得ない。やはり、そこは政治の役割、政府の効果的な介入が必要なんだろうと思います。
 新成長戦略や大綱の中で、格差是正と成長の質的な転換をはっきり目指しますというメッセージを国民や企業にはっきりと示すべきではないでしょうか。

○山本(幸)副大臣 この新成長戦略のいわゆる試算のベースは、労働、資本、生産性という、いわゆる経済を供給の方から見て、そして議論をしているわけであります。したがって、供給の分野でできるだけの努力をして経済の全体の成長を高めるということを目標にして、そういう内容の試算を示しております。
 一方、御指摘のように、分配の方の議論も当然あるわけでありまして、これは、そっちの方の議論をしっかりしなければいけないと思いますし、分配の方で、おっしゃるように、企業だけじゃなくて、それが雇用の拡大や所得の増大に結びつくようには我々としても努力をしなければいけないと思っております。
 そういう意味で、大臣もみずから、正規雇用をふやしてもらったり、あるいは所得に経済の成長の成果が結びつくようにということもいろいろ団体等にお願いもしているところでもございますし、そういう形にバランスよくいくということが一番望ましいと我々も考えております。
 こういう意味で考えておりますが、その意味では、今回の三法案は、地域の資源を活用した企業を育てようとかあるいは地域に工場を立地させようとか、そういう意味で、その成果が地域あるいは中小企業と大企業の格差是正に結びつくというように考えております。

○太田(和)委員 ありがとうございます。
 再チャレンジ、底上げ戦略を見ても、既に行っている施策の焼き直しが多いと思っております。出されてきた法案は、パート労働法にしても雇用保険にしても最低賃金にしても、非常に不十分と言わざるを得ません。
 きょうはその議論はしませんが、一点だけ、経済のサービス化の進展、そしてサービス産業の発展と密接に関連しているということですから、労働者派遣の請負の問題に触れさせていただきたいと思います。
 大臣は、これから新成長戦略や経済成長戦略大綱を実施していく中で、日本の産業、企業の中で、非正規社員、派遣や請負の労働者は今以上に拡大する、拡大させるべきだと考えるのか、むしろ、非正規社員は減少する、正社員、正規社員への転換を進めるべきだと考えているのか。本来なら、厚生労働省にただすべき問題かもしれませんが、経産省は、企業などの経済活動を支えるナビゲーター役を自負されていることもありますので、あえて甘利大臣にお尋ねをいたします。

○甘利国務大臣 厚生労働大臣の答弁の中で、非正規雇用というのは、もちろん使う側、企業側のニーズもあるけれども、働く側の選択肢でもあるという答弁がよく行われています。
 どちらのニーズが高いかというと、いろいろ議論はあると思います。恐らく今まで出ていた議論は、使う側のニーズの方が高くて、実は、働く側は、ないとは言えないけれども、非正規雇用の多くは正規雇用になりたいという思いがありますよという御指摘がありました。
 私は、派遣とかあるいは請負といういわゆる非正規型の雇用、これは企業の側からいえば、生産量が一定でずっと変動がないということであれば、ずっと雇用を抱えていて企業がやっていけるけれども、季節変動が多かったりするものについては、正規雇用で雇っていると、生産数値が落ちてくるときには遊ばせていなきゃならない。その遊ばせているときの水準に合わせると、今度は足りなくなっちゃう。そういう変動要因をカバーするために、一時的な需要、一時的な企業側の必要性にこたえるという意味で、それ自身は一つの仕組みだと思っております。
 ただ、そのときに気をつけなきゃならないのは、安く使えるという視点で使うのではいけないんだと思うんですね。そういう安易な発想じゃなくて、ずっと抱えていられない、しかし、この時期に足りないから必要なんだと。それで、同質の労働をする場合には、それに準拠した待遇と労働環境の整備をする、そういう前提に立ってこの仕組みを活用するということが企業の競争力と雇用とを両立させることだと思います。
 働く側も、このときだけこういう仕事で働きたいというニーズがあることは確かでありますから、その両方をうまくマッチさせる必要がある。
 何よりも大事なことは、非正規雇用から正規に行く道をちゃんとつけるということが大事なんですね。双方、これから何年間かは正規じゃない働き方で働きたい、休むことはしたくないけれども、もっと自由にやりたいという正規から非正規へのパイプ、それから非正規から正規へのパイプ、これをしっかりとつくっておくということが何より大事だというふうに思っております。

○太田(和)委員 昨年十一月の経済財政諮問会議の議事録を見ますと、大臣は、製品のライフサイクルの短縮化など競争環境が変化する中で、我が国製造業が生産のフレキシビリティーを確保するために派遣や請負を活用することは十分合理性がある、一方で、安直に低廉な労働力を求めることのみを動機とする派遣や請負の拡大は不適当だと考えると、大臣は述べておられます。
 また、三月一日に大臣は日本経団連を訪れ、大企業の下請いじめをやめるように、またパートや派遣の正社員化に力を入れるようにと要請したという報道がありました。これはこれで私は大変結構なことだと評価をしておりますけれども、さらに、毎日新聞三月二日付の記事では、非正規社員の正社員化について、家計消費と企業業績の好循環を前倒しでつくるべきだというふうにも語っておられます。
 この点がまさに重要で、私が先ほどから申し上げている点もこのことなんですけれども、消費の増加が持続的な経済成長につながるんですね。しかし、しょせんそれはお願いにすぎないんです。
 昨年、キヤノンの偽装請負の問題が発覚しました。キヤノンは、一度は請負労働者の正社員化を打ち出しましたが、再び取りやめました。そして、私ども野党が国会で会長の参考人招致を厳しく求め、メディアも大きく報道しました。先日、ようやく正式に請負労働者を正社員化することになったという記事が朝日新聞に出ておりましたが、これは裏を返せば、政治が生半可にお願いしても、企業がなかなか正社員化はしないということだろうと思うわけです。お願いでも、しないよりはした方がいいに決まっておりますけれども、大事なことは、政治ですから、法律なり政策的誘導などによって、要は、どう具体化していくのかということだと思っております。
 少し戻りますが、大臣の言う、先ほど述べた、安直に低廉な労働力を求めることのみを動機とする派遣や請負というのは、現実には、私は、派遣や請負の大半の実態だろうと思っております。
 しかし、その派遣や請負、これはビジネス支援サービス、つまり、サービス業の一つでもあるというわけですから、経産省の各種レポートの中では、この分野が今後大きく拡大していくだろうことが指摘されております。大綱では、サービス業の重点六分野の一つと位置づけもされております。
 平成十四年の産業構造審議会新成長政策部会では、サービス経済化・雇用政策小委員会の報告書では、サービス経済化によって業務プロセスの見直しや働き方の多様化が進展し、これまでの雇用システムが大きく変化するとともに、経済の活性化に資する新たな雇用システムが構築されていく可能性が高いというふうに指摘が載っております。
 そして、サービス経済化とIT化が相まって、定型的な業務や周辺業務等の外部化、外部経営資源の活用を促進すると考えられる、これによって、派遣労働者やインディペンデントコントラクター等を活用する機会が増大していくことが見込まれるとする一方、人材の有効活用を図っていく上では、従業員をいわゆる正規社員、非正規社員というように単純に分類してとらえる従来の考え方から脱却し、それぞれの企業が置かれている事業環境や労働者の就業ニーズに応じて、柔軟に就業形態や労働条件を設定していくことが重要になると考えられるというふうに述べておられます。
 現実の企業社会の流れはそのとおりなんだと思いますが、しかし、これは、日本経団連に正社員化をお願いした大臣のお気持ちとちょっと違うのではないでしょうか。どのように思われますか。

○甘利国務大臣 従来の紋切り型の企業形態、企業経営から新しい形態が生まれる、その一つがアウトソーシングだと思うんですね。コアの部分を自社で抱えて、それ以外の業務分野については外に委託をして効率的な経営を行っていくというのは、経営戦略の一つであります。そういった意味で、従来型の仕事、業務の仕分けというのから新しい形態が生まれてくるということは事実だと思います。
 問題は、働く側のニーズ、働いてもらう側のニーズもありますが、そこに、安いから、低廉な賃金で使えるからという思想があるとしたら、それは私は間違いだと思います。
 同一労働均衡待遇ということが今叫ばれています。なぜ同一労働同一じゃないのかというのは、正規、非正規で求められる、例えば企業へのロイヤリティーとかあるいはいろいろ責務が若干違いますから、その分は勘案しなきゃいけない。それから、厚労大臣がいつも言っていますのは、職務給にしないと完璧にはなりませんよ、つまり、年功賃金というのを否定するということになってしまいませんか、そこが完全に同一労働同一賃金と言い切れない部分ですよという答弁をされているわけであります。
 私は、日本型雇用の中で終身雇用の意義も認めておりますし、あるいは、年功賃金もすべてが悪いとは思っておりません。生涯設計という点で、ある要素はあってもいいと思うんですね。その際に、年齢にかかわらず同じ仕事をしている人は同じ賃金という体制でいくと年功賃金というのを一〇〇%否定することになりますから、そこはなかなか難しい問題があろうかと思います。
 総じて先生のお話にお答えするとすれば、いろいろ、国際競争の激化の中で、働く方もあるいは人を使う方も柔軟なやり方ができるようにしていくということが競争に勝ち残る手だてである、ただし、そのときに、安く安易に調達できるという発想ではだめですよということであります。
    〔委員長退席、中山(泰)委員長代理着席〕

○太田(和)委員 平成十七年の経産省のビジネス支援活性化研究会の報告書によれば、もっと進んで、新日本型経営モデルを提唱しています。これは、年功序列と終身雇用、結果としての自前主義というこれまでの日本的経営は維持が困難になってきた、そこで、経営資源はコア部分に集中して、ここでは長期安定雇用を実現する、そして、コアじゃない部分、非コア部分については派遣や請負などのビジネス支援サービスを積極的に活用するのが新日本型経営だとしています。
 この認識は、昨年六月の産構審サービス政策部会が取りまとめました「サービス産業の革新に向けて」にも反映されていまして、ビジネス支援サービスの雇用規模を、直近の六百三十万人から二〇一五年には六百八十一万人までふえると明記しております。私は、これは新成長戦略や大綱の底を流れる考えではないかと思っています。
 もちろん、ビジネス支援サービスといっても、広告、会計・法務・財務サービス、リース・レンタルとかデザイン等々多岐にわたるものですが、今、ビジネス支援サービスの雇用人口が六百三十万人の中で、派遣は二百三十万人です。ですから、約三分の一。ビジネス支援サービスの中心になっているということで、国際競争力の維持向上という大義名分もわかりますが、私は、経産省のレポートが示しているのは、つまり、コア業務に集中する正社員と、非コア部分の典型的な仕事を引き受ける派遣や請負という、いわば雇用の二極化を目指しているのではないかということを危惧しております。大臣、いかがでしょうか。

○肥塚政府参考人 今お話がございましたビジネス支援サービスについての平成十七年七月のビジネス支援サービス活性化研究会の報告書でございますけれども、サプライ・チェーン・マネジメントとか業務プロセス改革に代表されるような機能単位の企業の再編をやっていく、あるいは、バリューチェーンのいろいろな段階における、企業あるいはグループを超えた機能を水平的に分離、統合していくというようなことがどんどん進んでいくだろう、したがってビジネス支援サービスが重要になってくるんだということを述べております。
 ビジネス支援サービスは、今先生からもお話がございましたけれども、企業活動と密接にかかわる企業活動の一部を代替するようなサービスでありますので、その範囲は極めて広くございまして、一つは、コンサルティング、広告サービスといった経営支援サービス、それから二番目に、研究開発受託、デザイン受託、もちろん製造請負などもございますけれども、直接業務を実施するサービス、それから、ITサービス、人事業務代行サービス、さらに経理・財務業務代行サービスといったような間接業務支援と三分類をしておりますけれども、およそ企業活動の幅広い分野を含んでいます。
 こういうビジネス支援サービスを活用することで、今、コアというお話がございましたけれども、ユーザー企業がそれぞれ競争を闘っている分野に、経営資源をコア業務に集中することで、一方で、ビジネス支援サービスの提供側の方はむしろその分野での専門性を高めるということで、単なる代替以上の生産性の高いサービスを提供することが可能になるんじゃないかという考え方を述べております。
 したがいまして、これらのビジネス支援サービス、さっき申し上げましたような業種に属する企業の中には、労働力の大宗を正規社員に依存しているというのも当然ございますし、したがいまして、アウトソーシングが進むことによって、あるいはビジネス支援サービスが使われることによって雇用の二極化に直接つながるものじゃないというふうに思っています。
 ただ、労働者派遣サービスでございますとか一部のサービス分野で労働力の大宗を非正規社員に依存しているという状況はあるんだろうと思います。自分の意思に反して低所得の非正規社員にとどまるといったような場合には、いろいろ問題がございますので、非正規社員のスキルアップのための訓練とか正規社員への登用といったことはどんどん進めていくべきだというふうに考えています。
 それからもう一つ、今のビジネス支援サービス共通の課題としまして、さっき申し上げましたように、そちらの側での専門性を高めて生産性を上げていくということが、その会社にとりましてはこれまたコア業務になるわけですから、そういう分野でのスキルアップ訓練、人材といったようなものは、今お話がございましたコンサルティングサービスとか研究開発を問わず、通じて、ビジネス支援サービス共通の非常に大きな課題だというふうに認識をしております。

○太田(和)委員 少し角度を変えますが、労働者派遣サービスの労働生産性の現状についてお答えください。

○肥塚政府参考人 今、先生のお話は、産業連関表で、一九九〇年から二〇〇〇年にかけての労働者派遣サービスの国内生産額が〇・八兆円から一・六兆円に増加している。一方で、雇用者数が十五万から五十万に増加している。この数字を割り算いたしますと、労働者一人当たりの国内生産額、労働生産性が出ます。二〇〇〇年は一九九〇年に比べて四割程度一人当たりの国内生産額が減少しているという結果が得られます。
 ただ、労働省に伺いまして、統計ですけれども、この間で派遣料金がどういうふうに推移しているかというのを、部分的ですけれども調べますと、業務によって派遣料金が、単価といいますか、ふえているものも減っているものもありますけれども、ふえている業務の方が多うございます。したがって、派遣料金の変化が一人当たりの国内生産額の変化の原因になっているということでは必ずしもないんだろうというふうに思っております。
 今の数字の変化といいますのは、一九九〇年から二〇〇〇年にかけまして、労働者派遣の総売り上げの中で、いろいろな制度の改正もございまして、一般派遣の割合が特定派遣の割合に比べて伸びております。
 率直に言いまして、派遣料金が比較的高い機械設計とかソフトウエア開発というような業務に比べて、派遣料金の比較的低い事務用機械操作といったような分野の実績がふえている。それは、一般派遣と特定派遣の内訳が変わっているということと関係があるのだろうというふうに思いますけれども、そういう派遣の業務内容の内訳の変化ということで計算をしますと、割り算をしたときの国内生産額の減少になっている。そういう意味では、非常に単純に言いますと、一般派遣労働者の比率が非常に高くなって、そこのニーズがふえているということによって、今のような数字の減少になっているということだと思います。
 ただ、先ほど申し上げましたように、いずれにしても、スキルアップのための訓練あるいは正規雇用への登用ということを通じて、全体としての専門性あるいは生産性の向上というのは必要だろうというふうに考えております。

○太田(和)委員 市場規模が倍になっているのに雇用規模は三倍以上増加しました、だから労働生産性が四割低下したということでありますが、このことは、派遣の単価が下がっている、つまり労働者の給与が下がったということをあらわしています。まさに派遣の現状が言いあらわされているデータだと思います。
 短時間なら働けるという高齢者や、家計補助のため短時間なら働けるという女性など、就業ニーズが多様化しているのは事実です。非正規社員の待遇改善やスキルアップできる環境を整備するのは当然の課題として、私は、派遣について、これ以上拡大すべきではないと思います。むしろ、これまでのポジティブリスト方式に戻すなり、登録型を制限するなり、いろいろな形で限定していくべきです。これ以上、賃金切り下げのための派遣を拡大しないでいただきたい、雇用の二極化を推し進めないでいただきたいというふうに申し上げさせていただきます。
 これから順次、産活法改正案についてお尋ねをいたします。
 まず、法案の大きな柱が、サービス産業の生産性向上であります。
 九五年から三年までの労働生産性の上昇率の日米比較でいうと、アメリカが二・三%なのに対し、日本は〇・八%。生産性そのものの比較では、アメリカを一〇〇とした場合、医療は九七、娯楽、レジャーは九六と健闘しているんですが、労働投入量が多い、つまり雇用者が多い小売、飲食店が四一、卸売が四二、運送が五八と低いので、平均ではアメリカにかなり水をあけられております。七割程度でしょうか。
 そこでお尋ねしたいのは、製造業ではトップを切っているのに、なぜ日本のサービス業は生産性が低いのでしょうか。お願いいたします。

○肥塚政府参考人 生産性の定義あるいは数字の比較というのは、なかなか定義もはっきりしないのでございますけれども、今先生のお話のように、ある大学の調査ですと、サービス業は非常に多種多様で、生産性も業種によって違うわけです。アメリカと比較すると、例えば、対個人サービスで約九割、コンピューター関連、卸、小売、ホテル、外食で約六割、運輸で五割以下というような計算例がございます。
 まずミクロで見ますと、いろいろなシンクタンクでいろいろなレポートも出ておりますけれども、業種によってもちろん事情が違うんですけれども、非常に大ざっぱに言いますと、対個人サービスについて言えば、アメリカと比べて、我々、生活実感であるわけですけれども、総じて展開規模が小さい、あるいはチェーン化が進んでいないというようなことを挙げている例がございます。
 それからもう一つ、私ども、サービス産業に共通する課題として、例えば、ITの活用がおくれている。それから、やはりサービス産業でも研究開発が必要なんだろうと思うんですけれども、研究開発が十分じゃない。あるいは、製造業のノウハウといいますか、プロセスの効率化とか品質管理への取り組みがおくれている可能性があるんじゃないか。それからもう一つは、品質の評価が非常に困難なので競争が活発化しにくいといったようなことを挙げている指摘がございます。
 いずれにしろ、こういうことを含めまして、サービス産業のイノベーションと生産性に関する研究会で、こういう共通の特性を踏まえてどう対応すべきかというのを引き続き勉強しております。

○太田(和)委員 我が国の製造業の雇用が減る一方、サービス産業の雇用はその受け皿になっていたという側面もあります。労働生産性は付加価値割る労働投入量ですから、生産性を上げようとしたら、分母を減らすか分子をふやすかのどちらかになります。
 分母を減らしていく場合、単純には雇用を減らすということになります。生産性の向上が雇用の削減という形につながらないような配慮が必要だと思います。また、新しい就業機会の創出も重要な点になってきます。この点についてのお考えをお聞かせください。

○山本(幸)副大臣 私どもが一番重要だと思っているのは、生産性と言っておりますが、これは全要素生産性というものでありまして、御指摘のように労働生産性だけじゃありません。資本の生産性も入っているし、あるいはそれでとらえられないものの生産性といいますか、これをイノベーションと言っているわけでありますが、そういうのを全部含めて、全体として、全要素の生産性が上がっていくということが日本経済の成長にぜひとも必要だということであります。
 そういう意味で、またその中で個別に言葉の定義だけ見ますと、おっしゃったように、付加価値と労働の比率ということで労働生産性が定義されますので、御指摘のような、分母を減らせばいいじゃないかという議論も出てきかねないんですけれども、我々は、それはやはりおかしいので、本来の分子である付加価値をいかに上げていくかということに注力すべきだと考えております。
 そういうことを含めて産活法で生産性向上の基準をつくっているわけでありますけれども、それには、資本、お金ですね、その効率性に相当する株主の資本利益率、そして二番目は、設備、物の効率性に相当する有形固定資産回転率、そして人材、人の効率性に相当する従業員一人当たりの付加価値額、こういうような幾つかの指標を総合的に用いて判断するということにしておりまして、これらは単純に人員を削減すれば向上するというものではありません。
 したがって、一番の目標は付加価値を向上させるということであります。特に、サービス業については、御指摘のように生産性の伸びが低いということがありますので、ここの付加価値をいかにして高めるかということが大事でありまして、今回、こういうサービス産業を含めて、そして観光、小売、物流、医療、福祉などいろいろな業種がございますので、その業種に応じた細かい対応策を考えていって、全体として付加価値を上げていくべきだというように考えております。

○太田(和)委員 私も同感であります。
 サービス産業は、業態も多岐にわたり、生産性の工程もさまざまです。そこで、法案では、全産業共通の基本指針に加え、新たな事業分野別指針を作成し、それに基づいて支援策の認定をしていくというスキームだと思いますが、事業分野別指針はいつできるのでしょうか。また、どの分野でつくるのでしょうか。お答えをお願いします。

○鈴木政府参考人 お答え申し上げます。
 産業活力再生特別措置法に定めております事業分野別指針でございますけれども、これは、それぞれの事業を所管する主務大臣が策定することとなります。産業活力再生特別措置法によります主務大臣というのは、八省庁八大臣が主務大臣でございます。
 御指摘のサービス産業につきましても、必ずしもすべての業種について指針を策定するのではなく、分野ごとに、それぞれの事業を所管する主務大臣がその必要性を判断するということになります。
 経済産業省におきましては、GDPに占めるウエートの高い産業への波及効果といった経済全体に対する影響等を踏まえまして、今後、事業分野別指針を策定する分野を決めていきたいというふうに考えております。
 当面は、御指摘のように、先ほどからお話が出てまいりました経済成長戦略大綱、ここで、重点サービス六分野でございます健康・福祉、育児支援、観光・集客、コンテンツ、ビジネス支援、流通・物流、こういう六分野を念頭に指針を検討していくことになります。
 例えば、流通・物流分野におきましては、競争激化の進展に伴い非常に生産性向上をやらなければならないという課題となっております小売業とか、また、ゲーム産業など今後成長が期待されますコンテンツ産業分野についても、検討を進めていきたいというふうに考えております。
 いずれにしましても、将来的には、サービス産業の重点六分野に限らず、特に生産性向上が必要なさまざまな分野で、事業分野別指針が策定されまして、当該業種の生産性向上に向けた方向性が示されるとともに、本法が有効に活用されて、サービス産業全体の生産性が上げられることを期待しておるわけでございます。
 最後に、事業分野別指針の制定時期につきましては、法律が、通していただければ、施行の日が公布の日から起算しまして六カ月以内ということにされておりますことから、できるだけそれを目途に、制定に向けて努力したいというふうに考えております。
 以上でございます。
    〔中山(泰)委員長代理退席、委員長着席〕

○太田(和)委員 数年前に経産省でつくった新産業創造戦略で重点分野に挙げられていた環境・エネルギー・機器・サービスが挙げられていません。大綱の重点六分野にも入ってきません。かわりに育児支援と流通分野が入ったわけですが、環境、エネルギーがなぜ消え、育児支援と流通・物流がなぜ六分野に入ったのか、お答えください。

○肥塚政府参考人 平成十六年五月の経済産業省がつくりました新産業創造戦略では、先端的な新産業あるいは社会的なニーズの広がりがある新産業分野ということで、燃料電池ですとか、それから、環境、エネルギーのところも、環境・エネルギー・機器・サービスということで、そういう産業分野の七分野を示しております。
 今お話がありました経済戦略大綱における重点サービスの六分野といいますのは、サービス分野の中で、少子化の進展ですとか、いろいろなサービス分野の所得弾力性を踏まえて、今後発展が期待されるものとして六分野をくくっております。
 環境分野につきましては、国際競争力の強化に資するものということで、環境と経済の両立を実現する産業育成あるいは事業展開の加速化ということで、別のところに位置づけられている。今申し上げましたサービスのところは、前回のものは、サービス、機器と一緒に七分野を書いておりますけれども、サービスの中の六分野ということで選んだということでございます。

○太田(和)委員 それでは、どのような計画が支援対象になるのか、具体的に例示しながらお答えいただきたいと思います。また、企業にはどのように周知するのか。
 そして、支援措置についてですが、会社法の特例、課税の特例、海外子会社への資金提供支援とありますが、具体的に数字を挙げて内容をお示しください。

○大辻政府参考人 お答え申し上げます。
 産業活力再生特別措置法の支援制度は、事業者が策定した生産性向上のための計画を主務大臣が認定し、その認定事業者に対して、会社法や課税の特例などの支援を行うものでございます。これらは、生産性の向上など一定の基準を満たせば、企業の規模や業種にかかわらず計画を認定し、支援対象とすることとしております。したがいまして、委員御指摘のサービス産業も支援の対象となるところでございます。
 周知徹底に関してでございますが、本法案の施行に当たりましても、地域を含む全国の幅広い業種の方々に広く御利用いただけますよう、制度の普及、運用に取り組んでまいりたいと考えております。そのため、各地での説明会の開催、わかりやすいパンフレットの作成と配布、商工会議所等の経済団体と連携した施策の紹介などに取り組み、全国への普及と制度の円滑な運用に努めてまいりたいと存じております。
 それから、支援内容の具体的な数値を含めた御説明でございますが、委員御指摘のとおり、本法の計画認定を受けた場合の支援措置の主たるものは、課税の特例や会社法の特例でございます。
 まず、課税の特例につきましては、増資や会社設立等の際の登録免許税につきまして、通常〇・七%であるものが〇・二五%に軽減されます。また、事業譲渡の際の不動産取得税につきましては、通常三%であるものが二・五%に軽減されます。さらに、新しい計画でございます技術活用事業革新計画などの認定を取得した上で事業革新設備を導入される場合に関しましては、三〇%の特別償却が認められるなどの税制上の特例がございます。
 次に、会社法の特例に関しましては、組織再編の特例といたしまして、子会社の議決権の三分の二以上を有する場合に、通常は株主総会の特別決議が必要なものを取締役会決議で可能となる。さらには、検査役調査の特例として、現物出資時に必要とされます検査役による財産価格調査を免除することなどの支援措置が用意されておるところでございます。

○太田(和)委員 ありがとうございます。
 支援策としては、ちょっと中身に貧しい感じがするのは私だけでしょうか。登録免許税〇・七%が〇・二五%に、不動産取得税が六分の一軽減します、特別償却は金利分だけ得しますと。これはこれで結構なんですが、サービス業を製造業と並ぶ双発エンジンにする、今後十年で二・二%成長を目指す、そのかぎを握るのはサービス産業だというのが大綱ではないのでしょうか。その大綱関連の法案であると大ぶろしきを広げた割には、ちょっとけちけちしているのではないでしょうかと思ってしまいました。
 次なんですが、それではお尋ねいたします。
 今回、事業分野別指針を新たにつくるとしていますが、実は、現行産活法のもとで一つだけ事業分野別指針を持っている業界があります。国土交通省さん、副大臣、政務官、おいでいただきましたので、お答えください。
 建設業の再生に向けた基本指針は、いつ、どのような目的で作成されたのでしょうか。

○渡辺(具)副大臣 建設業につきましては、建設業は現在、深刻な過剰供給構造にあることから、再生可能と考えられる企業に絞りまして、過剰供給構造の是正に資することを基本といたしまして、平成十五年四月に、委員御指摘の事業分野別指針を策定したところであります。

○太田(和)委員 平成十五年の改正からきょうまで、何件の申請がありということでちょっとお尋ねしたかったんですが、これは、私が調べたところ、申請件数がゼロという認定結果に終わったというふうに聞いております。
 また、今後、分野別指針を見直したり検討したりするお考えはありますか。

○渡辺(具)副大臣 委員御指摘のとおり、これまでの間、具体的な認定申請がなかったわけであります。結果といたしまして、現時点において、本法の効果そのものについて認められるものはないわけでございます。
 今後の推移を見守りながら、今後は、業界の意見を聞いたり、あるいは有識者の意見を聞きながら、今定めております指針を変更することが必要かどうか、慎重に考えてまいりたいというふうに思っております。

○太田(和)委員 ありがとうございます。
 安易な企業救済とならないように再生可能な企業に絞って支援をする、そのため認定のハードルを高くした、当時の国会での議論を踏まえてそうなったということですから、ある意味しようがないのかという気もしますが、やはり、法律をつくってみたが利用する人がいなかったでは済まない気がします。副大臣、ありがとうございました。
 私が経産省にお尋ねをしたいのは、過剰供給構造を解消するための建設業界への支援と生産性向上を目指すサービス業への支援では事情が違うとは思いますが、登録免許税だとか不動産取得税だとか、具体的な支援策は同じであって、このようなちまちましたお話では、効果が上がるんですかという点です。建設業と同じような結果にはなりませんかというお尋ねです。
 報道によると、経済財政諮問会議では、労働生産性の伸び率を五年間で一・五倍にするという目標が了承されました。サービス産業だと、伸び率は〇・八%ですから、一・二にするという目標は立派なんですが、どうも具体策がついていっていないような気がします。
 甘利大臣、お願いいたします。

○甘利国務大臣 日本経済を安定的な成長軌道に乗せていくためには生産性の向上が大事で、経済の七割を占めるサービス産業の生産性を引き上げていくことがかなめであるという割には、シャビーな政策じゃないかという御指摘であります。
 私は、就任して、産学官の関係者、有識者に、サービス産業生産性協議会、この前段のものを編成していただいて、そして今春にこの今の協議会を発足させるつもりであります。
 サービス産業というと、一つの物差しだけではかることはできないし、一つの手法だけでは、生産性を上げるといったってなかなか難しいんですね。生産性イコール生産効率じゃなくて、付加価値を高める。さっきのエステでいえば顧客満足度を高めるということでありますから、ほかと、分野別にいろいろ違うのでありまして、そういう分野別の指針をつくっていく。
 もちろん、生産性を引き上げる核として、先ほど述べられた具体的な施策に加えて、IT導入というのは、どの分野でもそうですけれども、特にサービス産業分野では大事なことになりますし、人材の育成であるとか、あるいは、もちろん産学連携、そして、製造業で培ってきたノウハウをサービス産業にどう生かしていくかということも大事であります。工学的手法を使うということですね。
 ある旅館では、製造業のノウハウを使って、たくさんのお客さんに配膳をする革新的な仕方を導入した。冷めないで、できたものがすぐに大量のお客さんのもとに届く、そのあいている時間をさらに質の向上につなげていくというやり方。
 あるいは、テレビでもよく報道されましたけれども、吉野家の牛丼は、注文を受けてからいかに早くお客さんに出すか、製造業の部品や工具の配置の仕方、それに倣って材料の配置の仕方から何から工夫をして、何十秒以内というサービスを実現した。これは、製造業のノウハウをサービス産業に導入したわけであります。
 あるいは、大リーグでは、試合のマッチングも物すごい数なんですね。地域を転戦するロードがありますから、選手の負担も高い。これを最小限の負担で最良の集客を上げる試合の組み方、あるいはテレビ中継の時間帯との試合の組み方等々、試合の設定を数学的手法でやっているんですね。
 サービス産業にそういう工学的手法、数学的手法あるいは製造業のノウハウ、そういうものを投入することによって生産性を引き上げていく。
 ですから、先ほどシャビーではないかという御指摘のあった施策に加えて、こういういろいろな他方面のノウハウを投入していくということを通じて、幅広くサービス業の生産性向上を図っていきたいと思っております。

○太田(和)委員 最後の質問に移らせていただきます。
 米国は九〇年代に生産性を急速に伸ばしましたが、九〇年代前半は〇・九九%平均だった伸び率が後半は二・三二%に、つまり伸び率を一・三三%までふやしています。この一・三三%の中身をマッキンゼーが分析したところによりますと、卸、小売業の伸びが約半分を占めた、ウォルマートによる効果が大きいとのことですが、さらに、これに証券や電気通信業といった分野を入れると、サービス業の四分野での伸びの八割を占めているのだそうです。米国とは事情が違うでしょうが、いかにサービス業の生産性向上が重要か、また、その中で卸、小売業の改革が重要かを示す一つのデータだというふうに思います。
 私は、小売業の生産性を上げなくてはならないということに大賛成ですが、一方、商店街を生産性だけの話で片づけていいのかとも思っております。商店街は地域の顔でありますし、まちづくりという観点からも、努力する商店街は何とか活性化ができるよう支援することが重要だと思っております。
 地元の千葉県では、千葉経済センターというところが先ごろ県内の大型店と地域の商店街の売上高に関して調査をまとめましたが、九七年に大型店が商店街を抜いて売り上げを伸ばし、四年度には商店街の売り上げはとうとう大型店の五五%までに落ち込んだということであります。この千葉経済センターというところは、毎回、調査のたびに窮状打開の提案をしておりましたが、今回はそれもとうとう見送ったということです。要は、活性化は相当難しいということであります。
 生産性の話一辺倒になると、日本政府は、補助金漬けで、つぶれかけている商店街の延命に手をかしている、生産性を上げるためには生産性の低い家族経営の商店には退場してもらうしかないなどと乱暴な発言をする人も一部にはおりますが、そうではなくて、生産性の向上というテーマと商店街の活性化をどう両立させるのかが私たちのテーマでなければならないと思っております。
 この点について、最後、大臣の所感と決意をいただきまして、終わりにさせていただきたいと思います。

○甘利国務大臣 おっしゃるように、ウォルマートは大変な生産性の向上を遂げましたが、これはやはりITの導入でありますね、象徴的なもの。ICタグを使って、流通の圧倒的効率化を図ったわけであります。日本の企業も、ICタグを初めとするITのハード、ソフトを駆使して流通コストを下げていくということは、もちろん不断の努力で取り組んでいく。
 それと、大型店対中小店でいえば、中小店がネットワークを結ぶことによって大型店に対抗するということだって可能なわけでありますから、情報機器を駆使して、ボランタリーチェーンはその最たるものでありますけれども、そういうインターネットを通じた見えない大規模化ということも大事であります。
 そして、まちづくり三法の見直しは私がやりましたけれども、これは、単に流通効率だけでいうと、中小はどうしても生き残れない。しかし、それ以外の要素、魅力で、地元小売店が並んでいる中心市街地に訪れる人をふやす方法もあるわけであります。それは、市がまちづくり全体のグランドデザインをどう描くかということ、それから大型店と中小との連携もしっかり図っていくこと、そして、必然的に中心市街地に人が来るような仕組みをつくる。それは、都心居住であり、公共公営施設の中心市街地立地であり、あるいは、それらとの連携をどう図ったまちづくりをしていくか、イベントをどう打つか、もろもろの対策だと思っております。
 総合力を駆使して、地元小売店がしっかりと生き残れるように対応していきたいと思っております。

○太田(和)委員 ありがとうございました。