165-衆-経済産業委員会-6号 平成18年12月01日

○上田委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。太田和美君。

○太田(和)委員 民主党の太田和美です。
 本日、大臣の御都合もあり、トップで質問させていただくことになりましたので、まず、そもそも論からお尋ねをしたいと思います。
 従来から条約や国際的な約束に基づく制裁措置については可能でしたが、平成十六年の外為法改正によって、我が国の単独の措置をとることが可能となりました。それと同時に、これは、議員立法を共同提案した民主党、自民党、公明党の中で、とりわけ民主党が強く主張したことでありますが、我が国単独の措置については国会の承認を得なければならないこととなりました。
 今回の対北朝鮮輸入禁止措置に関する承認案件は、平成十六年の外為法が改正されて以来初めてのケースになります。その意味で、まず冒頭に、経済産業大臣そして内閣官房副長官にお尋ねをしたいと思います。
 国会承認を求めることとした外為法第十条二項の意義についてどのような所感をお持ちになられているのか、お聞かせ願います。

○甘利国務大臣 いわば、単独制裁法は平成十六年に議員立法で成立をしたものでありますけれども、外為法第十条では、今般発動した北朝鮮に対する輸入禁止措置のような単独制裁措置を政府が講じた場合には、事後的に国会の承認を求めることとされております。
 これは、我が国の平和及び安全の維持のために特に必要がある場合に、政府として機動的に経済制裁を発動することを確保する一方で、国権の最高機関であります国会がそうした政府の判断をチェックする、あるいは連帯して責任を負うということによりまして、国全体として力強いメッセージを制裁対象国に発することを可能とするものと認識をしております。つまり、国会が政府の判断をチェックする、そして連帯して責任を負うという考え方に基づいているものと承知をいたしております。

○下村内閣官房副長官 お答えいたします。
 外為法第十条第二項に基づいた国会の承認については、経済制裁発動に関する政府の判断の妥当性を国会が事後的に評価し、不承認の場合は当該措置を終了させ、承認の場合には国全体の意思として当該措置を実施していく姿勢を効果的に示すことができると考えております。

○太田(和)委員 ありがとうございます。
 この意義については、当時の審議の中でも、今大臣からもお話がありました、経済制裁というのは一種の強制力の行使であり、その目的は我が国の意思を被制裁国に対して強要することだ、その点について重い責任を我が国は持って決断をするわけだから、当然、国権の最高機関である国会で審議をし、なぜ経済制裁を閣議決定するに至ったかということについて国民につまびらかにする、そしてその結論については、承認をするということになれば国会が連帯をして責任を負う、そしてまた、閣議、内閣のもし行き過ぎがあれば、その点についても厳しくチェックをすると、提案者であった民主党の渡辺周議員も答弁をしております。今回の関与については、まさにそういう意義があるのだと思います。
 そこで、次に移りたいと思いますが、今回、北朝鮮からの輸入を禁止するという経済制裁措置の発動要件というのは何なのか、外務副大臣お見えですので、よろしくお願いいたします。

○岩屋副大臣 十月十一日に発表した今回の対北朝鮮輸入禁止措置でございますけれども、まず、北朝鮮自身が核実験を実施したというふうに言っていた、それから、気象庁が確かに普通の、通常の地震波形とは異なるものをキャッチしていた、それから、北朝鮮のこれまでのミサイル開発と合わせれば、日本の安全保障に対する脅威が増した、さらに、拉致問題についてこれまで何ら誠意ある対応を見せてこなかった、さらに、国連安保理において国際社会としての厳しい対応をとるべく議論が始まっていた。これらの情勢を総合的に勘案して、我が国の平和と安全を維持するために必要だということでこの措置を実施したということでございます。

○太田(和)委員 ありがとうございます。
 いろいろあって総合的に判断ということだと思います。しかし、制裁に至る決定打というのは何でしょうか。いろいろと積み重なってきたが、決定打は、北朝鮮による核実験実施の表明だと理解してよろしいのでしょうか。

○岩屋副大臣 今申し上げたように、これまでの累次の事柄を総合的に判断した結果ですが、確かに、北朝鮮自身が核実験を実施したとみずから発表したということが契機になったことは、先生おっしゃるとおりだと思います。

○太田(和)委員 決定打が核実験実施の表明であるとすれば、これはきちんと説明をしてもらわないとなりません。
 と申しますのも、経過を振り返ると、十月九日に北朝鮮が核実験の実施を宣言しました。そして、十三日に経済制裁を閣議決定いたしました。ところが、この間、北朝鮮が本当に核実験をやったのか、アメリカも含めて世界が疑問視をして確認に走ったわけです。その後、二十七日になり、官房長官が、核実験を行った蓋然性が極めて高いという記者発表を行いました。これがやはり北が核実験をしていたんだという日本政府の公式な認定だとしたなら、その後に制裁措置を発表する道も考えられたのではないかというふうに思っております。
 誤解のないように申し添えておきますが、民主党はこの間、安倍総理に対しても、拉致問題の早期解決と北朝鮮への実効ある制裁を求める申し入れを行っております。また、今日の東北アジアの情勢の中で、北が核実験をやったと宣言するだけでも大変深刻なけしからぬ事態であるということは言うまでもありませんが、しかし、国家意思を強要することで、場合によっては緊張を高めかねないのが経済制裁ですから、これは国民に筋道を立てて丁寧に説明をする責任があると思うのです。
 当事者の宣言だけで判断をし、実際に実験したかどうか確認できる前に制裁を決定するというプロセスで十分だったかどうか。副大臣、いかがでしょうか。

○岩屋副大臣 先ほども申し上げましたように、これまでの拉致問題に対する北朝鮮の不誠実な対応でありますとか、ミサイル発射でありますとか、ミサイル発射のときにも一定の措置を我が国はとっているわけですけれども、そういうことの延長線上に北朝鮮の核実験の発表があった。確かに異なる波形をキャッチしたという科学的な根拠もあったということで、それらを総合的に判断してこの措置をとったということについては、国民の皆様方にも十分に御理解いただけることではないかな、こう思っております。

○太田(和)委員 確認は時間がかかる、その前に国家として態度を明確にしないといけないということでしたら、北の実施宣言の後に、まず実験をやったかどうか我が国として確認がとれた段階で、以下のような制裁措置をとりますと発表するやり方もあり得たと思いますが、御指摘にとどめさせていただきます。
 では逆に、制裁を解除する要件についてお尋ねをしたいと思います。
 経済制裁も外交カードの一つであって、相手のある交渉事ですから、今の段階で明確なことを言いにくいのはわかりますが、考え方だけでもお示ししていただきたい。核実験、ミサイル、拉致問題、総合的に判断して制裁を決定したと言っているわけですが、解除も総合的に判断されるのでしょうか。余り総合的な判断を連発されると国会で審議する意味が弱まりますので、わかりやすくお願いをいたします。

○岩屋副大臣 基本的には総合的に判断することになるわけでございまして、先生御承知のとおり、北朝鮮からのすべての品目の輸入の禁止措置は、十月十四日から半年間実施されることになっております。この措置を含めた一連の措置が将来どう取り扱われるかということについて、現時点では予断をすることはできません。
 これから、拉致、核、ミサイル、こういった問題について北朝鮮がどういう対応をとってくるのか。それから、六者会合の準備が今進んでおりますけれども、六者会合で北朝鮮がどういう対応をとってくるのか。そういう点を総合的にまさに判断して、決定をするということになると思います。

○太田(和)委員 ありがとうございます。
 次に、経済制裁の実施に伴って、経産省はどのような実施体制を組むのか。影響を受ける中小企業への支援もあるでしょうし、税関が水際でチェックをする際、輸入禁止の適用除外のケースを判断していくのも経産省の仕事になると思います。的確かつ迅速に制裁措置を実施していただきたいと思いますが、取り組み状況をお聞かせください。

○石田政府参考人 今先生の方から御指摘ございました中小企業対策あるいは迂回輸入の問題でございますけれども、まず、我が国独自の措置として今回講じました輸入禁止措置につきましては、その実効性を高めるという観点にかんがえますと、近隣諸国を経由して迂回をしてくる、これを防止することは極めて重要であると考えております。
 このため、迂回輸入を隠すための原産地の虚偽表示につきまして、外為法の無承認輸入や、あるいは不正競争防止法の不正競争行為として厳しく取り締まるということにすべく、関係省庁と連携しつつ厳正に対応しているところでございます。
 また、こうした迂回輸入を適切に摘発するために、第三国からの輸入が急増しないかをよく監視する。急増するような場合には、外為法に基づいて、輸入業者に対して報告徴収を求めていくというようなこともやってまいりたいと考えております。
 一方、今回の輸入禁止措置に伴いまして、中小企業者が影響を受ける懸念があることから、そうした点への配慮といたしまして、全国六百五十一カ所に特別相談窓口を設置いたしまして、事業に関する相談に応じるとともに、政府系金融機関によるセーフティーネット貸し付け、あるいは信用保証協会によるセーフティーネット保証による支援策等により、資金供給に問題が生ずることがないように万全を尽くしてまいりたいと考えております。

○太田(和)委員 時間もなくなってまいりました。一つだけ重要な点をお聞きしておきたいのですが、民主党がさきに総理に申し入れをした際も、実効ある制裁のため、第三国経由の迂回貿易、送金等についても阻止するように求めております。この迂回輸入、北が原産地であることを隠して中国からのものとして輸入する。これを阻止しないと、輸入禁止措置が意味をなさなくなる。財務省、これはどのような対策をとられているんでしょうか。簡潔にお願いいたします。

○森川政府参考人 お答えいたします。
 税関といたしましては、十月十四日に実施されました北朝鮮に対する輸入禁止措置を受けまして、迂回輸入を防止するという観点から、中国等の周辺諸国からの輸入申告がありました場合には、北朝鮮からの主要な輸入品でありました水産物等、これはアサリとかマツタケとか十六品目でございますが、これらの十六品目につきまして原産地証明書の提出を求めることとしております。
 この措置につきましては、関係国である中国等の税関当局、それから原産地証明書の発給機関等に対しまして連絡を行いまして、現実に協力を得ているところでございます。
 また、過去の北朝鮮からの輸入実績等を踏まえまして、北朝鮮からの輸入が多かった品目につきまして、仕入れ書、契約書等の関係書類に基づく慎重な審査、それから貨物、そのこん包材に付された表記の確認、これらによりまして、貨物の原産地を一層厳正に確認するということにしております。
 今後とも、経済産業省等と緊密な連携を図りながら、周辺諸国からの輸入貨物に対する厳正な審査、検査を実施しまして、今般の措置の実効性の確保に努めてまいりたい、このように考えております。

○太田(和)委員 時間もなくなってまいりましたので、まだまだ重要な問題もありますが、先輩議員の質問に期待をすることにいたしまして、最後に、大臣、済みません、お時間がないところで申しわけないんですが、実効ある経済制裁の実施、我が国としての決意をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。

○甘利国務大臣 このたびの北朝鮮によるミサイル発射、核実験といった一連の行為は、我が国の安全保障に対する脅威を著しく増すものでありまして、また、北東アジア及び国際社会の平和及び安全への脅威となることでありますから、断じて容認できないものであります。
 我が国といたしましては、断固たる姿勢を示すべく独自の措置を講じるとともに、国連安保理決議において、北朝鮮に対して国際社会と協調して厳しいメッセージを発出してきたところであります。
 今般、六者会合が再開される動きにありますけれども、重要なことは、北朝鮮が核兵器や弾道ミサイルの開発計画の放棄など、我が国及び国際社会が求めることについて誠意ある対応を実行するということでありまして、それが見られるまでの間は粛々と制裁措置を実施していくべきものと考えております。
 いずれにいたしましても、政府一体となりまして北朝鮮に対する断固とした措置を進めていく考えでありまして、結果として、北朝鮮が国際社会の要請を踏まえた対応をとっていくということを強く期待いたしております。

○太田(和)委員 終わります。ありがとうございました。